70 アンフィトリーティズ・パレス(後編)
【Anfitryeteiz Palace Palace アンフィトリーティズ・パレス】
「私は外に出ますっ!」
カロリエーがバスタブから出ようとするのを、リュウが手を握って止める。
「手を放してくだ... フギュっ!」
手を強く引っ張られ、バランスを崩しリュウの方に倒れかかったカロリエーをしっかりと抱きとめると、驚いて口を開けた彼女にリュウはキスをした。
「フギュギュギュっ(何をするんですか)!?」
言葉にならない抗議をする青紫色の髪の美女ガーディアン。
カロリエーは、リュウの怪力でしっかりと抱かれており、抜け出すことができない。
ガーディアンであるカロリエーは、ずば抜けた戦闘能力をもっているのだが、リュウを攻撃することはできないのでされるがままだ。
リュウは早くもブレストプレートを留めているベルトを外して取り外し、チュニカの上からカロリエーの胸を揉みながら、彼女の耳を舌でなめる。
「やめて!やめてくださいっ... ひっ!ひゃあっ!」
耳が感じるらしく、小さく悲鳴をあげた。
「カロリエー、オレに可愛がられるのがそんなにイヤかい?」
「わ、私はガーディアンですっ!リュウさまのオンナではありません。ひゃっ、ひぃっ!」
耳の穴に舌を入れられて悲鳴をあげるカロリエー。
すでにチュニカは脱がされ、付けているのはブラサードとグリーブだけという奇妙な恰好になってしまっている。
「イ...イヤではありません...でも... ひぃっ... ひぃっ!」
とくに感じる耳を舌で攻撃され、胸を揉まれ、変な気持ちになって悲鳴を上げながらも、初めての感覚に戸惑うカロリエー。
カロリエーは、ガーディアンとしてユリアたちやシルレイたちの警備を命じられ、彼らと行動をともにしていたが、彼女たちが毎晩、レオタロウやレンたちに幸せそうに抱かれるのを羨望の目で見ていた。
カロリエーも女だ。“優しくオトコに抱かれたい”という気持ちを心の底に持っていた。
しかし、それはガーディアンである彼女は持ってはいけない気持ちだと考えていた。
ところが、同じガーディアンであるペルセーイスがアラベラ と結婚したのを見て、“ガーディアンでも幸せになることができるのね!”と考えを改めた。
しかし、そうは言ってもおいそれと恋人など作ることもできないし、ユリアたちの警護という仕事もあって、恋人を作るヒマもなければ、恋人とデートをする時間もないのが現実だ。
タレイアは、それに気づいてエイダに相談したのだ。
それで、タレイアとモイラがアイグル・メルクオール宮殿をクリスティラたちと訪問するときに、カロリエーにも“オンナの幸せ”を知る機会をあたえようということが決まった。
「“イヤではありません...でも...” なんだ?」
「わ、私は... その... オトコの人と...」
「一回も抱かれたことがないってんだろう?」
「そ、そうですっ!ひぃっ... ひぃっ!」
「つまりショジョってわけだ!」
「ひぃっ... ひぃっ!... そうです、ショジョですっ!」
「こう見えてもオレはデフロレーションにかけてはベテランなんだぜ?」
「デフロラーション?」
「ショジョを奪う名人ってことさ!」
「...... では... リュウがよろしかったら私のショジョを奪ってください...」
最後の方は消え入りそうな声で言う青紫色の髪のガーディアンだった。
リュウは残っていたブラサードとグリーブと革靴をとり、カロリエーを裸にした。
青紫色の髪、青い瞳、白い体、細いうなじ
ふっくらともり上がった両のバスト、そしてピンク色のポッチ。
なめらかな腹、そして髪と同じ青紫色の茂みに覆われた下腹部。
「は、恥ずかしいです。あまり見ないでください...」
そう言って、カロリエーは胸と下を腕と手で隠そうとする。
「手をどけて。そんなきれいな体は、誰のためにあると思うんだい?」
「え? 言っている意味わかりません...」
「繁殖期にあるオンナの体がきれいなのは、オトコを魅了するためなんだよ!」
「オトコを魅了?」
カロリエーが目を丸くしている。
「そして強いオトコがライバルたちを蹴落として、自分の遺伝子をオンナの子に種付けをするためなんだよ!」
「知りませんでした...」
「だから男は美しいオンナを抱きたがるし、女は強くカッコいいオトコに抱きたがれるんだよ!」
そう言うと、リュウはカロリエーの体をひょいと抱えると、床に寝かせた。
カロリエーにとっては何もかも初めてだ。
リュウが触れるところ、キスをするところからゾクゾク感がとめどもなく湧き上がって来て、喘ぎ声を出し続けていた。
「リュウさま... リュウさま... 」
.........
