50 リービング・ザ・ネスト
【Leaving the Nest 巣離れ】
翌朝。
朝食のあとでユリアたちはサンクメライ・ロームを目ざして出発した。
サマ、モニ、キュカたち、“巣離れ”をする50人のニュンペー娘たちも途中までいっしょに旅をすることになった。ガイド役としてナパもユリアたちといっしょに旅をすることになった。
前日の夜、夕食時にゼーナはレオタロウたちにあることを頼んだ。
ニュンペー・ビレッジの真ん中にある、集会用の広いテラスで夕食をとっていたレオタロウたちの回りの木や枝には、一見しただけで若くてピチピチしたニュンペー娘たちが鈴生りになって、キラキラした目でレオタロウたちを見ていた。
そのニュンペー娘たちは、夕食に参加するでもないし、物珍しさから見ているだけでもないことも、その娘たちがあまり騒いでないことでもわかった。
「ユリアさん、この50人のニュンペー娘たちは、まだ警戒態勢が完全に整っていない北方に新しい集落を作るために、途中までユリアさんたちとご一緒させていただくこうと思っているのですが...」
「それはまったく構いません、ゼーナさん。サンクメライ・ロームへ行くための道案内にもなりますし、助かりますわ」
ユリアたちはクリューが「『エペロン・ミドリウム』 については、あまり詳しくないと言ったこともあり、サンクメライ・ロームへは北北東へ向かえばいいとは聞いていたが、やはりエペロン・ミドリウムに詳しいガイドがいた方が安心できるので、ニュンペー娘たちが彼女たちと旅をいっしょにすることには大賛成だった。
「えっ?この娘たち全員一緒に行くんですか?」
「ええっと... この娘とその娘とあの娘は知らないんですけど?」
「新しい集落を作るためのエミグレイションっていうことだけど... この人数、オレたちが昨夜抱いた娘の数より多いんじゃ...」
男の子たちが、今朝になって部屋で話した、昨夜抱いたニュンペーの数の合計より多いのに驚いている。
「みなさんの言っていることはわかりますが、私たちには『エペロン・ミドリウム』 の警戒をするという大事な役割があります。北方にはまだアモンの悪霊軍団の跳躍はありませんが、いつ悪霊軍団が侵入してくるかわかりません。そのためにも、北方での備えを強化する必要がありますので、今回は北方に新たに2ヶ所集落を作り、警戒区域を広げようと思っているのです」
「.........」
「.........」
「じゃあ、つまり... 昨夜、オレたちと寝なかった娘は、その...タネを植え付けられて子を産む娘たちの世話をするっていうこと?」
「いいえ。サンクメライ・ロームまでは三日ほどかかりますので、その間に全員に種付けをしてくださるようにお願いします」
「「「「えええええ――――っ?!」」」」
男の子たちがズッコケた。
レオタロウたちが驚いているのには全然構わず、ゼーナはさらに驚くことを言った。
「ニュンペーの女は、オトコからもらった精子を一生体内に持ち続けますので、巣立ちをする彼女たちは、これから死ぬまでの30年間、ほぼ毎年、子どもを産み続けることになります」
そして、ニュンペーは一度のお産で二人から三人の子を産むのだとつけ加えた。
* * *
総勢70人近くの大キャラバンの隊列飛行は壮観だった。
ナパはもう一人の若いニュンペーといっしょに先頭を飛んでいた。
ボルホーンの隊列の先頭はオーヴィルに乗ったレオタロウとミア、その後ろをエレノアに乗ったレンとシルレイ、それからキャッリラに乗ったユリアとクリスティラたちと続いていた。
「レオタロウさま、この娘は私のお友だちでタパネーって言うんです!」
「おう、そうか!タチアーネか。おまえもかわいいな?年はいくつ?」
「タッチって呼んで。ナパと同じ15歳だよ、レオタロウさま!」
ナパがマゼンタ色の髪とホットピンクの目をしているのに対し、タッチはライム色の髪とライムグリーンの目をしている。
「ねえねえ、レオタロウさま、昨日いっしょに寝た娘たちはどうでした?」
「サマとジアとコラニとサレッタよね?」
「なんだ、もう全部知っているじゃないか?」
「そりゃそうよ、レオタロウさま。狭い集落の中で適齢期の娘たちがやったことなんか...」
「すぐに集落中に伝わっちゃうのですよ!」
それもそうだろう。
ニュンペーたちが食料にするのは、アルトカルプと呼ばれる、大きさ10~30センチほどの黄色や黄褐色の実で、よく熟した実は焼いて食べたり、生のまま食べたりするのだが、パンのような触感と、イモに似た風味を持つ。
エペロン・ミドリウムの森には、豊富にフルーツの木があり、アルトカルプの実がたわわになる木もたくさんある。なので、ニュンペーたちはたいした苦労もせずに日々の糧を1時間ほどもあれば森の中で収穫できる。必要量のアルトカルプの実を収穫し、警戒任務も終えたニュンペーたちが、持ちあました時間を何に使うかと言うと、おしゃべりだ。
