118 メイミンズ・ラブストーリー(前編)
【スピンオフ Mei‐min's Love Story-1 明美の恋物語①】
モモコ、マユラ、リディアーヌ、ミアが帰って来たことで、勇者王国の王子、王女たちをメーンとする若者たちのテーブルもかなり賑わっていた。
「モモコのダンナさんって、メッチャイケメンじゃん?」
マウリやタロウ、ジオン、遥、骏、ベンタロウ、イザオなどのレオのほかの妻たちの息子たちに囲まれているビル- ダトーゥ族ギガタンコック族長の息子、ビルライデンコック- を見ながら桜綾が言う。
「ガタイもいいわね!アタシ好み!」
「こらっ、ランコ!何を言っているの?いくら妹でも言っていいことと悪いことあるでしょ?」
モモコが妊娠3ヵ月で目に見えて大きくなったお腹をさすりながら1歳年下の妹を睨む。
「ねえ、ねえ、ビルに弟はいないの?」
「4、5人いるわよ!」
「ついでに連れて来てくれたらよかったのに!」
紫釉が言えば、雲嵐も同意する。
桜綾もこの二人も、耀貴妃夫人が勇者王国の事業会社ユウシャコ創設時に人材不足を補うために興国から連れて来た幹部社員たちの娘だ。
「ミアはレオタロウとかなりいい線まで行ったのに、結局、そのエスピリティラって世界に残らないで帰って来たんだよね?」マーガレットが訊く。
マーガレットは、バルキュス司令官とヴェロニカ夫人の長女ヴィクトリアの娘だ。
「うん。ママが私はまだ若いから、帰って勉強しなさいって...」
「アイはレンと結婚しちゃったのね...」
「異母兄弟でも結婚できるだね...」
「わたしもミオンと結婚しちゃおうかな!」
「こら、アレッサ、ミオンはダメよ!もう、私が目をつけているんだから!」
「あら、私の方が目をつけるのは早かったわよ?」
「何言ってんの、タチアナ?早い者勝ちでしょ?」
「私はあなたより1コ年上なんだから、年長者を...」
「そんなの古――い!」
「古くないわよ、これは伝統的なオラシア国のしきたりよ!」
「私は骏がいいわ!」
「あら、エカテリーナもかなり面食いね?」
「わたしは遥の方が好み!」
こちらでは、アマンダとタチアナとポリナ、アリッサ、エカテリーナがアイと話している。
アマンダは青い髪と緑色の目を持ち、頭に小さなツノが2本ある。
彼女は勇者王国軍副参謀長ヤンガとベンケイのいとこミカエラの娘だ。
タチアナ、ポリナ、アリッサの3人は、それぞれヴェロニカ夫人の三女アナスターシャ、四女ミラーナ、五女ヴァシリーサ、それにヴェロニカ夫人の元侍女だったナターシャの娘たちだ。
ナターシャは、ポマロラ皇帝一家が危機に陥ったときに、身を挺して国外に脱出し、レオたちの救いを求めた、いわばポマロラ元皇帝たちにとって恩人だ。彼女もその美貌ゆえにレオに見初められてレオの妻となっている。
タチアナたちの座っているところから、ちょっと離れたところには別のグループがヤマト国のユウキ王子とタケル王子と明美を中心にしてかなりにぎわっている。
ユウキ王子はミヨカ王妃の息子でタケルはサヤカ王妃の息子で、二人ともいとこ同士だ。
ヤマト国のキミコ女王は、後継者である王子を二人病気で亡くしたあとでレオに泣きつき、ユウキとタケルをヤマト国王室に養子として迎えたのだ。なのでユウキはヤマト国の王位継承者第1位であり、タケルは第2位となる。
話題はヤマト国の次期王となるユウキ王子が婚約を発表することになったということだ。
「いやあ、ユウキと言えば、“シャイ王子”と言われるくらい引っ込み思案でおとなしいとみんな思っていたんだけど、メイミンちゃんにプロポーズするとは驚いたよ!」
「まったくだ!メイミンちゃんも、かなりシャイなんだけど、そんなシャイ同士がよく話せたもんだな?」
ベンタロウとイザオがユウキとメイミンを見て言う。
ユウキは控え目なので黙って何も言わないが、メイミンは真っ赤になってうつむいてばかりだ。
「あはは!ベンタロウもイザオもなーんにも知らないんだから!」
「えっ?なんも知らないって?どういうことだよ、コハル?」
「だからー!ユウキとメイミンの間をとりもったのはタケルってことよ!」
「「「「「え――っ?タケルが――っ?!」」」」」
ベンタロウ、イザオ、ジオン、遥、骏たちが驚く。
「それ、本当なのか、タケル?」
「ああ、本当だよ、ベンタロウ」
「道理でなっとくだな... シャイなユウキがシャイなメイミンちゃんにプロポーズするなんて奇跡は起こるはずないもんな...」