.........
.........
すべてが無事に終わった。
リュウは、クタンとなったカロリエーを抱いてバスタブの中に入れると、お湯を満たしはじめた。
ふっくらとしたCカップの胸を洗ってやっているうちに、リュウはまた催して、バスタブの中で第二ラウンドを始めた。
タレイアとモイラも、それぞれレオタロウとレンにたっぷりと抱かれた。
エイダが時間遅延スキルを発動させたおかげで、時間を気にすることもなく、それぞれアンフィトリーティの寝室と応接間で延々と長時間にわたって抱かれた。
(エイダさま、本当にありがとうございます...)
たっぷりとレオタロウに愛されてもらったあとの幸福な倦怠感の中でタレイアはエイダに感謝した。
(いえいえ、これはあなたたちが、これまで尽くして来てくれたことに対する、ほんのお礼ですよ...)
(お礼だなんて... 私たちを生み出してくださった光のお母さまに尽くすのは、娘として当然のことです...)
(アモンとの戦いが終わったら、すべての娘たち、息子たちに、あなたとモイラのように相手を見つけ、幸せになって欲しいと思っているのです...)
(お母さまは、いつも私たちのことをご心配してくださっているのですね...)
モイラが感謝と憧憬の念をこめる。
アモンはエイダの兄であり、エイダが“光の母”と呼ばれるのに対して“闇の父”と呼ばれている。
最初の精霊、イヴンとアーヴァが “生まれ出でよ!”と念じて創られた星-エスピリティラ。
アーヴァは、元祖母とパラスピリトたちに呼ばれており、まだ時間という概念さえ生まれていなかったエスピリティラで、元祖母・アーヴァは、無数の霊を産み出し、それらがエスピリティラで生ける全てのものの霊となった。
イヴンとアーヴァは後継者として、娘・エイダと息子・アモンを産み出したが、母親であるアーヴァに対する嫉妬から、アモンは元祖父を殺してしまった。
以来、アーヴァはエスピリティラの地底深くにかくれてしまい、アモンは闇の勢力を作り上げ、ダークムーンを創り、それを本拠として、そこからエスピリティラを征服すべく悪霊集団を続々と送りこみはじめた。
それに対してアモンの姉妹であるエイダはライトムーンを創り、アモンの悪霊軍団との戦いが数百年の長きに渡って続いていた。
現在は、エスピリティラの東側- イーストゾーンと呼ばれる- がエイダの勢力圏下にあり、西側- ウェスト・ゾーンと呼ばれる- がアモンの勢力下となっている。
そして、アモンはイーストゾーンを征服すべく画策しており、エイダはそれを阻止するとともに、ウェスト・ゾーンも元祖母の意にかなった世界に変換すべく戦い続けているのだ。
(いつになったら戦いは終わるのでしょうか?)
エイダとタレイアの念話コミュニケーションを聞いていたモイラが加わる。
(これまでは、わたくしにもいつ終わるかわからなかったのですが、ユリアたちミィテラの世界の若者がやって来て、それに呼応するように、わたくしの娘たち- クリスティラやアキュアマイアたちが立ち上がり、魔術を習得し、イーストゾーン各地にある町をアライアンスに加盟させています。これで戦いの流れは決定的に変わって来ると思います)
(気をつけなければならないのは、アモンがどのような対抗策をとるかですね?)
(その通りです。弟アモンは、とても頭のキレる人です。油断は禁物です)
(アライアンスも、クリスティラとユリアがアライアンス軍の参謀になったことで、よりいっそう統制がとれ、強い軍になりますね!)
(参謀部は軍の脳と同じです。あるのとないのでは、天池雲泥の差が出ます。でも、机上の作戦だけに頼るというのも愚かなこと。前線の部隊の状況を常に把握しながら戦況に適した作戦を練り、実施して行かなければ戦いに巻けてしまいます)
(その点、ミィテラの若者たちは、魔術の天才であるアイさんやミアさんを含め、勇敢な戦士であるレオタロウやレンやリュウたちがいますから、前線と参謀部の連携もきっとうまく行くことでしょう!)
(モモコさんもマユラさんもいますしね!)
(私たちのことをご心配してくださるのは、たいへん有難いのですけど... エイダさまはどなたか気に入った男性はいないのですか?)
タレイアが、話をもどし、暗にエイダはセックスに興味がないのかと訊く。
女官長であるからこそ言えることであり、訊けることだった。
エイダはタレイアとモイラに男女のコトを経験させた。
あのパーティーの晩の女子トークの流れで、エイダの女官長と副女官長は今後のためにも経験をしておいた方がいいということになって、レオタロウとレンに抱かれたのだが、エイダさまご自身はどうなのだろうか、もう経験はおありなのだろうか、まだないのだろうか。どのようなタイプの男が好みなのだろうかなどを、この際訊いて見ることにしたのだ。
(...... わたくしのセ〇クスライフは気にしなくていいのですよ)
(.........)