どこそこにある木のアルトカルプがとても美味しいとホミが言ったとか、ヨナが巣立ちするのを断ったとか、シュピがヌロの子を身ごもったとか、エトセトラ、エトセトラ…
したがって、昨夜のことも事細かに― いや、正しくは針小棒大に― 誇張されて集落中に広まっていた。
レオタロウさまのナニナニは〇〇センチもあったとか、レンさまはモニのオシリにナニナニしたとか、リュウさまはキュカと〇〇ラウンドしたとか…
「サマもオガもレクラもハニナもサイコーだったよ!」
「それで、その... レオタロウさまのナニナニは〇〇センチあるって本当ですか?」
「オガと〇〇ラウンドしたって本当ですか?」
適齢期の娘は、こういうコトに大きな関心があるのだ。
「ああ、本当だ!〇〇センチあるぞ!」
「サマもオガも、みんな〇〇ラウンドしたぜ!」
「きゃーっ!スゴイっ!」
「レオタロウさま、スゴ過ぎっ!」
ナパもタッチもはしゃいでオーヴィルの周りをブンブン飛び回っている。
「おーい!何をそこで話しているんだー?」
レオタロウの後ろをエレノアに乗って飛んでいるレンが大声で訊く。
それを聞いたナパとタッチが、今度はレンのところに飛んで来た。
「レンさまー!」
「レンさまー!モニとメイダとゼラ、ヤシュとの種付けのコト、聞いていますよー!」
「こらっ、種付けなんて言っちゃあ全然ロマンティックじゃないだろう? セ〇クスというんだよ!」
「せ〇くす? ふーん... 新しい言葉ですねー!」
「モニたちと、たっぷり せ〇くすしたって聞いていますよー!」
「それはもう聞いたよ」
「ユリアさんやアイさんたちと比べて、ニュンペー娘たちはどうでしたかー?」
ニュンペー娘たち、とんでもないことを訊く。
下手なことを言って、それがユリアやアイたちの耳にはいったら、とんでもないことになりかねない。
「どちらもいいよー!」
「へえ... そうなんだ」
「ニュンペー娘の方が熱いって言うかと思った」
そんなこんなで一日中飛んで、夕方の4時ころには野宿をするために森の近くを流れる川のそばに着陸した。
総勢70人近くがキャンプをするというのは...
まるでボーイスカウトとガールスカウトがいっしょにキャンプをするように大騒ぎになった。
みんな真っ裸になって、川の中を走り回り、水をかけっこし、男の子たちはいつも通り、女の子やニュンペーを追いかけて、胸を揉んだり、オシリを撫でたりとバカ騒ぎをしていた。
ただ一人、水遊びに加わらなかったのはクリューだった。
彼は嬌声を上げ、川の中を裸で走り回る女の子たちやニュンペーたちを見て呆れたような顔をしていた。
水浴のあとは、楽しい夕食だ。
ニュンペー娘たちは、30分ほど森の中にいたと思ったら、腕にいっぱいのアルトカルプの実やフルーツを抱えて飛んでもどって来た。
「ちょっと森に入れば、こんなにアルトカルプの実やフルーツがあるから、この娘たちは食料は一切持たないで、武器と少しの着物だけもって旅に出たのね」
ユリアがのアルトカルプ実を食べながら言う。
「でも、私たちは肉なしじゃいられないわ!」
「右に同じ!肉食べないと力出ないし!」
マユラが腸詰の燻製を齧りながら言うのにモモコも同意する。
お腹いっぱいに食べたあとは、枯れ木を燃やしてキャンプファイヤーだ。ニュンペーたちやユリアたちは、集落からもって来たハチミツ酒を飲み、強い酒が好きな者はフリスゴレスロームからもって来たイモ酒を飲む。
レオタロウたちも、ゼーナから課せられた“お役目”を万全に果たすために、酒を少し飲んでいた。
酒は適量であれば、アルコールが「理性の座」ともいわれる大脳新皮質の働きを鈍くし、それによって感情や衝動、リビドーなどの本能的な部分を司る大脳の古い皮質の働きが活発になり、気分が高揚し、やる気が出るのだ。
ただ、男の場合は飲み過ぎるとテストステロン値が下がって役に立たなくなるので注意が必要だ。
その反対に、女が酒を飲むとテストステロンの分泌量が上昇してリピドーが高まり、さらにアルコールは体を敏感にする作用があるので、肌の感度が非常に高くなる- とくに胸が敏感になる。
下腹部の血流も活発になり、体が温まるので“究極の恍惚”に達しやすくなるという相乗効果ももたらす。
こんな知識はリュウが白龍王学で学んだことだった。そういう普通はあまり役に立ちそうにない知識だが- 思春期でリビドー最高潮期の男の子たちにとっては、“たいへん貴重な知識”だった。
そういう訳で、レオタロウたちは今夜抱くことになるニュンペーたちにハチミツ酒をたっぷりと飲ませていたのだ?
