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エスピリテラ漂流記  作者: 空創士
ブレイブス・チュードレン
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4 アドベンチャ―への誘い

 【Call to Adventure冒険への(いざな)い】


 それから十日ばかり後。


 ライトパレスの一角にある礼拝堂に少年たちが集まっていた。

ユリア、レン、アイ、ミア、マユラ、ルシエルにレオタロウとモモコ。

先日、魔大陸にゴブリン狩りに行って、こっぴどく叱られた連中だ。


「エタナールさま、エタナールさま。どうか私たちのお願いを聞いてください。お父さんやお母さんたちと同じように冒険の世界へ行かせてください」

最年長のユリアが一番前にひざまずいてお祈りをしている。


「「「「「「エタナールさま、エタナールさま。どうか私たちのお願いを聞いてください。お父さんやお母さんたちと同じように冒険の世界へ行かせてください」」」」」」

ほかの子たちもひざまずいて一生懸命にお祈りをしている。


バタン!


礼拝堂のドアが勢いよく開かれた。

入り口に立っているのは、一人のひょろっと背の高い男の子。

ブルーとイエローの混じったロングヘアの男の子は、目の前にかかった髪をキザっぽく横に手で払う。

後部頭には冠羽のような羽がある。おそらくヘアアクセサリーだろう。


「あー、ゴメン、ゴメン!ちょっと髪をきれいにするのに時間がかかっちゃった!」

「もう!みんなさっきから待ちくたびれていたのよ、リュウ! 早くあなたもお祈りしなさい!」

アイが低いがしっかりした声で注意する。

「おっ、悪い悪い!」


「エタナールさま、エタナールさま。どうか私たちのお願いを聞いてください。

お父さんやお母さんたちと同じように冒険の世界へ行かせてください」


リュウもお祈りに唱和する。

彼はお祈りをしながら、前にいるユリアをちらりちらりと見ている。

最近、ユリアが気になってしかたがないのだ。

思春期まっさかりの男の子の女の子に対する関心というやつだ。


 リュウ― 白龍王のひ孫。年は12歳。

正しい名前はリュウジン・ウシュルガル・スレンデュラ・ゴッドリュー。

レオ王の妻の一人であるキュリアナ王妃― 愛称アナの息子だ。


 白龍族はめったに子どもが生まれない。

白龍王プラキルスタ・ロライド・スレンデュラ・ゴッドリュー157世は 白龍王妃アシュマナーダ との間に娘・ ウッパラカ・ズーラ・ズミレン・ゴッドリューがいた。

その娘が麒人族の皇子アズリューズ・リンウル=ヴィンと結婚して生まれたのがキリュアナ・プートリナーガ・アデライト・ゴッドリュー。リュウの母親でアナの愛称で呼ばれている。


 ようやく白龍族が待ちに待った正当な白龍王の後継者が誕生したというので、白龍王は大いに喜び、リュウが5歳になると白龍国へ連れて行き、白龍王学を学ばせはじめた。

そのため、先日の魔大陸でのゴブリン狩りにも参加できなかったのだが。

 


「エタナールさま、エタナールさま。どうか私たちのお願いを聞いてください... 

冒険の世界へ行かせてください」


「「「「「「エタナールさま、エタナールさま。どうか私たちのお願いを聞いてください。お父さんやお母さんたちと同じように冒険の世界へ行かせてください」」」」」」



 子どもたちは祈り続けた。

宮殿のメイドたちや母親たちがときおり覗きに来たが、“魔大陸に無謀な冒険をしに行ったことを後悔し、懺悔するためのお祈りだと言っているので感心するだけだった。


 しかし、お祈りが1時間続いたとき、子どもたちは飽きた。疲れた。

そして、1時間半が経ったとき、いく人かの子どもたちは居眠りをはじめた。


グゴゴゴ.........

クゥ.........

スヤスヤ......


