3-3-6 私はお父様から彼が欲しい理由を聞かされる
明日も9時以降の投稿です。
年始から通常通りとなる予定です。
「お父様。今日はここまで私を連れてきたのは何故ですか」
「お前にな、俺が彼が欲しい理由を説明するためだ」
連休最終日の日曜日、私はお父様にサーキットに連れてこられた。
お父様がここに私を連れてきたのは彼を欲しがる理由を教えるためとおっしゃる。
「下を見てみろ。バイクの列があるだろ?その先頭にいるのが伊良湖健一郎だ」
えっ?先頭?
あのバイクに乗ってるが健一郎くんなの?本当に?
「スタート10秒前!」
「お、そろそろレースが始まるな。よく見ておくんだ。彼の走りを。
それが俺が彼を欲しがる理由だ」
5・4・3・2・1
「ブラックアウト、今レースがスタートしました!
25台のバイクが一斉に1コーナーへと向かっていきます」
レースが始まってすぐたくさんのバイクが走り出す。
健一郎くんのバイクも走り出す。
すると最初のカーブでいきなり彼は他のバイクより明らかに速いスピードで曲がっていく。
「え?」
「驚いたか?彼はな、コーナーが異常に速いんだ。
彼はどこのサーキットでも一回コースに慣れてしまえば誰よりも速いんだ。
そしてどんなタイヤを使わせてもそうなんだ。
だからどの企業も彼に自分のところのタイヤを使わせたがったんだ。
結局は抽選をしてうちがサポートという形で彼にタイヤを供給することになったんだ。
それが今も続いてるんだ」
知らなかった。
彼がそんなにすごい人間だったなんて。
あの出来事で彼のことを好きになってからいろいろ訊いて彼のことを知ってきたけどそんなことは知らなかった。
「知らなかったって顔をしているな?ということは彼はそんな話をお前にしてないってことか」
「ええ、彼はレースのことを私に話したことはありません」
「そうか。俺はこれだけのヒントを出したが、どうして俺が彼のことを欲しがるかわかるんじゃないのか?」
お父様が私に訊いてくる。
なるほど、お父様が彼を欲しがる理由。それは
「彼と私が結婚してうちの家に入れば彼にタイヤの宣伝を一生させることができるから」
「そうだ。彼がうちのタイヤを使い続ければ売り上げは安泰だ。
何故ならユーザは彼がうちのタイヤを使ってるならうちのタイヤを使えば早く走れると思うからな」
やはり。
私はお父様が彼を婿に迎えたい理由を知ってしまった。
私は惚れてはいけない男に惚れてしまったのね。
「だからな、前にも言ったが会社のためにも色仕掛けでもなんでもして彼を絶対に攻略するんだ」
お父様は真剣な目つきでそうおっしゃる。
でもつまりそれは彼に私の好意がお父様の思惑が含まれていると知られた瞬間に彼から嫌われる可能性があるということ。
つくづく私はついてないわ・・・・・・・・・。
彼のことをまた考えるうちにいつの間にかレースは終わっていた。
「今回も伊良湖は速かった!スタートからフィニッシュまで誰も寄せ付けませんでした!」
「いやあ今回もすごい走りでしたね」
解説の人が今日のレースについて振り返っている。
するとお父様が
「今日も彼はすごかった。さ、結果もわかりきった結果しか出なかったし帰るぞ」
とお父様がおっしゃるので私もついていく。
「また明日から彼の攻略を頼むぞ」
彼にお父様の策略と私の好意は別とどうしたらわかってもらえるか。
それを考えながら私はお父様と一緒に家に帰った。
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