2-1-8 俺は綾瀬先輩と食べさせあいをする
「え、そ、それは悪いですよ」
俺が綾瀬先輩の提案をやんわり断ろうとすると
「食べてくれないの・・・・・・・・・?」
と頬を赤らめて残念そうに聞いてくる。
「た、食べます・・・・・・・・」
「そう、じゃ、じゃぁ」
綾瀬先輩はモンブランをフォークで一口大にしてこちらに差し出してくる。
「?」
「あ、あーん」
綾瀬先輩が俺にそうやって食べるように言ってくる。
俺はてっきりモンブランが乗った皿を渡してくるものだと思っていたのですごく驚いた。
「え、あ、綾瀬先輩・・・・・・?」
「あ~ん!」
綾瀬先輩が顔を真っ赤にして恥ずかしそうにして早く食べろと急かす。
俺は綾瀬先輩が差し出したフォークに乗っかったモンブランを食べる。
「お、おいしい?」
「・・・・・・・・・はい」
綾瀬先輩の質問に俺も赤面しながら答える。
「そう。そういえば、健一郎くんが食べてるガトーショコラ、美味しそうね。私、一口食べてみたいわ」
「綾瀬先輩まさか」
「一口・・・・・・ちょうだい?」
綾瀬先輩らしからぬ乙女な顔で俺におねだりをしてくる。
「え、は、はい!」
俺はパニック状態になりついはいと言ってしまう。
俺はガトーショコラを一口大にして綾瀬先輩に差し出す。
すると綾瀬先輩がガトーショコラを即座に食べる。
「ふふ、おいしい」
綾瀬先輩がそう言ってうつむく。
「そ、そうですか」
俺も綾瀬先輩と同時にうつむく。
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「は~あ、今日もダメだったぜ」
俺は親が持ってる車で街に出かけてた。
だが今日も女をゲットできずムカついた気持ちで街を車で流していた。
「ん?」
ふとよそ見をするとある喫茶店の店の中に綾瀬とあのクソ野郎がいる。
しかも二人してうつむいてやがる。
「ふひひ、今日は運がいい。あの女のあと付いて行って家を特定してやる」
俺は途中の交差点で転回し綾瀬から見えないギリギリの位置に車を止める。
さて、出てくるまで待とうじゃないか。
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「ありがとう健一郎くん」
「い、いえ」
俺はそう言ってまたガトーショコラを・・・・・・・・て。
そういえばこのフォーク、綾瀬先輩が。つまり間接っ。
そう意識した瞬間俺はどうしようとまた頭がパニックになる。
「どうしたの?」
綾瀬先輩が平然を装いつつもまだ少し頬が赤くさせてモンブランを食べつつ訊いてくる。
「いえ、なんでも」
俺は綾瀬先輩のその様子を見てままよと思いガトーショコラを食べる。
「間接キス、しちゃったわね」
綾瀬先輩がふいに発したその一言で俺はせき込んでしまう。
「ふふ、動揺したわね。ねぇ、私との間接キスの感想を教えて頂戴」
と勝ち誇ったように言うので
「すごくよかったですよ」
と綾瀬先輩の質問に返す。
すると綾瀬先輩は
「そうなの」
と逆に動揺する。
って何言ってんだ俺!?まじ気持ち悪すぎだろ俺!?
と冷静になる。がしかし時すでに遅し。
綾瀬先輩から
「健一郎くん、今なかなかに女性をドン引きさせるようなことを言ったわよ」
と指摘されてしまった、
俺の一言でなんとかお互いに平静を取り戻し、お互いに自分のケーキを食べながら話をした。
「ところで健一郎くん」
互いに注文したものを食べ終えたとき、綾瀬先輩が俺に何か聞こうとしてくる。
「何ですか綾瀬先輩」
「お互いの連絡先、そういえば知らないわよね。教えてくれないかしら」
綾瀬先輩に連絡先を聞かれる。
栗栖にも教えたしと思ってその申し出を快諾して連絡先を交換する。
「それにしても、健一郎くんはL〇NEをしてないのね」
「ええ」
「なぜ?」
「する必要がないからですよ」
俺が正直に理由を答えると
「そう・・・・・・」
と悲しそうな顔をする。
「さて、そろそろ帰りましょうか、今日は放課後デートに付き合ってくれてありがとう、健一郎くん」
「いえ」
綾瀬先輩のお礼に俺は短く返す。
会計を済ませた後俺と綾瀬先輩は車を止めてる駐車場まで戻る。
「今日は健一郎くんの家まで送っていくわ」
「俺の家までですか?」
「ええ」
綾瀬先輩が俺を家まで送っていくというのでそこまでする必要はないと断りを入れる。
「いや、ここでいいですよ」
「私に送らせて」
綾瀬先輩がどうしても俺を家まで送りたいと言う。
なので綾瀬先輩の厚意に甘えることにする。
「そういうことでしたら」
「ふふ、なら乗って」
綾瀬先輩の言う通り車に乗って家の場所を伝える。
「ここね。わかったわ」
綾瀬先輩がスマホスタンドにスマホをオーディオのAUX端子につながるケーブルを繋いだ状態で置く。
「それじゃ、行きましょう」
そう言って綾瀬先輩は車の運転を始める。
綾瀬先輩が運転する車が車道から出た瞬間また後ろにあの高級SUVがつく。
しばらくして信号が少ない2車線道路に入ったとき、綾瀬先輩のスマホが鳴る。
「申し訳ないけれど電話に出るためにスワイプさせてくれるかしら」
綾瀬先輩の言う通り俺はスマホの画面の受話の方向に画面をスワイプする。
「お嬢様」
「どうしたの」
「後ろから不審なスポーツカーが尾行してきています」
綾瀬先輩の車を尾行?
嫌な考えが俺の頭の中をよぎる。
「尾行してきてる車の外見の特徴を教えてくれる?」
「塗装は白、リトラクタブルヘッドライトでクーペタイプの車です」
「その車の進路をふさいで頂戴。その隙に私たちは逃げるわ」
「わかりました」
綾瀬先輩がそう言った瞬間に電話が切れる。
電話が切れた直後から綾瀬先輩はじわじわとスピードを上げていく。
それに合わせて後ろのSUVとの距離が離れていく。
そしてSUVの姿が見えなくなってしばらくして
「どうやらうまくやってくれたようね」
と綾瀬先輩が安堵する。
それから十数分して
「もうすぐ健一郎くんの家に着くわよ」
と綾瀬先輩が俺にもうすぐ到着する旨を伝える。
それから更に数分して俺の家の前に到着する。
「一時どうなるかと思いましたが何とか着きましたね」
「ええ。それじゃあ、バイクを降ろすわよ」
と綾瀬先輩が言いながら降りるので俺も降りる。
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