レオタロウ、モモコなどは寝息までたてている。


「ふわ~っ!」

が大きい欠伸(あくび)をした。

「ふぁーあ」

つられてレンも大きく口を開けて欠伸をする。


「シーっ!リュウにレン!みんなが一生懸命にお祈りしているじゃない?!」

アイが低い声でたしなめる。

「だって、もう飽きたよ。ここで一日中お祈りしたって、新しい冒険の世界への入口は開かないよ?」

「どうしてそんなことわかるのよ?!」


二人の言い争いが大きくなり、みんなお祈りをやめて見ている。

居眠りしていた子どもたちも目を覚ましてしまった。


「いいよ。レンの言うとおりだと思うわ」

ユリアがお祈りをやめてアイとリュウのところに来た。

「もうお祈りはやめましょう。エタナールさまは、私たちのお願いを聞いてくださらないわけじゃないと思うわ」

「そうだよ!ユリアは間違ってない。ただ、やり方が正しくないだけなんじゃないか?」

ユリアに気があるリュウは、あくまでもユリアを庇った言い方をする。

「じゃあ、リュウは何かいい考えがあるの?お祈りじゃない方法とか?」

ユリアはリュウを見上げて言う。

リュウは12歳だが、すでに170センチを超えていてユリアより背が高くなっているのだ。


「方法の一つは、例の魔王が... あ、ルシエル ごめん!」

「いいよ。ボクはもう気にしてないから。新しいお父さんもいることだし」


ルシエルの父親は魔王で、十数年前に勇者たちに敗れて、ルシエルと母親を置き去りにして逃げてしまっていた。


「例の魔王が使おうとした、別の世界へ行けるゲートだよ」

「あのアルフヘルムの聖堂にある魔法陣?」

「うん。アイが魔法陣を描き替えたから魔王はテラへ行けなかったって話しだろ?」


当時、わずか3歳だったアイは、魔王に人質にされた時に、ミィテラの世界からテラの世界へ行くことができるゲートの魔法陣を描き替えることによって、魔王がテラへ行くことを阻止したというエピソードは、勇者王国では知らぬ者はいないほど有名な話しだった。


「そうよ。あの時以来、聖堂は警備が厳しくなっているし、魔法陣も修復されてないはずだよ」

「そうだ。だから、もし、おれたちが使ったら、魔王みたいにどこかわからないところへ飛ばされるか...」

「それとも魔王がいるところに飛ばされるかね!」

「そこが生き残れる世界だったらな!」

レンが口を尖らし

「そんな行き先もわからないところ、危険すぎて行けるわけないじゃない!?」

アイも声を高らげる。


「わたしもイヤよ、生きて帰れるかどうかわからないところに行くなんて!」

モモコもツノをふって同調する。

「ボクもママを心配させるようなことはしたくない!」

レオタロウもツノをふって姉に習って反対する。

「モモコちゃんとレオタロウちゃんのママ、怖いもんね...」

ミアが同情して言う。

「ママから張り倒されちゃうよ...」

「生きて帰れたらの話ね!」

モモコがコツンと弟の頭にゲンコツを当てながら言う。


「ゲート魔法陣を使うのが、方法の一つっていうことは、ほかにもあるってことね?」

ユリアがリュウの目を見ながら訊く。

「うん。精霊界に行くという方法がある!」

「精霊界?」

「セーレイカイ?」

「セイレイカイ?なに、ソレ?」

リュウの言葉に、ユリアたちが訊き返す。


「オバケがウジャウジャいそうなところだね!」

レオタロウがアホなことを言って、またモモコからコツンをされる。

「痛てえよ、モモコ(ねえ)っ!」

「アホらしいことを言って、鬼人族女王であるママと泰山王(たいざんおう)の家名を辱めないで!」

“ったく、もう、アホなんだから!”

とモモコはいやにご立腹だ。


「やっぱりレンタロウはママのところに置いて、ベンタロウとランコとイザオを連れて来た方がよかったかな...」

「えーっ、それはないよ、モモコ(ねえ)っ!」

つい考えが声になって出てしまった。


 鬼人族姉弟のやりとりを面白そうに見ていたリュウ。

「ぼくのママは、パパと結婚するのを ズミレンおばあちゃんに“まだ若すぎる”って理由で反対されたとき、精霊界で三年戦って、成長して帰って来てから結婚を承認させたんだって!」