「クリューさんもどうだい? ニュンペーたちにタネ付けをしないかい?」
「ニュンペー娘たちは、みんなバージンだよ!」
「あ、オレたちが集落で抱いた娘たちは、もうバージンじゃないけどな!」
レオタロウたちは、ガーディアンも誘ってみた。
「いや、結構ですよ。ニュンペーって、下等な連中ですからね」
ガーディアンさん、中々プライドの高いハイ・パラスピリトのようだ。
レオタロウたちが、キャッキャと騒ぐニュンペー娘たちを連れて森の中に消えて行き、クリューも
「ちょっとその辺りを視察して来ます」と言って飛んで行ってしまった。
五芒星が完全に地平線に姿を消すまでにはまだ時間があるので、少しでもガーディアンらしいことをしようと思ったのだろう。
クリスティラは、クリューが飛んで行ってしまった空を、なんだか思案顔で見ていた。
「クリスちゃん、どうしたの? 愛しいリュウが、今頃、ニュンペーたちと抱き合っているって考えているの?」
「いえ、そうじゃないの、アキュアちゃん... さっきね、クリューさんが視察に行くと言って飛び立つ前にね、私の顔を見て“ニヤリ”と意味ありげな笑い方をしたのよ...」
「ああ、あいつね。あいつは、いつも人を見下すような態度ばかりとっているからね。まあ、私たちはマザー・パラスピリトだから、それなりに敬ってくれてはいるようだけど...」
「いえ、それだけならいいんだけど...」
そこまで言って、続きを念話に切り替えたクリスティラ。
(...恥ずかしい話なんだけど、クリューさんに見つめられると... どうしてかわからないけど、ビショビショになっちゃうのよ...)
「ええーっ? クリューに見つめられただけで、ビショビショになるーっ?!」
「ア、アキュアちゃん!」
アキュアマイアが驚いて素っ頓狂な声を出したので、クリスティラが真っ赤になってしまった。
キャンプファイヤーの周りでおしゃべりをしていたユリアたちも驚いてクリスティラとアキュアマイアの顔を見る。
モモコはビルを連れてレオタロウたちが入って行ったのと反対側の森へデートに行ったのでいない。
「それは無理もないでしょうね、クリスティラさん」
テントの中でリディアーヌとイチャイチャやっていたマユラが、アキュアマイアの素っ頓狂な声を聴いてテントから出て来た。
マユラはリディアーヌの腰に手を回して出て来たのだが、リディアーヌのブラウスの第2ボタンまで外れていることから見て、二人がテントの中で何をやっていたかは一目瞭然だ。
二人の関係は周知の事実なので誰も何も言わない。リディアーヌは頬が紅潮し、目がとろんとなっていた。
「そ、それはどういうことですか?」
「あら、だってドヴェルグの村でクリスティラさんはクリューさんに抱かれたじゃないですか?」
「ええっ? 私がクリューさんに抱かれた?!」
「とても気持ちよさそうな声出していたわよ?」
「えっ、えっ、え―――――――っ!」
「ちょっと待ってよ、マユラさん。そんなの私聞いてないし、クリスちゃんがクリューとしたなんてまったく感じなかったわよ?」
「私も何も何も感じませんでした...」
「私も知らないわ!」
「わたしも何も聞いてないし」
アキュアマイアがマユラに訊くのに、シルレイもラィアもロリィも同意する。ハイ・パラスピリトたちは、近距離であれば仲間がどういう状況にあるかを感じることができるのだ。
「どうして知らないのかはわからないけど、ほら、私は聴覚が優れているのよね。だから、あの夜、クリスティラさんがクリューさんに抱かれて、すぐあとでラィアちゃんとロリィちゃんがリュウに抱かれ...」
「えええ―――っ? 私がリュウさまと――っ?!」
「ひぇえええ―――っ? わたしがリュウさまと――っ?」
ラィアとロリィがあまりの驚きに足を広げてひっくり返ったので、ラィアのスベスベ・シークレットゾーンとロリィのパープル色の茂みに包まれたシークレットゾーンが丸見えになった。
が…
