2-1-1 俺は姉と綾瀬先輩を宥めて栗栖との約束を果たそうとする
ここから2章が始まります。
「とは言ったものの、そういえば宣戦布告をしたはいいけどあなたたちの名前を聞いてなかったわね。私の弟に近づく不埒なあなたたちの名前は?」
三人が宣戦布告した後姉が能面のような顔になって二人に名前を名乗るように迫る。
「アタシは栗栖麻衣って言います。よろしくお願いします」
「私は綾瀬桔梗と申します。よろしくお願いいたします」
栗栖は刺々しく、綾瀬先輩はきちんと礼儀正しく自分の名前を名乗る。
姉が綾瀬先輩の名前を聞いた瞬間眉をピクッとさせた。
ん・・・・・・・・?今のは一体?
「そう、二人の名前はわかったわ。で、二人は一体どういう関係なのかな?」
姉は更に二人に俺との関係について聞いてくる
「アタシはただのクラスメイトです」
「私は彼が通ってる高校の生徒会長です」
それぞれ俺との関係を簡潔に言う。
何も間違ってないな、うん。
「ふぅん・・・・・・・・で、どうして二人はその程度の関係でうちの弟にベタベタしてるの」
あれ、何か姉の様子が・・・・・・・・・
目が、目がすごい怖い。
「だってアタシ彼のこと好きですから」
「私も彼のことが好きなので」
二人怯えたような表情から一変して毅然とした態度で姉の質問に答える。
「静さん、まさかその年で弟離れできてないですか?重度のブラコンですね」
栗栖が煽るように姉にそんなことを言うと
「だから何?ブラコンで何が悪いの?わたしは24時間365日死ぬまで健くんとベタベタしてたいの」
と姉はすさまじい気迫と形相で栗栖の煽りに返す。
あまりの姉の迫力に二人は黙り込む。
会話が止まったところで俺は三人に話しかける。
「あの、いい?」
そう言うと三人はこちらに顔を向けて俺の話を聞く素振りを見せる。
「今日は栗栖と遊ぶ約束だからそれを果たさせてくれ」
「健くん!」
「健一郎くん?」
俺がそう言った瞬間姉と綾瀬先輩から抗議が入る。
「いや、女性との約束を反故にするようなことはしたくないから」
俺が理由を言うと栗栖はうれしそうな顔をし、姉と綾瀬先輩はすごく渋々ながらも納得した表情をする。
「そ、そうね。約束を守らない男は男の風上にも置けないものね」
「そうだね。弟を約束を平気で破るような子に育てたつもりはないもんね」
姉の言葉には若干引っかかるものがあるがこれで栗栖と遊びに行く約束をふいにしてしまわずに済みそうだ。
「じゃあ、お姉ちゃんは大人しく一人でどこかに行くとするね」
「困らせてしまってごめんなさい健一郎くん。私もこれで帰るわ」
二人はそう言って綾瀬先輩は一般車待機場のほうに、姉は駅の方向に・・・・・・・行くのかと思ったら俺の左側まで来て耳打ちをする。
「二人のアプローチに絆されちゃだめだよ。特に綾瀬っていう名字の子には絶対に落とされちゃだめだからね」
と言ってから姉は駅の別の出口の方向に去っていった。
一体どういうことだ・・・・・・・・・・?
俺は姉の言ったことがどういうことかわからず考えていたら栗栖に体を揺らされる。
「ねぇ、邪魔もなくなったし早く行こうよ」
栗栖がそう急かすので俺はおお、と返事をする。
「で、結局どこに行くんだ?」
俺は栗栖にどこに行くのか再度尋ねる。
「ふふん、行ってからのお楽しみ!」
「え?」
俺が栗栖の答えに拍子抜けを食らっていると栗栖は腕を放し手をつかんで引っ張ってくる。
「こっち」
俺は栗栖に連れられて栗栖が目的とする場所を目指す。
「まずはさ、伊良湖の服装の好みが知りたいんだよね」
栗栖がそう言って連れてきた場所。
そこは女性用の服を売っている店だった。
「・・・・・・・・・・・・・」
「どした?伊良湖」
「いや、俺が来てはいけないところに今いると思って」
俺が普段と全く違う雰囲気に戸惑っていると栗栖は俺を店の中に引き込む。
「そんなキョドらなくてもいいって。カップルなら男連れでこういうとこ来るなんて珍しいことでもないんだし」
「え、カップル・・・・・・?」
「む、アタシとカップルに見られて何か不満なの?」
栗栖が俺の言葉に不服そうな顔をする。
「い、いやそんなんじゃない。俺が栗栖とカップルなんてってさ」
「釣り合わないって言いたいの?そんなのただの伊良湖の思い込みだよ」
栗栖が強い口調で言う。
栗栖は俺を試着室の前まで連れて行くと
「じゃ、アタシ服選んでくるからここで待ってて」
と言って店内を物色し始める。
「お、おう」
と俺は返事するが正直今俺の心は針のむしろ状態だ。
周囲の女性からの刺すような視線に俺は居心地の悪さが止まらない。
「待った?」
しばらくして栗栖が数着の服を持って戻ってくる。
「伊良湖?もしかして」
「大丈夫大丈夫」
栗栖がみな言う前に俺がそう返事すると
「・・・・・・・・・・・」
栗栖が俺の目をじっくりと覗き込む。
「わかった。じゃ、着替えるから試着室の前で待ってて」
栗栖はそういって試着室の中へ入っていく。
少しして栗栖が試着室から出てくる。
「へへ、どうかな」
試着室から出てきた栗栖はお姫様っぽい格好だった。
「おお、似合ってるぞ」
「むむ、ちょっと待って着替えてくる」
と言って再度栗栖は試着室へと入る。
次に出てきたときの格好は今どきのかわいい感じの服装だ。
「これはどう?」
「それも似合ってるぞ」
「・・・・・・・もう一回着替えてくる」
栗栖はそういって試着室に入る。
次に出てきたときの服装は清楚という言葉がぴったりな服装だった。
「どう?」
「・・・・・・・正直似合うと思ってなかった」
「え、何それひどーい!」
そう言って栗栖は元の服装に着替える。
「会計してくるから入口で待ってて」
栗栖がそう言うので店の入り口で待っていると栗栖がこっちに来る。
「お待たせ」
「ああ。今日試着した服のどれかを買ったのか?」
「うん」
そう言って大きな紙袋を見せてくる。
「どれを買ったんだ?」
「次の時のお楽しみ。さ、次行こ」
俺は栗栖にまた手をつかまれ連れまわされる。
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