10 チルリとミルリ
【Tyruly ando Miruly】
運が悪かったというしかない。
ゼナノンが警告したことが起こってしまった。
ゼナノンが、“滅多に起きないが”と言ったことが、起こってしまった。
ラピアがパラスピリト チルリの罠にかかって、寄生されてしまったのだ。
最高階級のパラスピリトの力は絶大で、オーンも何もすることができなかった。
チルリとミルリの能力によって、全員が身動きできなくなった中で、チルリはそれまで寄生していた若いヤドラレ人の娘の体から離脱し、恐怖でガタガタ震えているラピアの首筋に付着した。
寄生を万全にするために、ミルリはタテガミのように首まで長く生えているラピアのピンクの髪のうなじの部分を切りとってから、剃り、すべすべにしていた。
そこに、それまで寄生していたヤドラレ人の娘の首から、青白いラピアのパラスピリトがふわりと離れ、まるでクラゲのようにフワフワと漂い、ラピアの首筋に付着した。
付着後、すぐに触手のようなものを伸ばしてラピアの首筋から侵入し、頚椎の間から脊髄に達した。
オーンは怒りでブルブル震え、リア―は目をそむけてしまった。
ユリアたちは、力ずくでラピアへの寄生を阻止しようと思えばできた。
(私がみんなをバリアーで守ってあげるから、逃げ出すときは知らせてっ!)
と守護天使のティーナが言ってくれたのだが、パラスピリトの町のど真ん中で騒ぎを起こしたら、どんなことが起こるかわかったものではない。
ゼナノン自身、ユリアたちの知らない方法で町の住民に知らせていたのだ。
パラピリストの町でパラピリス相手に問題を起こせば、パラピリストたちがどう反応するかわからない。もしかするとユリアたちは攻撃されるかも知れない。
それに、今後の旅のことも考えると、なるべく敵は作らない方がいいと言うのが、ユリアたちの一致した考えだった。
ティーナもいることだし、最悪の事態になるまで戦いは避けることにしたのだ。
テルースの世界での行動は慎重でなければならない。
「え――っ、なにを言っているの、チルリ!!」
突然、ミルリが叫んだ。
それまでは、パラスピリト姉妹だけの間で使える念話で会話をしていたので、姉妹ハイ・パラスピリトの間で何を話し合っているのかわからなかったのだが、ミルリの大声で何だか予期しなかったことが起こっているとわかった。
「あなただけを、このミィテラの者たちといっしょに旅に行かせるわけにはいかないわ!」
(えっ、ミルリは何を言っているの?)
(私たちといっしょに旅をする?)
(チルリは、おれたちといっしょに冒険をしたがっているんだ!)
(信じられないわ!)
(ムチャだよ!)
ユリアたちが念話でワイワイ騒ぎはじめた。
「じゃ、しかたないわ。お姉ちゃんも、もう一頭のメス・ラピテーズに寄生してついていくしかないわね!」
「なにっ?」
「やめてー!」
「!」
「えっ?」
「!!」
「?」
オーンがおどろき、リア―が悲鳴をあげ、ユリアたちもおどろく。
そんなことには全く構わず、ミルリはリア―の緑色の髪を切り、剃りはじめた。
みんなミルリとチルリの能力で身動き出来ないままだ。
「やめてー!やめて―――っ!」
「静かにしなさい!」
リア―は麻酔でも打たれたように静かになり、ミルリのするがままになった。
やがて、まっ白なリア―のうなじが現れ、ミルリは先ほどチルリがしたように、ガラスの床にうつぶせに横たわると、そのヤドラレ人の娘の首筋から離脱・浮遊して空中を漂い、リア―の白いうなじにくっついた。
そして触手のようなものを伸ばすと、リア―の首筋に刺した。
リア―が一瞬ビクっとしたが、反応はそれだけだった。
ラピアとリア―の首筋に付着したチルリとミルリのパラスピリトは、ゆるやかに脈動をしているが、まだあの青白い光を強く放ってない。まるでホタルの光のように弱々しい光を放っているだけだ。
チルリとミルリが付着してから、みんなを縛りつけていた効果が消えた。
オーンはしきりにリアーとラピアに話しかけるが、二頭とも何も反応しない。
リアーもラピアも床にうずくまったままだ。
そのまま1時間ほど過ぎた。
五芒星は、もうかなり西に傾いている。
「もう夕方だ...寄生って、こんなに時間がかかるのかな?」
リュウがガラスの壁越しに五芒星 を見ながら、誰にともなくつぶやいた。
「私もそう思っていたの...」
アイがリュウに同調する。
「誰もパラスピリトが寄生するところは見たことがないから、わからんが...」
オーンがそう言ったとき、ラピアが尻尾を動かした。
「あっ、尻尾が動いた!」ミアが叫ぶ。
ラピアと呼応するかのように、リア―も尻尾を動かした。
「こっちも尻尾を動かしたよ!」
レンが少し興奮したように叫んだ。
(ふーぅ... なんとかうまく行ったみたいね)
守護天使の念話がみんなに届く。
(ティーナちゃん、あなた、何をしたの?)