「なに、わかった風なこと言っているの、骏?」
「だってなァ、アヤ。ほら、このメイミンちゃんだろう?ユウキと目も合わせられないほど恥ずかしがり屋じゃん?」
「わかる、わかる... タケルは何事にも臆することないし、積極的だからね!」
「それにイケメンと来ているから... どう、タケル、現在のガールフレンド数は5百人くらいになっているの?」
「おいおいチズル、ボクをパパといっしょにするなよ?」
そう言いながらも、まんざらでもない顔のタケルだ。
ちなみにユウキ、マサル、ハルトの3人はミヨカ王妃の息子で、タケル、コハル、カズトの3人はサヤカ王妃の子ども、そしてゴウ、アヤ、チズルの3人はワカメ王妃の子どもだ。
* * * *
話の通り、ユウキとメイミンの間をとりもったのはタケルだった。
最近、ただでさえおとなしいユウキが、さらに寡黙になったので、長年いっしょに暮らしているタケルはユウキが何か悩んでいると察し、ある日、ユウキと話したのだ。
いとこ同士という安心感からか、それともこれ以上、自分の中にしまいこんでいることは出来ないと考えたのか、ユウキは心に抱えている悩みを吐露した。
「僕... メイミンが好きなんだ...」
「メイミンが好きって... いい娘だってことだろう?」
「違う!......」
めずらしくユウキが、顔を真っ赤にして自分の考えをハッキリ主張した。
「えっ?違うって... おまえ、まさか...?」
「僕はメイミンを女性として愛しているんだ!」
「えええ――っ?メイミンを愛している――?!」
「結婚を考えている!」
「け、け、け、結婚?!」
タケルはうつむいてしまったユウキをじーっと見た。
ユウキはこぶしを握りしめている。
そのこぶしはブルブルふるえていた。
「よし、わかった!」
「え?わかったって?」
「おまえはどうせメイミンに言えないんだろう?」
「...... 言えない...」
悲しそうに項垂れるユウキ。
シャイなユウキは、とても告白する勇気などないのだ。
「だからさぁ、ボクがメイミンにおまえがメイミンが好きだって伝えてやるって言っているんだよ!」
「や、やめてくれ、そんなこと!」
「ユウキ、おまえバカじゃないだろ?」
「クラスで首席なんだからバカじゃないだろうな...」
「なら、わかるだろ?メイミンのあのかわいさは、このまま何もしないでおくと、そのうち必ず誰かほかの男に落とされるってことだよ!」
「それはダメだ!」
「ダメって言ってもな、パパがユリアのカレシを逮捕させてエルフ国に強制送還させたみたいに、メイミンのカレシを逮捕させるわけにはいかないんだぞ?」
「そ、そりゃそうだろう...」
ユリアの父母であるカイオ副王とメイ副王妃は、司政官として遠く離れたオムルカル州に赴任し、都市開発計画にたずさわっているのだが、ユリアは小さいころから仲良くいっしょに育った姉弟異母兄弟と離れたくなかったので、勇者王国で引き続き暮らすことを決めたのだが、そのときにレオにカイオに代わって父親代わりにユリアの面倒を見るようにたのんだのだ。
だが、レオはユリアが勇者王国親衛隊の若い将校とつきあいはじめたことを知ると、すぐに徹底調査させ、その男がエルフ国で25人の娘とつき合って、そのうち10人を妊娠させ、挙句の果ては最後に付き合った娘が未成年だったため、結婚を強要されることを恐れて勇者王国に逃げて来て、そこで勇者王国親衛隊に入隊していたと言うことが判明した時点で逮捕させてエルフ国に強制送還させたのだ。
「だから、おまえがそうやって部屋の中でウツウツと悩んでいるうちに、愛するメイミンはほかのヤツに処女をあげているかも知れないってことだよ!」
「しょ、処女をあげるなんて!そんな言い方はやめろ、タケル!メイミンに限って...」
「ほえーっ!ユウキ、ロマンチックなのはいいがな、メイミンを創造主さまみたいに美化するのは止めろ!メイミンだって、おっぱいもあればオ〇〇コもあるんだぞ?」
「やめろ、やめろ!そんなこと聞きたくない! もうこの話は終わりだ!帰ってくれ!」
すごい剣幕で怒ったユウキに驚いて、タケルは“言い過ぎたかな?”と考え、いったん帰ることにした。
ユウキはタケルが帰ったあともしばらくは怒りが収まらなかった。
しかし... 不機嫌な顔を母親のキミコたちに見せたくないから、「勉強中なので部屋に持って来て」とメイドにたのんで自分の部屋で食事をひとりでしたあとでベッドにもぐりこんだが...
