5-1-3 俺は姉にひどいことを言う
無事に帰宅し風呂も入り夕食時。
「明日の文化祭行けなくてごめんね」
「いえいえ、気にしないでください」
「文化祭で活躍する健一郎の姿を見たかったんだが・・・・・・」
父と母が残念そうに言う。
二人とも急な仕事が入ったため明日の文化祭に行くことができないそうだ。
「大丈夫だよ、お父さん、お母さん。わたしが健くんの活躍をバッチリ見届けるから!」
姉が任せろ、という感じで父と母に言う。
だが俺はそこで姉を悲しませるようなことを言う。
「すみません、ひどいことを言ってるのは承知で言います。
姉さんは出来れば明日は来ないでいただけると・・・・・・」
「えっ・・・・・・・・」
俺の言葉に予想通り姉がひどく悲しい表情をする。
「お姉ちゃんが文化祭に来るのがそんなに嫌・・・・・・・・?」
姉が涙目で俺のほうを見ながら言う。
「いえ、そういうことではないのですが・・・・・・」
「わかった。お姉ちゃんは明日家で大人しくしてるね」
そう言って姉は素早く夕食を食べリビングを出ていく。
「健一郎、どうしてあんなことを言ったの」
「そうだな。健一郎、その理由を聞かせてくれるか?」
「それは・・・・・・・・」
俺が先ほど姉に来ないでくれと言った理由を父と母に説明する。
「なるほど、事情はわかった。
とはいえ静のことを傷つけたことは自覚してるわよね?」
「はい。どういうことをしたのかも自分でわかっています」
「よろしい。ちゃんと今日中に謝るんだぞ」
「はい」
俺はその後普通に夕食を摂る。
俺があんなことを言った理由。
それは、姉みたいな超絶美人が明日俺の学校に来れば間違いなく大騒ぎになるからだ。
それも誰も止めることができないほどの規模の。
だから俺はトラブルを未然に防ぐために姉が来ないようにひどいことを言った。
だが、今考えてみれば姉は俺がそんなことを言ったとしても間違いなく文化祭に来る。
それでも俺は今回に関してはいくら批判非難罵詈雑言を受けようと引くわけにはいかない。
「両親にはああ言ったが、姉さんの身の安全を守るためと校内でカオスが発生することを避けるためだ。
どんなことを言われようと姉が文化祭に来ることは阻止しなければ」
姉が文化祭に来るのをあきらめる方法を探しながら歯磨きをし終える。
「ダメだ。いくら考えてもカオスになる未来しか見えない」
半ば諦めながら部屋のドアを開けると俺の布団の中に誰かが入っている。
掛け布団を普通にめくると
「つーん」
姉が俺の布団の中に入っていた。
「健くんがわたしが明日文化祭に来ることをOKしてくれるまでわたしは健くんのお布団を占領し続けるから!」
姉が俺の布団に入ったままそんな要求をする。
しかし・・・・・・・・・今回ばかりは何があっても姉の要求を呑むわけにはいかない。
待て。今の言葉、つまりは・・・・・・・・・・よし。
「わかりました。私は今日は姉さんの部屋で寝ます。
なので姉さんは明日文化祭に来ないでください。
それではお休みなさい」
「え!?ちょっと待って、待ってよ健くん!」
俺は姉に心を鬼にして鉄の意志で姉の要求に応じない姿勢を見せる。
そして姉の引き留める言葉に耳を貸さず俺はスマホを持って自分の部屋を出る。
そして姉の部屋へ行き姉のベッドに入る。
「そういえば姉のベッドで一人で寝るって初めてだな」
そう思いながら姉のベッドの中でスマホを操作し明日朝のアラームを設定する。
設定をし終えた俺は部屋の電気を消す。
「姉さんはもう少し自分の美貌とその周りへの影響力について意識するべきなんだ・・・・・・・・」
俺は姉の部屋の中で一人ぽつりと言葉を零す。
「あれだけ言っても何をしても姉さんは文化祭に来るだろうな。
・・・・・・・・・・・・はぁ。覚悟するか。
っていうか姉さんがあの後すぐ俺を追いかけてくると思ってたが今日に限ってそんなことをしてこないな。
どうしてだ?ていうか姉さんは今一体何をして・・・・・・・・・・?」