(ミルリとチルリが、ラピアとリーアの脳を完全支配するのを阻止したのよ)
(((((((((え――っ、阻止した――?!)))))))))
全員ハモった。
「どうしたのだ?みんなおどろいた顔をしているが?」
オーンがびっくりした馬面で訊く。
彼は念話ができないので、ユリアたちがどんな会話を交わしたのかわからないのだ。
(どうしようか... なんてオーンに説明したらいい?)
(この際だ、話しても構わないんじゃないか、ユリア?)
(そうよ。この世界には善霊とか悪霊とかがいるんだから、それほど驚かないんじゃない?)
(じゃあ、話すわ)
「実は、私たちは9人だけではないんです...」
「ん? 9人だけではないというと?」
オーンが怪訝そうな顔をする。
(わたしもいるんだよ――っ!)
ティーナの産みの母― といってもマツゲから生まれたのだが― のシーノが、まだ肉体をもたなかったときにいつも入っていた陶器製の青いペンダントからティーナが金色の光を放って飛び出した。
「こ、これは善霊?!」
オーンが大きな目玉をさらに大きくする。
そのとき、ラピアがもそもそと起き上がった。
そしてリーアも起き上がった。
「ふぅ... 体がちょっとおかしいわ...」
「私も... とくにオシリあたりの感覚があまりない感じ...」
ラピアとリーアが、けだるそうにしゃべっている。
「「善霊ってなに?」」
二人そろって聞いた。
はたして、ユリアたちの説明はすんなりとオーンたちに受け入れられた。
「それで、そのティーナという善霊が、ラピアとリーアがパラスピリトたちに支配されるのを阻止したというのはわかったが...」
「そのパラスピリトたちは、今、どこにいるの?」
「うまく寄生できなかったので、死んじゃったの?」
リアーとラピアの疑問に、彼女たち自身が答えた。
「どこにも行ってないわよー!」
「ここにいるわー!」
いや、リアーとラピアが答えたというのは正確ではないだろう。
その声色はチルリとミルリのものだったからだ。
「ギョっ!」
「なに、コレ?」
今度は間違いなくリアーとラピアの声だ。
(パラスピリトたちを死なせないために、彼女たちに体の一部だけを支配できるようにしたの)
「えっ?体の一部って、どの部分?」
ユリアがティーナと交わしている会話をマユラがオーンたちにもわかるように話す。
「尻尾と肛門筋ですって... そして、言葉もしゃべれるようにしたんですって」
「こらァ、この馬面人ども!早くおまえたちの脳を支配させろー!」
「どうやったら、肛門筋と尻尾の神経だけしか動かせなくなるのよ?」
チルリとミルリがわめいているが、ティーナはまったく気にせず話を続ける。
「おだまりなさい、二人とも!あまり騒いだら肛門筋だけにして、会話もできなくするわよ?」
「や、やめて!肛門筋だけなんて!」
「おとなしくしているから、会話だけはできるようにしてちょうだい!」
チルリとミルリが哀願する。
「ティーナは、創造主さまの力の一部を使える守護天使なんです。だからいくら最高階級のパラスピリトであろうが、彼女の力の前には...」
「屁と同じってことなのですよ!」
マユラが説明しているのをミアが誇らしげに成長しつつある胸を張って締めくくった。
「私たち... トップクラスのパラスピリトが...」
「屁ほどの力しかない...」
チルリとミルリがうなだれるのが感じられた。
「でも、尻尾と肛門は自由にできるから...」
「肛門を自由にできてどうなるの?クソを出すか屁をもらすかどうかを決めるだけじゃない!ワ―――ン...」