「あ、その話は私もママから聞いたことあるわ!」

「私も聞いた!」

「パパも言っていたよ。だからアナ叔母さんはスゴイんだって!」

ユリアとアイ、それにモモコとマユラも異口同音に言う。


「そんなところに行く能力って、白龍族しか持ってないんでしょ? リュウ、あなた、もう、そんな力あるの?」

アイが肝心なことを訊く。

「いや... まだないよ。あと1、2年したらもてると思うんだけど...」

「え――っ? あと1、2年? そんなに待ってられないよ!そのころには、私、もう結婚しちゃっているかも...」

マユラが叫び声をあげる。


マユラは豹族の娘だ。

豹族は8歳から10歳で成熟し、12歳から14歳で結婚するのがふつうなのだ。


「ボクもジュジュをほったらかして、いつまでも冒険にばかり(うつつ)を抜かすしているわけにはいかないし...」


ジオンは豹族の16歳。

マユラの兄で、3年前からジュセリアというかわいい豹族の娘と同棲している。

マユラもすでにつきあって1年になる恋人がいる。


パンサーちゃん(豹族)たちは早熟だからねぇ...」

リュウがもの知り顔で言う。

「私だってつきあっているわ!」

「えっ!ユリア、誰とつきあっているの?」

「誰とでもいいでしょ、リュウ? 気になるの?」

「そりゃ、おれとユリアの仲だから...」

「まるで私がリュウの彼女みたいじゃない?」


ユリアが“なに、その言い方?”みたいな目でリュウを見る。


「あれっ、そうじゃないの?」

ユリアに直視されて、リュウは胸がドキドキする。


赤髪の美しいユリアの父親は人族のカイオで、母親はエルフのメイだ。

エルフの女性は種族の特徴で、胸は大きくない。

せいぜいBカップもあればいい方だ。


しかしユリアはDカップあった。おそらく人族の血を濃く継いだのだろう。

ファッションモデルにこそならなかったものの、ユリアのプロポーションはバツグンだ。

ただでさえ好きなユリアに見つめられて、リュウはドギマギした。


「そ、そんなわけないじゃない!」

否定するけが、なぜかユリアも赤くなる。

ユリアも心の中ではリュウが好きなのだ。


「で、誰なんだよ、そいつ?」

「アレックスよ!王国親衛隊の!」

「ああ、あいつか。あのニヤけたエルフ野郎だな?」

「ちょっとォ、リュウ!エルフを差別するような言葉は禁止よ!」

アイから注意される。


「そうよ、そうよ!私たちはエルフのハーフだし、リュウが好きなユリアにもエルフの血が混じっているのよ!」

ミアも口をとがらせて抗議する。

「ちょ、ちょっとォ!なんで、みんなリュウが好きな女の子が、私という前提で話しているの?」

「あら、ユリア、知らないふりしてもムダよ?みんなリュウがユリアのこと大好きで、ユリアも口には出さないけど好きだってことを!」

「な、なにを言うの、アイ?」


「あなた、リュウが最近まったくライトパレスに来ないものだから、当てつけにアレックスとデートをしたんでしょ?」

「......!」


図星だった。

リュウは白龍王学とやらで忙しくて、月に一度現れるくらいになってしまった。

以前は、週に一度はデートをして、手をつなぎあって散歩をしたり、木陰で抱擁したり、キスをしたりしていたのが、まったくなくなった。


 そのときに王国親衛隊のアレックス中尉にデートに誘われたのだ。

アレックスは、アイミ女王に似た白い髪と緑の目が美しいイケメンエルフだった。

ユリアに会うたびに明るくあいさつをして、話しかけてくれた。

アレックスはは22歳で、エルフ国から5年前に勇者王国に移住して来て勇者王国軍に入隊し、メキメキと頭角を現し、少尉になったときに志願して王国親衛隊にはいり、去年中尉に昇格した。


