2-2-5 俺は警察に事情聴取される
「なるほど。あの男にあなたは突然煽られた」
「はい」
「しかも後ろから追突させて轢き殺そうとした」
「はい」
俺は警察署内で事情聴取を受ける。
「で、伊良湖さんはそれから逃げてここに来たと」
「はい」
俺は警察官からの質問に淡々と答える。
「だいたいわかりました。供述調書はこの内容で間違いありませんか?」
俺は内容を確認し
「この内容で間違いありません」
と言う。
「ではここに拇印でいいので印鑑押してもらえますか?」
俺は押印を求められ印鑑が手元になかったため拇印で押印する。
「これで事情聴取は終了です。ありがとうございました」
「わかりました。失礼します」
俺は事情聴取が終わったので警察署を出てバイト先に帰る。
「お、やっと帰ったか。えらい遅かったがどうした」
俺は店長に事情を説明する。
「そんなことがあったのか・・・・・・生きて帰ってきたのが奇跡だな」
「本当ですよ。本気で死を覚悟しましたよ」
店長がそう俺の身を案じる。
「まぁ生きて帰ってきて何よりだ。ってことはキャブのセッティングはバッチリのようだな」
ああ、そういえばそうだった。
元々セッティングがどうかっていうところで試走してたんだっけか。
「まぁ普通に乗る分にはあれで問題ないでしょう」
「というと?」
「スロットル全開だとちょっと燃料足りないみたいで最高速が伸びなかったんですよ。
中間加速も若干もたつきがあります」
俺の言葉に店長は少し考え
「ジェットニードルを1段上げてメインジェットを1番上げるか」
「それくらいでいいと思います」
「じゃ、ちょっとそれでやってみるか。で、オイルとオイルフィルタ交換で一台入庫してるからよろしく」
「はい」
俺はその後基本的な整備で入庫してきたバイクや車の整備作業をしていく。
「健一郎」
「あのバイク、セッティング終わったからもう一回試走してきてくれ」
「わかりました」
ちょうど自分がしていた作業が終わったところだったので快諾してまた試走してくる。
「どうだった?」
「いいですね。あれが今の時期ならベストでしょう」
「そうか。じゃ、あのバイクは引き渡しできるな。次はこれを頼む」
俺はその後も与えられた作業を淡々とこなしていく。
「よし、今日は終わりだ。もう帰っていいぞ」
「はい、それではお先に失礼します」
「今日は気を付けて帰れよ」
「わかっています」
俺はバイトを終え家に帰る。
俺が玄関の戸を開けてただいまと言うと
「健くんお帰り~~~~~」
と言いながら姉が玄関までくる。
そして俺は姉に強い力で抱きしめられる。
「姉さん、どうしたんですか」
「健くんが無事に帰ってくるのを待ってたんだよ。くんくん。ああ、健くんだぁ~」
俺の肩に自分の鼻をつけて姉が匂いを嗅ぐ。
「なんで匂いを嗅ぐんですか・・・・・?}
「本当に健くんかどうか確かめるため」
・・・・・・・いや俺は何も考えてない。
そういえば
「明日の準備をしないと」
「わたしが全部しておいたから大丈夫。運転も明日はわたしがするから」
俺を抱きしめたまま姉が俺の質問に答える。
少しして俺を離したと思ったら新婚三択を姉が俺にしてくる。
「健くん、今からごはんにする?お風呂にする?それともわ・た・し?」
「ごはんで」
「むぅ、そこはわたしを選んでよ!」
俺がごはんを選んだことに対して姉が文句を言う。
「何か起こったときに責任がとれませんので」
「大丈夫、わたしが責任取るから」
とキリッとした表情でよくわからないことを言うので無言でリビングへと向かう。
「健くん、ちょっと待って~」
姉が何か言っているが俺は何も聞こえなかったことにしてリビングにあるテーブルに座る。
そして夕飯を取った後外に出て裏にある倉庫まで行って明日の準備が本当に終わっているか確認をする。
現場・現物・現認。基本中の基本だよな。
「えっと・・・・・おや」
俺は裏に置かれていたマルチパーパスライトトレーラーを見て一抹の不安がよぎる。
「姉さん明日大丈夫かな・・・・・・・・・・」
まぁ今更か。
えっと・・・・・・・・あれもある、これもある。
「で、これを牽く車は・・・・・・これか」
世界的に有名なクロカン4WDに荷物が積んであるのでその中も確認する。
「ん、全部ある」
俺は明日必要なものが積んであるのを確認したので家に戻る。
今日は明日早いからと風呂入った後すぐに布団に入って眠りについた。
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