「尻尾だけを動かせても... ハエを叩くことしかできないわ... グスングスン...」
チルリはラピアの口を使って泣きはじめ、ミルリはリーアの口を使って泣き出した。
「そう悪い事ばかりじゃないでしょ?」
ユリアがチルリとミルリに話しかける。
「ワーン... え、どうしてよ?」
「なぜラピテーズの尻尾と肛門をだけしな支配できないことが、悪い事じゃないんですか?グスングスン...」
「どうしてって、チルリは私たちと冒険の旅をしたかったんでしょ?」
「そ、そうだけど、尻尾と肛門筋では...」
「なにも楽しいことないです...」
だが、一筋の光明を見たかのように、ミルリとチルリはユリアを見る。
「そこは、今後、勝手にラピテーズたちや、私たちに寄生しようなどと考えないと約束してくれるのなら...」
「約束するのなら?...」
「この馬娘から解放してくれるの?」
「解放したら冒険なんかできないでしょう?」
「えっ、じゃあ...」
「ということは...」
チルリとミルリがラピアとリーアの顔を使って見合わせる。
「そう。オーンさんが承諾して、リアーとラピアさえオーケーしてくれさえすれば...」
「おれたちといっしょに冒険の旅ができるってことさ!」
リュウがあとを続ける。
「ユリアさんたちといっしょに行きたい!」
「私も冒険の旅をしたいわ!」
異口同音に返事をしたのはチルリでもミルリでもなかった。
ラピアとリーアだった。
「お、おまえたち...!」
「ねえ、いいでしょう、お父さま!」
「世の中のことをもっと勉強させてください!」
「...... それほど言うのならいいだろう。イクシーと違って、おまえたちは恋人もいないからな...」
「あら、いるわよ! ミオチとムキルとギリスとエイド!」
「私もいますよ、お父さま。3人だけだけど」
「いるのか?!」
オーンがおどろく。
「お父さま。お父さま似で美人の私たちを、男どもが放っておくと思っているの?」
「むっ... そりゃそうだ。お前たちはたしかに儂似だからな!」
「ただ、深い関係じゃないだけよ。お父さまが怖いから!」
「お母さまは知っているわ」
「母親と娘は何でも話し合うのよ」
「クっ!...」
知らぬはオヤジばかりだった。
「じゃ、じゃあ、私とミルリはユリアたちと冒険の旅に行けるのね!」
ふたたびラピアの口を借りたチルリが聞く。
「リアーとラピアの主体性を常に尊重するという条件で、もっと自由にその身体を使えるようにしてあげますってティーナは言っているわ」
「するする!」
「尊重するわ、いえ、します!」
ティーナとチルリ、ミルリ姉妹の会話に慌てたのはリアーとラピア。
「ティーナちゃん、私たちの“身体をもっと自由に”って...」
「どういうこと?」
「まあ、ときどきは入れ替わってあげて、楽しませてあげるってことだって!」
マユラが伝える。
「ときどき入れ替わる?」
「ときどき楽しませる?」
「あのね... パラスピリトって、エスピリテラでは高等な精霊なのよ?せっかくいっしょに冒険の旅をしてくれるって言っているのに、尻尾と肛門筋だけをまかせるって、屈辱以外のなんでもないのよ?」
「!...」
「たしかに...」
リアーとラピアは、ミルリとチルリの言ったことについてしばらく考えていたが、結局ときどき入れ替わって楽しませるという条件を飲んだ。
「ワォっ!ありがとう!」
「ティーナちゃん、ありがとう!」
(いえいえ、どういたしまして。でも、ちゃんと約束したことをちゃんと守るのよ?)
