1-E-3 私は彼との関係をどうすべきか悩む
あの日。
私はある男に呼び出されていた。
「俺がここに呼び出した意味、わかるよな?」
「さぁ、さっぱりわからないわね」
目の前にいるのは校内でも有名な女たらしもといクズ。
私は以前からこのクズにしつこく言い寄られていた。
「またまた」
「本当にわからないわ。あなたにここに呼び出された理由なんて」
私はわざとしらばっくれるがクズはニコニコしながら
「お前に愛の告白をしにここに呼び出したんだよ」
その言葉にイラッときた私はクズとしゃべってるうちに言い合いとなった。
そしてクズが激昂し私に殴りかかろうとしたその時
「待ちやがれ」
クズの向こうにある扉が突然開き男の声が聞こえてきた。
そして今度はクズと入ってきた男が喧嘩になった。
でも入ってきた男のほうが一枚上手でクズはすぐにノックアウトされてしまった。
「こっちだ」
男が私に近づいてその言葉を言いながら手に取る。
その直前私は男の顔を見たのだけどこの男の顔、どこかで見たことあるような・・・・・・?
そう思いながらも私は男に引っ張られて連れられて行く。
「ここまで来れば大丈夫だろ。俺にできるのはここまでだ。
後はあんたのほうで何とかしてくれ」
その言葉とともに男はどこかへ行こうとする。
「ちょっと!」
私は男を引き留めようとするが男は私の言葉を無視していってしまった。
「やっぱり彼、どこかで見たことあるわよね・・・・・・?」
息が整った後生徒会室に戻り生徒名簿を見る。
あの顔の男子生徒は・・・・・・・・・・・
「あった!・・・・・・・伊良湖健一郎・・・・・・・?」
この名前、どこかで・・・・・・・・・・・
そうだわ。彼、あの事故で休学届を出して9か月休んでた男子生徒だわ。
この顔、あのクズは陰キャなんて言っていたけれど客観的にはそこそこいい顔していると私は思うわ。
それにしても彼の顔・・・・・・・・・・昔どこかで見た記憶が。何だったかしら。
お父様に聞いてみればわかるかもしれない。
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私は夕食の後お父様の部屋のドアをノックする。
「お父様。今お時間よろしいでしょうか」
「入れ」
お父様から入室の許可が下りたので私は部屋へと入る。
「珍しいなこんな時間に」
「ええ、お父様にお聞きしたことがありまして」
「聞きたいこと?なんだ」
「この顔に見覚えはありませんか」
私はお父様に彼の顔写真を見せる。
「ん?ああ、彼はあれじゃないか。俺の会社がスポンサーについてる男じゃないか。昔一回だけここに来たことあるだろ」
そう言われ私は記憶を思い起こす。
「・・・・・・・・もしかして私が中学生の時にうちに来たあの鋭い目をした男の子?」
「そうだ。あいつだよ。名前でわからなかったのか?」
「ええ、わかりませんでした」
そういえば彼、あの出来事の後名字が変わってたのよね。
今になってそのことを思い出すなんて。
でも、彼の今の名字にも見覚えが。
もしかして
「彼、確か名字が変わってますよね?あの名字、確か」
「ああ、彼は俺がうちに引き取るつもりだったんだが先に彼を養子に引き取った家族がいてね」
「それってまさか」
私がそう聞くとお父様はうなづく。
「そうだ、昔俺のライバルだったやつのもとにね。あいつも俺と同じく彼のことを欲しがっていた。
それに彼の実の父親とあいつが結構親交が深かったから彼の情報をすぐに手入れることができたんだろう。だから俺は先を越された。ところでなんで彼のことについて聞くんだ?」
「いえ、実は今日」
私が今日起こったことを話すとお父様はどこかあくどい顔をする。
「なるほどな。彼がお前と同じ高校に進学してるとは知らなかった。それにしても変なところでお前は彼とのつながりを得たわけだ」
お父様はそう言った後私に真剣な目つきでこんなことを言ってきた。
「桔梗、彼に接近してお前に惚れさせろ。そしてうちの家に入るように仕向けろ」
「お父様!?いったい何をおっしゃってるのですか!?」
「彼はいずれうちに必要となる人物だ。何としてもうちの家に籍を入れさせたいんだ」
お父様は彼に随分と執心していらっしゃる。
それにしても彼のことを手籠めにしろだなんて・・・・・・・。
「お前も今日の出来事で彼に惚れたんじゃないのか?」
「そ、そんなことは」
私はお父様にそう反論する。
確かに助けてくれたことに彼に恩義は感じても好きになっては・・・・・・・・・
でもなぜか彼のことを意識した瞬間に私は彼のことが急に気になり始めていた。
まさか、私はもしかして・・・・・・・・・・?
「お前、恋する乙女みたいな顔になってるぞ。とにかく、彼を時間がかかってもいいから篭絡してくれ。頼んだぞ」
「・・・・・・・はい」
私はお父様にそう言って部屋を出た。
私はこれから彼を家のために篭絡しなければならなくなった。
私は・・・・・・・彼とどう接すればいいのだろう。
私は彼との関係をどうすればいいのか悩みながらその後の休日を過ごした。
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