(.........)
タレイアもモイラも黙ってしまった。
“エイダさまには、エイダさまのお考えがあるのだろう”と彼女たちは結論した。
女官の身で、それ以上光の母の生き方をとやかく言ったり詮索したりするのは止めた方がいいと。
タレイアとモイラのエイダさまとの念話コミュニケーションは、10秒もかからずに終わった。
念話のメリットは、伝えたい内容を瞬時に伝えることができることだ。
レオタロウたち男の子は、終わったあとでゆっくりと服を着ていたが、タレイアとモイラは、カロリエーにも手伝わせて後始末に大わらわだった。
寝室のシーツもアンティチェンバーのソファーもティールームの絨毯も、3組の熱々ラブ・アワーのせいで、とんでもないカオスになっていたからだ。
シーツを取り換え、ソファーと絨毯を清掃し、バスルームを洗って、ようやく元通りになった。
とは言っても、クリスティラたちがアイグル・メルクオール宮殿を辞して帰って行ったあとでプライベート・ルームに入ったアンフィトリーティは、少し変わった“匂い”が部屋にこもっているのに気がついて首をかしげて室内の空気を換えたのだった。
そして、クリスティラとアキュアマイアが、それぞれの町に彼女を招待してくれたのを思い出し、ベッドに身を投げ出して足をバタバタして悦びを表していた。
「クンクン... この匂い、何かしら? なんだかいい匂いがベッドにこびりついているみたい...」
男性経験のないアンフィトリーティは、それが〇〇の花の匂いに似ていると言われる男性のセクレッションの匂いだとはまったく知らなかった!
カエルゥに住むマザー・パラスピリト、ファータゥムの訪問は4ヶ月後になった。
集合場所に指定されたサンクメライ・ロームの中にあるウォンブ・ホロスへのアクセス・プラットフォームにクリスティラたちが到着すると、そこにはすでにサンクメライ・ローム のマザー・パラスピリトとファザー・パラスピリトであるアウラスとイシルス、それにサンクライロームのハイ・パラスピリトたちやガーディアンたちが待っていた。
そして、その中に1.8メートルほどの長身の一人のハイ・パラスピリトが一人いた。
そいつはいかにも高価そうなスケスケ・チュニックの上にこれも高価そうなスケスケのトガを着て、頭上には見事な装飾入りの、金より高価なオルカルコ製のヘッドプロテクターをかぶっていたが、額の両横からは10センチ以上もあるツノが出ていた。
「遅いではないか?!」
そいつはクリスティラたちを見ると、そう言ってニヤリと笑った。
「あなた...は... ラダン?」
アキュアマイアが目を真ん丸にして驚く。
「ええっ?ラダントゥースさま?」
「縮んだの?ラダントゥースさま?」
ラィアとロリィも驚いている。
「縮んだとは失礼な!我が輩は〇〇〇ではないのだから、縮んだり膨張したりせんわ!」
「2メートルもある〇〇〇なんてゴメンだけどね?」
ラダントゥースの巨大なモノでヒドイ目に遭ったことのあるアキュアマイアが辛辣な言葉を投げる。
「アキュア、今度はだいじょうぶだぞ?見ろ、我が輩の〇〇〇も20センチの適切サイズになったぞ?」
「へえ... それならだいじょうぶそうね?」
「であろう!であろう!」
エヘンと20センチのモノが下がっている腰を誇示して威張る男神ラダントゥース。
「って... ラダン、どうして縮んだのよ?」
「縮んどらんとさっきから言っておるであろう? 体の構造に少し手を加えてスリムなボディーにしたのだ!」
「オ、オッサン... あんた体重300キロ以上あったんだろ?」
レンがミノアン人の体格をしていた時のことを思い出して言う。
「うむ。正直言うと398キロあった...」
「げっ、400キロじゃん?」
「それを何でそんなに縮めたんだ?」
「縮めとらんと何度言ったらわかるのだ、レン? スリムな体格にしたのは、このためじゃ!」
そう言うと、ラダントゥースはなんと空中を飛びはじめた。
「オッサンが飛んでる!」
「デブが飛んでいる!」
「すごいわ、ラダントゥースさま!」
「軽くなったから飛べるようになったのね!」
レンやラィアたちが目を丸くして驚いている。
「ラダン、そのために体を縮めたのね?」
「アキュア、何度言ったらわかるのだっ!縮めたのではない、と!」
大声で叫びながらウォンブ・ホロスの周囲を飛び回るラダントゥース。
だが、何だかとても嬉しそうな顔をしていた。




