1-E-2 わたしはどうしても彼にお姉ちゃんと呼ばせたい
健くんの高校の始業式があった日。
わたしは講義を受け終わり家に帰って夕飯の準備を手伝っているとお母さんが
「お風呂湧いたから健一郎に入るように言いなさい」
と言う。
「はーい」
とわたしは返事をし健くんの部屋に行く。
健くんの部屋のドアをノックすると彼が出てくる。
「健くん、お風呂に入りなさいってお母さんが言ってるよ」
そう言うと健くんはいつもより更に澱んだ目でわたしに返事を言う。
しかも今迄見たことないほど暗い表情で。
健くんが何かあって悩んでいることは間違いなかった。
わたしは思った。
今日が健くんとの距離を縮めるチャンスじゃないかと。
健くんを今日わたしの部屋に入れて悩みを聞き出して彼の悩みを解決することで姉として認めてもらえる絶好の機会だと思った。
その日の深夜わたしは強引に健くんを部屋に連れていき悩みを聞き出す。
健くんは一人の女の子を助けたんだけどその子から蔑まれるんじゃないかと悩んでいることを打ち明けてくれた。
わたしが健くんの悩みを聞いてその悩みに対して自分なりにアドバイスをすると健くんがすごく安心した顔をする。
わたしは健くんの顔を見て彼の役に立てたといううれしさと彼との距離が物理的に近いという今の状況に気持ちがどんどん昂ってしまう。
そしてわたしは彼との距離を縮めるチャンスは今しかないと思い理由をつけて自分のベッドに彼を押し倒してしまった。
湊ちゃんにはあんなこと言って否定したくせにそれをやってしまうなんて。
そう思いながらも彼がわたしの目の前にいるという状況に興奮が収まらない。
彼に頬ずりしたりきつく抱き着いたりしていたところ途中お母さんが部屋に入ってくるというトラブルがあった。
でも母さんは特にわたしに何も咎めずに部屋のドアを閉めたためわたしは胸を押し付けながら彼の上に引き続き寝そべる。
「静さん、今日は本当にどうしたんですか!」
わたしのことを未だにさん付で呼ぶので、
「お姉ちゃんでしょ」
と、幼い子にしかりつけるように言う。
「え、いや、私は静さんと血縁関係がありませんし」
「血がつながってないからわたしのことをお姉ちゃんって呼ばないの?なんだかのけものにされてるようですごく寂しいよ」
「ですが」
彼がどうしてもわたしのことを姉と呼んでくれないのでわたしはあなたのことがこんなにも愛おしいと思ってるのにと言うことを示すため頬やおでこ、そして首にキスの雨を降らせる。
「静さん、こんなのダメです」
「じゃあお姉ちゃんって言って」
彼はそこまでしても呼べませんと言うのでわたしは更に腕と手首にキスの雨を降らせ、最後に唇の横にキスをした。
「お姉ちゃんて呼んでくれないなら次は唇にしちゃうよ。いいの?」
「・・・・・・・・・姉さん」
彼にそう呼ばれた瞬間わたしの理性が崩壊しかけた。
わたしのことを姉さんって呼んでくれた。
わたしは彼が姉さんと呼んでくれて興奮が最高潮に達したのと同時に安堵した瞬間から眠気が襲ってくる。
「健くん、ごめんお姉ちゃん眠たくなっちゃった。今日はこれ以上イチャイチャできないけど許してね。だから今日は一緒にベッドで寝よう」
そう言うと彼は焦った顔をする。
「ダメですよそんな」
「お姉ちゃんのお願い、聞いてほしいな」
彼に上目遣いで私がそう言うとわかりましたと諦めを含んだ声で答える。
彼の許しを得たわたしは弟の体のぬくもりに包まれながら寝の谷へと落ちていった。
姉や母を義姉さんとか義母さんと書かないのは単純にセリフのときに義理かどうかなんて区別つかないからということと義理かどうかは家族のことを呼ぶ上で別に関係なくね?と思ってあえてそう書いています。
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