7-3-4 俺は綾瀬先輩の言葉に反論する
最近文字数少なめです。
なぜなら現実世界で様々なものに精神的に追い詰められてるから(言い訳
6月中旬。
「健一郎、今現在でアルバイトを続ける必要はあるのかしら?」
梅雨の真っただ中という中での雨の日。
俺はアルバイト先に送ってもらう道すがら綾瀬先輩からそんなことを言われる。
「ありますよ」
「どうして?アルバイトというのはお金を得ることを主目的としてするものだと聞くわ。
とするとうちにいればお金の心配は全くないじゃない。
どうしてするの?」
「あそこでバイトする目的は金じゃない」
「なら何なの?」
「経験です」
「経験?」
綾瀬先輩が珍しくわからないという顔をする。
「バイトで得られる経験なんてたかが知れてると思うのだけれど?
違うかしら」
俺は綾瀬先輩のその言動に少しムカッときた。
俺のバイトに関しては典史氏もその必要性を認め納得の上で続けさせてくれているのだ。
それに対してけちをつけられるのは非常に不愉快だ。
今バイクの整備工場でのバイトは別に金のためでやってるのではない。
正直なことを言えば父から整備のバイトをやれと言われたときはなぜ、と思って納得がいかなかった。
でもバイトでバイクを整備するうちにその意味を理解した。
バイクを速く走らせるためには運転のテクニックだけ鍛えてもダメだということ。
バイクがなぜ走り、曲がり、止まるのか。
それを実現するためにどんな部品が使われ、どういった動きをさせているのか。
部品の意味と動きを知ることも速く走らせるためには必要だということをバイトを通して知ることができた。
旅先やレース中にトラブルが起きたときにある程度原因を特定できるようになり、現地で対処できるようになった。
そういったことをわかってもらおうと俺は綾瀬先輩にバイトする意味を説明する。
「違う。
どんなバイトあってもでもそこで得た経験がたかが知れてるなんてことはない。
特に俺がしてるバイトは俺の人生の中でとても役に立つ経験・知識を与えてくれた。
レース活動をする上でそれらが現状大いに役に立っている」
俺はそれから綾瀬先輩に俺がバイトする意味や得られる経験以外のことについて説明する。
説明を一通り終わった後綾瀬先輩はわかったと一言言ったあと更に言葉を続ける。
「健一郎の気分を害するようなことを私は言ってしまったようね。ごめんなさい。
父がしてもいいって言ってることだし、これ以上は言わないわ」
「ありがとう」
俺と綾瀬先輩はその後しばし無言のまま俺のバイト先を目指す。
「終わったら連絡頂戴」
「わかってる。今日もありがとう」
「ん。それじゃ、行くわね」
俺は綾瀬先輩に礼を言って店の中へ入る。
そして着替え終わりさて業務を、と思った瞬間俺は聞き覚えのある声と聞きなれた呼び名で呼びかけられる。
「けーんくん」
声のするほうを振り向くとそこには姉がいた。
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