「もちよ!」
「守るわ!」
二人のパラスピリトは答えたが、次にチルリが言った言葉はみんなを驚かせた。
「私たち、オシリの方の管理者なら、せめて尻尾くらい弄ってもいいでしょう?」
「えっ?」
「シッポをいじる?」
ティーナが許可し、リアーとラピアもオーケーを出した。
何と、チルリはラピアの尻尾を髪の毛と同じオレンジ色にして細くし、シッポの先にポンポンを付けた。
それを見たミルリもリーアの尻尾を同じようにし、先端はパープル色のポンポンにした。
「ま、まあいいんじゃない?」
「そ、そうね、かわいくなったわね...」
リアーとラピアは、あまりパラスピリトに手枷足枷をしてもしかたないと思ったのか、文句も言わなかった。
ここに、エスピリテラでもめずらしい、パラスピリトと他生物との共生という形態がはじまった。
パラピリストは、一方的に寄生する相手を選んで― ここ、エペロン・テルメンにおいては、ヤドラレ人を― その宿主から一方的に、パラピリスト自身を維持する養分を寄主から摂るとともに、宿主の体を自由に使って行動し、生活するという生態様式をとる。
パラスピリトは、エスピリテラの世界で最高の知能と能力をもっている。
なので、下等な生物を意のままに使うのは、至極ふつうのことなのだ。
そのパラスピリトが下等なラピテーズと共生するというのは、前代未聞だった。
そして、この共生は、リアーもラピアも、いや、ユリアたちでさえも想像をしなかった効果をもたらすことになるのだが、それは後の話だ。
チルリとミルリに、新しい宿主への寄生はこれほど時間がかかるのかをユリアが訊いたところ
「いえ、フツーだと付着して5分とかからずに宿主の支配がはじまります」
「私たちの場合、時間がかかったのは、ティーナちゃんがいろいろとラピテーズの脳内神経をいじっていたからでしょう」
「えっ、そうなの?」
(すみません... わたしもこういうことは初めてなので、いろいろ試行錯誤してしまい、時間がかかってしまいました...)
「そうか。どこが肛門筋を支配するかを探っていたんだ!」
(そ、それだけじゃないわ!おシッポを支配する脳神経もよ!)
その会話を聞いていたラピアとリーア。
「きゃっ!な、なんなんですか――っ? その会話は? わ、私はこれでもお年頃の娘なんですよー?!」
「私も恥ずかしいです――っ!」
(いや、イロジナス・ゾーンはいじってませんから、安心して!生殖器の支配神経だけよ!)
「ティーナちゃん、おまえ、生殖器とかイロジナス・ゾーンとかの神経もいじれるの?」
「「えええ―――っ!!」」
リュウの質問にラピテーズ姉妹がズッコケた。
(肛門筋も膣も同じ骨盤底筋群だから、パックサービスでね... それと、アソコあたりのイロジナス・ゾーンは骨盤底筋群の神経と密接な関係があるので、イロジナス・ゾーンの神経だけ省くわけにはいかないのですぅ!)
「なーるほど。じゃあ、チルリとミルリはvaginaの筋肉も任意に動かせるし、イロジナス・ゾーンも操作できるってことか!」
「「キャ―――――っ!」」
ラピアとリーアは恥ずかしさのあまり顔を覆ってしまった。
そして恥ずかしいところを先端にポンポンのついた尻尾で隠そうとした― ラピテーズは基本的に下着などつけず、革の胴着だけなのだ―
だが...
パラスピリトによって細くなってしまった尻尾では、ただいまみんなから絶賛注目されている恥ずかしいところを全部かくすことはできなかった。
「私たち、ユリアさんみたいに下着をはいて、恥ずかしいところを隠したいです!」
「何とかなりませんか、ティーナちゃん?」
騒ぎが少し静まったあとでラピテーズの美女― いや、美メス馬か― は懇願した。
(それは、私の能力ではムリです...)
