3-1-3 俺は綾瀬先輩に好みの服を探られる
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「私ね、ここからすぐそこにあるショッピングモールに行ってみたいの」
綾瀬先輩が行きたい場所はかの有名なショッピングモールだ。デートには確かに最適だ。
様々なブランドの服が売ってあるし食事も摂れる。
映画館もあるところにはあるしゲーセンも然りだ。
だから一日中遊ぶにはもってこいなわけだ。
だが俺は気になった。
確か綾瀬先輩って家が結構な金持ちだったよな?
綾瀬先輩ほどの金持ちがどうしてここをデートの場所として選んだのか。
「健一郎くんはどうしてそこなのかって思ってるのでしょう?」
「!」
考えてることを読まれた!?
「図星なのね。誰だって思うわよね。何故実家が金持ちと謳われる私がデートの場所にここを選んだかって。
答えは簡単よ。行ったことがないから」
ああそういうこと・・・・・・・。
まぁ金持ちならあんなところそもそも行く理由がないからな。
勝手に納得していると生徒会長が俺の腕に抱き着いてくる。
「綾瀬先輩!?」
俺が離そうとすると更に強く抱き着いてくる。
「そういうわけだから、今日はショッピングモールでの恋人同士のデートをしましょう。」
綾瀬先輩はそのままショッピングモールへと俺を腕に抱き着いたまま引き連れていく。
「まずは服を見たいわ」
「いいよ。行こうか」
俺が綾瀬先輩を離すのをあきらめて腕に抱き着かれたまま綾瀬先輩に引っ張られること10分。
俺と綾瀬先輩はショッピングモールに到着した。
そしてモールに着いた瞬間、綾瀬先輩が服を見たいと・・・・・・・ん?綾瀬先輩の場合服なんてわざわざここで買わなくても
「あなたの服の好みを詳しく知るためにあえてここで服を買うの」
ああ、はい・・・・・・・・・。
少しモール内を歩くと綾瀬先輩がある女性ものの洋服店の前で止まる。
「ここで何着か見繕ってくるわね」
そう言って綾瀬先輩は洋服店の中へと入っていく。
数分後、店の中の試着室の前まで来てとメッセージが来たため店の中に入りその前に行く。
そして俺が試着室の前まで来たのを綾瀬先輩が顔を試着室のブラインドから少し出して確認した瞬間
「健一郎くん。この服はどう?」
俺の目の前でファッションショーが始まる。
清楚系、お嬢様系、お姫様系、クール系。
様々な恰好をした生徒会長が休む間もなく試着室から出てくる。
「似合ってるよ」
と無難な回答をし続けていたら元の服に戻った生徒会長が
不満に満ちた顔で俺に近づいてきた。
「健一郎、何か不満があるの?」
「いや、ない」
「なら私が着た服に対してきちんと感想を言いなさい」
綾瀬先輩に同じ感想しか言わなかったことに対して抗議される。
「栗栖さんと出かけてた時はちゃんと感想を言ったのでしょう?」
「栗栖の時も同じような感じだった」
「・・・・・・そう」
綾瀬先輩は俺のその言葉にどこか憐みを含んだため息をつく。
「すまない、女性用の服についてさっぱりなんだ。だからまともなコメントできなかった」
「でも健一郎くんの好みに近いかどうかくらいは言ってほしいわ」
俺の好み、か・・・・・・・・そもそも栗栖も綾瀬先輩もどうしてそんなことを知りたがるのだろうか?
「俺はどんな服を着た桔梗も好きだ」
「うれしいことを言ってくれるわね。でも今はその回答はダメ」
会長が俺にじりじりと近づいてくる。
それに併せて俺は離れる。
距離は縮まらない・・・・・・はずだったがうまく誘導されて知らぬ間に壁に追い詰められる。
あれれ?おかしいですよこれは。
前にもこんなことあったぞ。
「さぁ、今ここではっきりさせなさい。あなたの好みの服装はどれ?」
綾瀬先輩は俺に詰め寄ってそれを訊いてくる。
俺の服の好み。
正直言って似合ってればそれでいいくらいにしか思ってないから好みなんて考えたこともない。
でも俺の好みを今綾瀬先輩に言わなければならない。
だから俺は
「少なくとも桔梗がさっき着た服は全部俺の好みだ」
と完全に逃げの言葉でしかないことを言う。
「そ、そうなのね。それじゃあこの服全部いただこうかしら」
綾瀬先輩は俺の言葉を聞いて全部買うと言って会計に持っていく。
金持ちすげー、と思うと同時に申し訳ない気持ちになる。
「それじゃ、次行きましょう」
「えっ?」
俺はその後綾瀬先輩にモール内にあるほとんどの洋服店に連れていかれ俺が好む服装について散々調べられることとなった。
すみません、綾瀬先輩。俺は自分で自分がどういう服が好きなのかわかってないんです。
洋服店巡りが終わった後そう心の中で俺は懺悔した。
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