 初めてのデートのとき、夜の公園のベンチでユリアにやさしく語りかけた。

「僕ももう22になっただろう?父と母が、そろそろいい()を見つけて身を固めなさいってうるさいんだよ」

「え? 結婚?」

「君なら父も母も大喜びで結婚を認めてくれるよ...」

甘く囁かれ、かわいいあごに手をあてられてキスをされた。

リュウとはくらべものにならないくらい上手なキスだった。


 アレックスは女性の扱いになれていた。

デートの誘い方もスマートだったし、エスコートもスマートだった。

「アレックスって、女の子の扱いになれているのね?今まで何人の娘とつきあったの?」

「うーん... 君を入れて3人だよ」

「多いわね...」

「そうかな?」


ユリアは“少ないわね”と言おうとしたが、つい反対の言葉が出てしまった。

アレックスほどのイケメンエルフで、22歳にもなってつき合った女の子が3人というのはウソに決まっている。

しかし、アレックスとつきあうのは楽しかった。

だが、つきあいを初めて一ヶ月を過ぎたころから、アレックスは大胆になりはじめた。

ミニスカートをはいていると、座っているときにすぐに腿をさわってくるようになった。

当然、ユリアはいやがって、アレックスの手を払ったが。


だが、アレックスはデートをするたびに、ユリアの足をさわりたがった。

「僕たち恋人同士だろ? これくらい誰でもやっているよ?」

そう言われると、ユリアも強く拒めなかった。

すると、アレックスの手は次第にスカートの上の方に伸びていくのだ。

その手をどけようとすると、今度は胸にさわりはじめるのだった。


 そういう理由から、ユリアはアレックスとデートするときにミニスカートをはくのをやめた。

だが、「ユリア、せっかくの美しい足をパンツで隠すなんて惜しいよ!」とアレックスに言われ、

口の悪いモモコやほかの友だちからもあきれ顔で、「なに、あなた?まるで野良仕事のバアちゃんみたいにパンツばかりはいて!?」 と言われたのでパンツはやめた。


 まだ正式に婚約もしてないのに、アレックスは注文が多かった。

「ユリア、僕はね、結婚したら家庭を守って欲しいんだ!」

「ユリア、僕より遅く起きてはいけない。僕より早く寝てもいけない」

「ユリア、毎日、宮殿の仕事から帰ったら温かくておいしい料理が食べたいな」

「ユリア、結婚したら子どもは三人欲しいな!」

「ユリア、人の悪口、陰口は言ってほしくない。それと僕の親と兄妹も大事にしてくれ」


 しかし、ユリアが「私もお父さんやお母さんのように冒険をしたいわ!」と夢を語ると、

「そんな子どもみたいな事言ってないで現実に生きなきゃ。もう大人なんだよ? あーっはっはっは!ユリアはいつまでも子どもみたいだな!」と笑われた。


ユリアはカチンと来た。

「さよなら」も言わずに、いつもの別れのキスもせずに帰った。

途中で涙がぽろぽろ流れた。


オクタゴンハウスに帰ると、オリヴィア王妃から涙を見られた。

「ユリアさん、あなた、なぜ泣いているの?」

「マソシアターで悲しいドラマを観たの...」

「なんと言うドラマですか?」

「『フランドルのネコ』っていう、アートの才能のある貧しい少女とネコの友情を描いた物語なの」

「ああ、それ本で読んだことありますわ。想像の物語だけど、たしかレオさまが本になされた作品でしたわね」



 翌日、アレックスは花束を持って訪ねて来てユリアに謝った。

彼がいくらユリアにケータイマソキで電話しても留守電ばかりで応えてくれなかったからだ。

ちょうどレオ王がデートのあとでアウロラを家にまで送って来たのとかちあった。


「こ、これはレオ王さまにアウロラ隊長!?こ、こんばんは!」

「君は... たしか親衛隊のアレックス中尉だったね?」

「は、はい、レオ王さま!名前をおぼえていただいて光栄ですっ!」

レオ王は、アレックスと彼が持つ花とドアを開けて出て来たユリアのうれしそうな顔を見て言った。

「君はユリアとどんな関係なんだね?」

「は、はいっ。ユリアさんと交際させていただこうと思っています!」

「ユリアと交際?...」

レオ王はアウロラの方を見て言った。


「アウロラ、メイやユーリンさんたちは知っているのかな?」

「いえ、たぶん知らないと思います。私も今日、初めて知りましたわ」

「きょ、今日はお取込み中のようですので、あらためて出直してまいります!」

花束をユリアに渡すと回れ右をして帰ってしまった。


 アレックスの姿が見えなくなると、レオ王は赤髪の娘に言った。

「ユリア、中に入ってお茶でも飲みながらオレと話をしようか?」

「は、はい...」

ユリアはレオが真剣な顔になったのに、ちょっと驚いていた。

“私... 何かやらかしたのかしら?”