「ティーナちゃんには無理ですって...」
「そこを何とかしてくださいっ!」
「このままじゃ恥ずかしくて歩けないわ!」
「あれ、私たちなら出来るわよ?」
「うん。できちゃうわ!」
チルリとミルリが解決できると言い出した。
「えっ、出来るの?」
「解決法があるのですか?」
ラピアとリーアの声色にもどって訊く。
「うん。できると思うよ!」
「私たちにまかせればね!」
今度はチルリとミルリの声色で答える。
なんとも面倒で忙しい一頭二役だ。
「じゃあ、してください!」
「お、お願いするわ!」
「よっしゃ、まかせといて!」
「大船に乗ったつもりでいて!」
十分後、応接室の中を二人の美女が歩いていた。
ひとりはの緑色の長い髪、もうひとりはピンクの長い髪だった。
緑の髪の美女はノースリーブの胸元が大きく開いた白いカシュクールを着て、白いデニムパンツを履いている。かなり大きなバストのせいでカシュクールの前がこんもりともりあがっている。
ピンクの髪の美女もノースリーブだが、こちらは黒いタンクトップに淡青色のデニムのミニスカートをはいている。こちらも大きなバストがタンクトップを破らんばかりにもりあげている。
「む、胸がとても窮屈ですぅ!」
「わ、私もオシリが窮屈ですっ!」
「仕方がないでしょう?あんなデカい体をヤドラレ人並みに縮小したんですから!」
「そうよ!どこかがハミ出るのは当然ヨ!」
「そ、そんなことを言っても苦しいのは苦しいですっ!」
「な、なんとかなりませんか?パンツが裂けそうですっ!」
リア―とラピアが苦情を言い、チルリとミルリが弁明している。
「ちょっと辛抱して。さっき計ったサイズに合わせた服を作らせているから...」
「もうちょっとしたら届けにくるわ。そうすれば問題解決するでしょ?」
「もう、苦しくて耐えれません!脱ぎますっ!」
「私も脱ぎますっ!」
リア―とラピアは、さっさと脱いでしまった。
「!」
「スゴっ!」
「デカっ!」
「さすがに大きいわね!」
「私の3倍はありそう!」
男の子たちがボヨーンと露わになったGカップサイズのおっぱいを食い入るように見ている。
さすがにアソコをかくすために人族になったので、はち切れそうなオシリを部分的に隠しているパンティはとらない。女の子たちの中には、自分の胸とくらべて、少なからずコンプレックスを感じたものもいたほどだ?
10分ほどして、チルリとミルリがオーダーした服が届けられた。
先ほど着ていたのとまったく同じファッションで、サイズが大きくなっただけだ。
下着も数セット注文したようだ。
「たくさん、かわいい下着が来ています!」
「服も何着かあるわ!」
「女の子は男の子と違って、何日も同じ下着を使わないからね!」
「女の子はオシャレをしなくちゃね!」
リーアとラピア、それにチルリとミルリはもう意気投合しているようだ。
おたがいに相手を尊重し、共生していくことを心から決意したようだ。
「ひでえな... まるでおれたちが、何日も同じブリーフを履いているような言い方じゃないか?」
「そうだ!そりゃ女尊男卑の考え方だ!」
リュウとレンが口をとがらせる。
「あら、リュウは着替えのブリーフ一枚しかもっていかないって言ってたんじゃない?」
「レンは着替えを持ってくるの忘れたって言ってたわね?お菓子は忘れなかったらしいけど?」
ユリアとアイからツッコまれて、だまってしまった。
「ボクのはモモコ姉が毎日洗ってくれているんだぞ?」
レオタロウが胸を張って言う。
ゴチン!
「イテっ!何すんだよ、モモコ姉?褒めてやっているんじゃ...」
「そんなこと明かしたら、ほかの男の子が自分のも洗ってくれって言うでしょうが?」
「あ、そうか!」
「アホ!」
「モモコお姉さまー!ぼくたちのパンツも洗ってくださーい!」
「お願いします、モモコお姉さまさま!」
「いやです!ユリアとアイに洗ってもらいなさいっ!」
「ええーっ、なんで私が洗わなきゃならないんですかー?」
「そうよ!自分のを毎日洗うだけで精いっぱいよ!」
「好きな男の子の下着を洗うのも愛情の表現よ!」
「「えええ―――っ?」」
茶番のような会話を聞いていたオーン。
リア―とラピアの寄生問題が一応決着がつき、二人が新しい服を着終わったのを見て言った。
「もう夕方だ。儂は集落に帰らなければならん」