いや、気にしないことにしよう。
「っていうかあの場の流れとはいえ姉の部屋に平気で入って姉のベッドで何も考えずに寝る俺もどうなんだ。世間から見たらどう見たっておかしいよな、うん。でもこれはしょうがないんだ」
自分で自分につっこみを入れ、そして自分にそう言い聞かせて目をつむる。
・・・・・・・・・・・・ん。
スンスン
「・・・・・・・・これ、姉さんのにおい?」
ベッド全体についた姉自身のものらしきにおいを鼻で感じ取りながら俺は就寝した。
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「健くんのいーけーずー!どうしてあそこまでわたしが文化祭に来ることを拒否するのさ!」
わたしは健くんが自分の部屋から出て行ったあと健くんのお布団の中で叫んでいた。
「でもいいもん!明日はどんな手を使ってでも絶対文化祭に行くもんね!」
たぶん健くんはわたしが何を言っても文化祭に来るということはわかってると思う。
だから健くんのその予測通りわたしは文化祭に行く。
文化祭はあの子たちにわたしたちの仲の良さをアピールする絶好のチャンスだ。
いの一番に健くんのクラスに行って健くんを連れ出して一緒に回ろう。
そして学校中にわたしたちの仲良しカップルぶり見せつけるの。
健くんの学校のみんなにわたしが健くんの彼女だって思わせれれば大成功。
あの子たちは周囲の声を気にして健くんに手出しをしにくくなるはず。
「それはそうと、どうして健くんは今日あそこまで意固地だったの?」
健くんがたまに頑ななところは姉弟になって半年経った今でも変わってない。
でも今日の健くんはそんな中でも特別頑固だった。
「そしてどうして健くんは・・・・・・・・わたしを頼らないの?求めてこないの?どうして・・・・・・・・甘えてこないの?」
わたしが健くんにもっと姉としてでもいいから頼ってと言ってから3か月経つ。
でも結局健くんはあれからもわたしを頼ってくることがほとんどない。
姉としても女としても求めてくることは全くないし甘えるそぶりすら見せない。
わたしは健くんにたくさん頼ってきてほしいし甘えてきてほしいし求めてきて欲しい。
なのにそういうことを健くんは一切しないししようとはしない。
「もしかして、健くんはわたしのことが嫌いなのかな・・・・・・・?」
そんな考えが頭の中をよぎる。
だっていつもそう。健くんはわたしのいろんな要求にはたいていは文句を言ったりしながらでも呑んでくれる。
でも健くんからわたしに要求することは些細なことですら全くしない。
ということはそれってつまり健くんはわたしのことが嫌いって遠回しに態度で示してるようなものだよね?
でも待って。それなら全力でわたしからのキスやハグを全力で拒否するはずだよね?
ということは・・・・・・・・健くんはまだわたしに対してに警戒してるってことかな?
だとすると健くんがわたしからの要求を受け入れて自分からは要求しないというのもうなづける。
健くんの立場になって考えてみれば自ずとその理由は見えてくる。
何か要求すればその後何をされるか、何をしてくるかわからない相手であるわたしにおいそれと頼み事はできないよね。
うーん、だとするとどうしたら健くんはわたしへの警戒心を解いてくれるのだろう。
それをわたしは健くんの布団の中で考えてみる。
それにしても・・・・・・・・
「お布団の中、健くんのいい匂いでいっぱい・・・・・・・・・・♡」
お布団に染み付いた健くんのにおいでわたしの身体が火照っていく。
いつも一緒に寝るときは理性でそれを抑えてたけど今日は健くんは一緒じゃない。
どんどん気持ちを抑えきれなくなり理性が奪われていく。
「わたし、今健くんのにおいに包まれてる・・・・・・・!
ああ、健くん、健くん・・・・・・・・!!」
わたしは結局健くんのお布団の中で一夜を過ごした。
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