眠れなかった!
目を瞑ると、メイミンの姿が浮かぶのだ。
かわいい花柄のミニ興服を着たメイミン。
『ニル・ルック』のミニスカートとシャツを着たメイミン。
そして、片胸もろだしTシャツと片足もろだしショートパンツを着たメイミン。
「いや、メイミンは、あんなハシタない服は着ない!」
ガバっとベッドから半身を起こし叫んでいた。
片胸もろだしTシャツと片足もろだしショートパンツは、ニル・ルックの中でも大人気のファッションで、『おてんばルック』の名前で知られていて、勇者王国の若い女の子だけでなく、エルフ国、人族、はてはドワーフ国や獣人族国、それにトロール国でも女の子たちに大人気のファッションなのだ。
ニル・ルックはアウロラが考え出したファッションで、オリヴィア王妃のブランド『オリヴィーユ』が、中上流階級の女性に大人気なのに対して、アウロラの『ニル・ルック』は若者たちに大人気のブランドなのだ。
叫んだあとでまたベッドに寝たユウキだが...
どういうことか、想像の中でメイミンは
『おてんばルック』の片胸もろだしのTシャツを脱ぎ...
片足もろだしのショートパンツを脱ぎ...
かわいいブラジャーとパンティ姿になってしまった!
そして、メイミンはブラのホックを外し、胸を腕で隠しながら、
身をよじらせて前が見えないようにしながら、パンティを上手に片手だけで脱いだのだ!?
「ユウキ、見たいの?」
想像の中のメイミンはユウキの目を見つめて言った。
ゴクン!…
生唾を飲み込み、目を瞑ったまま
「うん!」
とユウキは返事をした。
メイミンは、腕を下に降ろした。
こんもりとしたおっぱいが現れた。
胸の突起はピンク色で小さい。
そして...
前を覆っていた手もとった。
黒い毛に覆われたオ〇〇〇が現れた!
いや、ユウキ自身、本物のオ〇〇〇は見たことがないので、
興味心から、かくれて見たエ〇本で見た女性の裸の画像のと同様に
夢の中のメイミンのオ〇〇〇は、モザイクがかかっていたのだが...
ユウキのジュニアはもうカッチカチになっていた。
思わず、パンツの中に手を入れ、固くなっているのを握ると前後に動かしはじめた。
コンコン!
その時、(運悪く?)ドアがノックされた。
「だ、だれだ?」
あわててパンツの中から手を引き抜いて、問いかける。
「ボクだよ。タケルだよ!」
「何の用だよ?」
「メシをいっしょに食いに来なかったから、おばあちゃんから見に行ってくれってたのまれたんだ」
「ちょ、ちょっと待って... 今、着替えているから、待って!」
ズボンの前をふくらませたままドアを開けたら、何を言われるかわからない。
“早く、早く、しずまってくれ!”
パンツの前を見ながらユウキは強く念じたが、静まるのには時間がかかる。
“とにかく、メイミンのことは考えちゃあダメだ。
そうだ、古代文学のオルガ先生を思い浮かべよう...”
オルガ先生は勇者王国立高校の先生で、年齢2百歳以上と言われているエルフおばあちゃんだ。
「おい、ユウキ、何してるんだ?早く開けろよ!」
ようやくジュニアがおさまったのでドアを開ける。
「ったく、何やってんだ?メイミンのハダカでも想像してマ〇でもかいていたのか?」
「帰ってくれ!」
「悪い、悪い!つい口がすべった。冗談だよ!」
「......... はいれ!」
タケルがイスに腰かけるのを待って、ユウキが口を開いた。
「タケル...... 先ほど、おまえが言ったことを考えていたんだ...」
「夕食のことか?」
「とぼけるな、メイミンのことだよ!」
「おう、そんな話もしたな。だけどあの話はなかったことに...」
「たのむ!メイミンに話してくれ!」
「...... 本気か?」
「これ以上の本気はない」
タケルは、ユウキがこれ以上はないという真剣な顔をしているのを見た。
「わかった。ボクにまかせておけ!大船に乗った気持ちでいろ!」
「僕は... 僕は... メイミンの処女をほかのヤツらにやらない!」
「それでこそユウキだ!それでこそレオパパの息子だ!」