男は一人もいないので、それを興味津々とみる男の子もいなければ、興奮する男の子もいないかったのだが。ただ、マユラだけが、関心があるのかしっかりと見ていた。
豹族の血がある彼女は、運動能力や五感が優れているだけでなく、動体視力も人族の数倍あるのだ。
「......... どうやら、クリューさんは、私に、いえ、私たちハイ・パラスピリトの脳を操作をしたようですね...」
しばしの沈黙のあと、唇を噛みながらクリスティラがぽそっと言った。
「そうとしか考えられないわね... あいつ... 私たち... マザー・パラスピリトを何だと思っているのよ!」
「脳操作をして... クリスティラさまを思いのままにするなんて... 酷過ぎますわ!」
アキュアマイアとシルレイが憤慨している。
「わ、私には... レンさまがいるのに!」
「わたしはレオタロウさま一筋なのに...!」
ラィアとロリィも衝撃を受けて顔色が青くなっている。
「どうやら、クリューはリュウさんと取引をして、私をクリューに“抱かせる”代わりに、ラィアさんとロリィさんを抱けるように脳操作をすることをリュウさんに持ちかけたのでしょうね...」
クリスティラが、謎解きをする。
「たぶん、クリスちゃんの言っている通りね... それにしても太いヤツだわ!」
「ハイ・パラスピリトが聞いて呆れます!」
「ハイ・パラスピリトの風上にも置けないヤツね!」
「クリスティラさま、クリューにお仕置きをしましょう!」
ハイ・パラスピリトたちは、かなりご立腹だ。
5人は何やら打ち合わせをし始めたが、彼女たちは念話に切り替えたのでユリアたちには何を話し合っているのか皆目見当もつかない。
ただ、あのキザなガーディアンは、クリスティラを手籠めにし、ラィアとロリィをリュウに抱かせたことで何かとんでもない罰を受けそうだということは想像できた。
そして、リュウもそれ相応の罰を受けそうだということも。
「さあ、リデちゃん、私たちはテントの中でまっとうな愛を育みましょう!」
「は、はい!マユラさん!」
年齢的にはリディアーヌは14歳でマユラは12歳なので、マユラの方が年下なのだが、リディアーヌは母・エスティーヌに箱入り娘的に大事に育てられ、それから男とは一切関係のない巫女の生活を長く送って来た。
それに比べてマユラの方は、獣人族のほぼ全てがそうであるように、7、8歳で精神的にも肉体的にも成人になり、すでに3、4人のオトコと付き合った経験があり、マユラの方が二人の関係において主導権をもったのは当然の成り行きだった。
テントの中に入ると、マユラはリディアーヌの手を強く引っ張った。
「あっ、乱暴にしないでマユラ... フギュっ!」
マユラはリディアーヌを引き寄せると、その細いウェストをしっかりと腕で抱いてふっくらした唇にキスをする。
「むむむ...」
マユラに濃厚なキスをされる亜麻色の髪の少女。
マユラはリディアーヌのブラウスのボタンを外した。
ブラウスを脱がせ、ブラのフックを外すとリディアーヌの胸が露わになった。
リディアーヌは思春期真っただ中で、胸は最近目に見えて大きくなって来ている。
マユラはふっくらとしたマシュマロのような胸をやさしく揉みはじめた。もう片手でスキニ―パンツのボタンを外してずり下げると、するすると手を下着の中へ入れた。
マユラはリディアーヌを寝袋の上に横たえるとすべての服を脱がせる。
テントの明り取りから漏れるライトムーンの光で、リディアーヌの白い体が輝やいていた。
自分も素早く服を脱ぐと、マユラはリディアーヌのそばに横たわった。
亜麻色の長い髪とやや小さめの顔。
ふっくらとした形のいいバスト
きゅっとくびれたウエスト
細く白い手足
やわらかそうな腹
下腹部のなだらかな丘陵
若い二人の乙女の愛の時間が流れる。
「マユラ、マユラ―――っ!」
「リディアーヌっ リディア―――ヌっ!」
マユラとリディアーヌの叫び声が夕暮れの空にこだました。




