5-1-2 俺は今度は栗栖から一緒に回ろうと誘われる
文化祭前日の金曜日。
いよいよ明日は本番だ。
「準備、余裕で終わったね」
「リハーサルもバッチリだね」
文化祭の準備も終わりリハーサルが終わったところでクラスの連中がそれらが無事終わったことに安堵している。
「やっぱりアタシたちさ、相性抜群だよね」
リハーサルが終わった後栗栖がそのときの俺やほかの人とのトークや掛け合い、そして運びがうまくいったことにうれしそうにする。
「あれは偶然できただけだ。あんなきれいな進行はやれと言われても二度とできないな」
「弱気になっちゃダメ。大丈夫、伊良湖がヘマしてもアタシがなんとかするから」
「ああ、そのときは頼む」
「任せて!」
栗栖が頼もしい言葉を言う。
こういうのは栗栖のほうが慣れてるだろうから本番はその言葉を信じて栗栖のことを頼ろうと思う。
「それじゃあ、今日は早いけど明日に備えて今日はもう解散にしよう」
「「「お疲れ様ー!」」」
実行委員の解散の掛け声とともにクラスの人間が続々と帰っていく。
「麻衣ー、一緒に帰ろうよー」
「ごっめーん!もうちょっと残るわ~」
「え~?一緒に帰ろうよ~」
栗栖といつもつるんでる仲間が栗栖のことを呼ぶが栗栖は残るという。
栗栖がそいつらのところに行ってしばらく仲間と話すと
「そっか、わかった。じゃ、あたしたち帰るわ」
「うん、また明日ね」
と、仲間たちが栗栖を残して帰っていく。
少ししてクラスの連中は教室内からいなくなる。
「二人きりだね」
入り口付近にいた栗栖が教室の窓際にいた俺にふいに今の状況を意識させる言葉を発する。
「それが何だよ?」
「今なら何をしてもわからないよ・・・・・・・・?」
「何言ってんだ」
「何のことを言ってるかわかってるくせに♪」
栗栖が意味深なことを言いながら小悪魔な表情で俺に近寄ってくる。
どうせハッタリだ。
俺はそう考え余裕の表情をして栗栖が俺の前まで来るのを待つ。
「ねぇ、伊良湖。今からここでアタシとイイコト、しようよ」
「する気も勇気もないくせにそんなことを簡単に口にするな」
「伊良湖なら、いいよ。アンタが望むなら、そういうことも」
栗栖がずいっとさらに近づいて誘うような口調で俺に言ってくる。
だが俺はそんな言葉には引っかかったりしないぞ。
伊達に16年間家族以外にハブられてたわけじゃない。
「そう・・・・・・・・・・で、ここにわざわざ残った理由は?」
「だ・か・ら~そういうことを」
「早く用件言えよ」
栗栖に何の用があるのか家と急かすと
「伊良湖、アタシはアンタが望むなら本当に・・・・・・・いや、うん。まだそれには早いか」
何か聞き取りにくい音量で納得したような表情をしながら独り言のようなことを言った後俺にまた質問をしてくる。
「えっと、明日さ、休憩時間と出し物終わった後にさ・・・・・・短い時間だけどアタシと一緒に文化祭回ってよ」
まさか綾瀬先輩に続いて栗栖にもそれを誘われるとは。
でも俺のspの誘いに対する回答は唯に一つ。
「すまん。その申し出には応じられない」
「アタシと一緒はそんなに嫌?」
俺が栗栖の誘いにそう答えると栗栖は俺にすがるようにして言う。
「そういうことじゃない。
俺、去年の文化祭に出ることも行くことも出来なかったから・・・・・・・・・
その雰囲気とかよく知りたいんだよね」
「それなら別にアタシと一緒でもいいじゃん。何が嫌なの?」
「栗栖と一緒に回るのが嫌とかじゃないんだ・・・・・・・とにかく一緒には回れない」
栗栖は俺の言葉に
「・・・・・・・それはどうしても一人じゃないとダメなの?」
と悲しみがこもった表情で再度尋ねてくる。
「ああ」
「・・・・・・・・・・わかった。
じゃあ明日はアタシ、友達と回るね」
栗栖は俺に明らかに無理に作った笑顔を向けて俺から離れる。
「勝手なこと言ってすまない」
「ううん。こっちこそごめんね、急なこと言っちゃって」
お互いに謝った後
「アタシ、帰るね。また明日」
「ああ、また明日な」
栗栖は俺に挨拶して教室を出ていく。
「俺も帰るか・・・・・・・・・・」
俺は栗栖の申し出を断ったことに罪悪感を感じながら家に帰った。
誤字・脱字報告はお気軽にしてしてください。
確認次第修正を行います。