と思ったが、心当たりはなかった。



 レオ王はユリアの父親ではない。

彼女の父親はカイオ副王で、司政官として母親のメイ副王妃とともに遠く離れたオムルカル州で新しい都市開発を進めている。

 しかし、ユリアは勇者王国で小さいころから仲良くいっしょに育った姉弟(異母兄弟)たちと離れて暮らしたくなかった。

カイオ副王も母親のメイも彼女の願いを聞き入れ、レオ王とイザベル王妃やアイミ王妃たちに「よろしく面倒をみてやってくれ」とたのんだのだ。


 なのでレオ王はユリアにとって父親代理だった。

母親のメイの実家はライトパレスの近くにあり、『ニル・ブランド』を販売するアパレル品店を経営している。

リョースアールヴ(光のエルフ)隊長と王国親衛隊長を兼任しているアウロラは、リニョルフになったときに、メイの両親であるジャックさんとユーリンさんの養女になり、以来ずーっとユーリンさんたちといっしょに住んでいた。


ユリアが勇者王国に残ることになったとき、ユーリンさんは「ユリアがひとりであんな大きな家に住んでもさみしいだろう」と言って、ユーリンおばあちゃんと一緒に住むことを勧め、すでにユーリンさんの家に住んでいたアウロラといっしょに住むことになったのだ。



 父親代わりのレオ王からきつく問い詰められた。

いつから交際が始まったのか、交際はどんな内容なのか、どこまでいったのか、エトセトラ、エトセトラ。


「レオおじさま、私も18歳です!アレックスとの関係がどこまでいったかなんて、いくらお父さんの代わりのレオおじさまでも...」

「じゃあシーノを呼んでユリアの記憶を読んでもらってもいいんだけどね?」

「そ、それだけはやめて...」


しかたなしに、ユリアはすべてを話した。

キスからはじまったこと。


アレックスはキスが上手で体がとろけるような気分になること。

スカートの下から手をいれられて下着越しにさわられること。


胸もよくもまれること。大きいね!と褒められたこと。

結婚を前提につきあっていること。


彼はマジメで、今までユリアをふくめて三人としかつきあってないこと。

時期をみて正式に婚約をするつもりだと言ったこと…



 アウロラは黙ったままだった。

レオさまに知られた以上、母親でもない彼女が口を出すことはない。

レオさまが認めれば、それはカイオ副王とメイ副王妃が認めることになり、

二人の交際にゴーサインが出て、問題がなければ結婚にまで至ることになるだろう。


 だが…


レオ王の顔は次第に難しい顔になって行った。


“あちゃー… これじゃあ望み薄ね…”

そうアウロラが感じ、ユリアも雲行きが怪しくなりつつあると気づいたころ


「今、美雨(メイユイ)が調査の結果を念話で知らせてくれたんだが、アレックスが三人としか付き合ったことがないというのは真っ赤なウソだそうだ!」

「そんな... アレックスは私で三人目...」

「おまえで30人目だそうだ!」

「さ、30人?!」

アウロラの方がビックリしてズッコケそうになった。


「エルフ国で25人と付き合って、10人妊娠させ、最後に付き合った娘が未成年だったため、勇者王国に行ってマイホーム資金をためてから結婚するとウソの約束をして、こちらに逃げて来たのだそうだ」

「じゅ、10人妊娠!」

「ウソの約束!」

アウロラもユリアも開いた口がふさがらないと言った感じだ。

「結婚詐欺は、エルフ国でも勇者王国でも重罪だ!」

それを聞いて、ユリアは背筋が冷たくなるのを感じた。


「レオさま、今、親衛隊にアレックスを確保させるべく念話で命令を出しました」

親衛隊長でもあるアウロラが、レオ王に報告する。

「うむ。確保したら、エルフ国に送り返して生まれた子どもの責任をとって結婚させるように、美雨(メイユイ)にエルフ国政府の関係者と交渉をさせよう!」



その夜のうちにアレックスは親衛隊に身柄を確保され、

衛隊に付き添われエルフ国へ送還された。




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