1-3-3 俺はギャルにぼっちの理由を訊かれる
後半は正直読まなくてもいいです。
金曜日。
俺は下駄箱で上履きから靴に履き替えようとしたところで誰かに声をかけられる。
「伊良湖」
俺を呼ぶ声を聴いて振り向くとそこには栗栖がいた。
「もしかして明日の約束の確認か?」
俺がそう訊くと栗栖は
「そ。忘れてないよね」
と俺に念押しをする。
「あぁ。明日10時に駅前の噴水だろ?ちゃんと覚えてるよ」
「よかった。ちゃんと覚えてる」
栗栖が俺が明日の約束の時間と場所を言うと安堵した表情をする。
「ところでさ」
明日の約束の確認を終えた後栗栖が
「今から時間ある?」
と俺に聞いてくる。
「俺この後バイトがあるから・・・・・・10分くらいなら」
俺がそう答えると俺に近づいて俺の腕をギュっとしながら
「10分でもいいから自販機のところで話しようよ」
と栗栖が言う。
「そうか。わかった。いいよ」
俺は栗栖が10分でもいいから話がしたいと言うので栗栖の言葉に頷く。
「やった。じゃ行こ」
俺の腕をギュッとしたままそう言って栗栖が歩き出す。
「く、栗栖。歩きにくい」
と栗栖に抗議すると
「このまま歩いたらダメ?」
と上目遣いで言うので俺はすかさずいいよと言って歩き方を探りながら栗栖と一緒に歩く。
待てよ、これ端から見たらラブラブカップルがいちゃつきながら歩いてる構図だよな・・・・・・?
うん、考えないことにしよう。
結局俺はその状態のまま栗栖と自販機の前まで歩いた。
栗栖は自販機の前まで来たところで俺の腕を離す。
そして自販機で栗栖は紅茶、俺は練乳入りのコーヒーを買い、壁にもたれて一緒に飲む。
「栗栖、話ってなんだ」
俺が栗栖が話したいことは何かと聞くと、
「そうそう、アンタに前から聞きたいことがあったんだけどさ」
と言う。
「何だ?」
「アンタどうしてまだクラスでぼっちのままなの?」
栗栖が話したいことというのは俺がいつまでぼっちでいるのかということだった。
「さて、一体何のことだか」
俺は栗栖の質問にわざとしらばっくれる。
「はぐらかさないで」
栗栖が怒った顔でこっちを見ながら言う。
「はぐらかしたつもりはないんだが」
「アンタがはぐらかしてるのなんか声だけでわかるよ」
ん、声だけでバレるくらいには俺ははぐらかすのがヘタクソってことか。
課題が一つできたな。
そんなことを思っていると栗栖が俺に質問してくる。
「アタシ気づいたんだ。アンタはそういえばぼっちだというのに友達を全く作ろうとすらしないなって。どうして?」
俺はその質問にどう答えたものか悩む。
「色々あってね」
俺は少し悩んで玉虫色の答えを言う。
「そう」
俺の答えに栗栖はどこか納得いかないという顔をする。
「じゃあ聞くけどさ。ぼっちで寂しくないの?」
「別に」
栗栖にそんなことを聞かれたので俺はそうと答える。
「そっか。わかった。ごめんね、変なこと聞いて」
「いいよこれくらい」
栗栖は聞きたいことを聞けたようだ。
「じゃ、バイト頑張ってね」
栗栖は空き缶をゴミ箱に捨てて去っていく。
俺も同じことをした後バイクでバイト先へと向かった。
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「おはようございます」
「おっ来たな。早速だがこの作業を頼む」
「わかりました」
店長の指示のもと俺は作業をしていく。
俺はとある理由で学校終わりにある場所でバイトとして短い時間ながら働いている。
俺が作業を全て終わらせたタイミングで店長が明日のことを聞いてくる。
「そういや、この間休みたいって言ってた日、明日だよな?どこか行くのか?」
俺は店長の質問にどう答えるか悩む。
別に正直に答える必要あるかというとないんだが隠すことでもない。
ただどういう言い方をすればいいかわからないだけだ。
「んー?その反応、もしかして女か?」
「え、いや・・・・・・・・」
俺がさらに言い淀むと店長が茶化してくる。
「そうか、お前にもついに春がな~」
「違います。全然そんなんじゃないです」
俺は店長の言葉を全否定する。
「ホントか~?明日は彼女とラブラブデートなんじゃないのか~?」
「デートじゃないです」
俺が強く否定すると
「おう。そ、そうか・・・・・・・・」
と言って引き下がる。
「確かに女と会うのは会うんですが」
と俺が言った瞬間
「やっぱりデートじゃねーか!」
と店長がキレのいい突っ込みをする。
「早とちりしないでください。確かに女と会うんですが・・・・・・・デートと言うわけじゃ本当になくて、単に女友達と一緒に遊ぶだけなんです」
「いやいや、それ充分デートだろ」
店長は頑なに俺の明日の行動はデートだと指摘する。
「明日一緒に遊ぶ女とは付き合ってるとかそういう関係じゃないのでデートじゃないです」
と俺は店長に負けずに頑として否定するも
「男と女が一緒ならどんな場所に行くのも何をやるのも全てデートだ」
と店長が迷言みたいなことを言う。
「ちなみに、明日のデートはどっちから誘ったんだ?」
「相手のほうからです」
俺はデートというのを否定するのがめんどくさくなりそういうことにして店長の質問にそう答えると
「ほう、それだったら絶対女のほうはお前のこと好きだな」
と店長が言う。
俺はそんなことはあり得ないと思い、
「んなわけないじゃないですか」
と言う。
俺のその答えを聞いて店長は呆れたというようにため息をつく。
「伊良湖、もう少し自分に向けられる女からの好意に目を向けたほうがいいぞ」
「・・・・・・はい?」
俺はその言葉の意味が理解できず店長に聞き返す。
「いや、うん。まぁ明日は頑張れ」
「頑張るようなことはありませんよ・・・・・・?」
と、俺は店長の言葉によくわからないまま返事をする。
そんな会話の後俺は作業日報を書き終えて店長に提出する。
「ん。じゃ、今日はこれで終了だ。お疲れ」
「はい。お先に失礼します。」
俺は店長から帰って良しとの通達が出たので挨拶をして家路につく。
そして明日は早めに出ないといけないため俺はやることやってすぐに布団に入った。
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