5-5-14 俺は綾瀬先輩と海でデートをする
「お待たせ」
俺が水着に着替え終わりタープの陰で待っていると綾瀬先輩が戻ってくる。
「健一郎くん、こっち見て。その、どう、かしら?私の水着姿は」
綾瀬先輩が俺に水着姿を見ろと言う。
綾瀬先輩の水着は白のワンピースタイプの水着だ。
といってもヒラヒラがついてるとかそういったものではなくいわゆる競泳水着というのか、そういうタイプの水着だ。
綾瀬先輩のスタイルによく似合っている。
「すごくよく似合ってます」
「健一郎くんの好みには合ってるかしら?」
「はい」
俺が質問に答えると綾瀬先輩はそれならうれしいわ、と言って陰に入る。
「健一郎くん、日焼け止めはちゃんと塗った?」
「ええ」
「よかった。せっかくの健一郎くんのきれいな白い肌が紫外線でやられたら困るもの」
いや、俺の肌は別にきれいなんかじゃないと思うが。
肌が白いのも普段から長袖のトップスと脚をきちんと覆うボトムしか着ないからで・・・・・・・うんこれ以上はやめよう。
「ところで、いつのまに水上オートバイの免許を取ったのかしら?」
「最近ですよ。夏休みの課題が終わってあまりに時間が余ったのでボートと一緒に」
「へぇ、ボートの免許も取ったのね」
綾瀬先輩が俺の回答に意味深に反応する。
「健一郎くん、早速水上オートバイに乗ってみたいのだけどいいかしら?」
「いいですよ」
俺と綾瀬先輩はPWCに向かいライフジャケットをつけて乗る。
そしてエンジンをかけて最初はあまりスロットルを開けずに走る。
「こういう感じなのね。もっと怖いのかと思っていたけど意外とそうでもないのね」
綾瀬先輩が俺が操縦するPWCの後ろで最初に言った感想がそれだった。
その感想を訊いて少しイタズラ心が出てしまう。
俺は昨日姉と乗った時にだいたいの操縦の癖をつかんでいたので少しずつスロットルを開けていく。
「少しづつスピードが上がってきたわね」
綾瀬先輩が少し焦り始めるがまだ楽しそうだ。
なので更にスロットルを開けていく。
「ちょっと健一郎くん、大丈夫?本当に?」
「大丈夫ですよ。でもしっかり掴まっててくださいね」
俺は綾瀬先輩にそう注意してすぐスロットルを全開にする。
速度計の数値が100kn/hを超えたあたりから綾瀬先輩が悲鳴を上げ始める。
「ちょっと、はや、速いわよ!?もう少しスピードを落として!!」
俺は綾瀬先輩のその声を聴き少し速度を落とす。
すると綾瀬先輩は俺に非難の声を上げる。
「いきなり速いスピード出さないで」
「すみません」
俺が綾瀬先輩に謝ると綾瀬先輩が反省してるか更に聞いてくる。
「本当に反省してる?」
「してますよ」
俺が言うと綾瀬先輩はそう、とどこか納得してない声で答える。
「もう少し安全にお願いね」
「はい。ですが水上オートバイって怖い乗り物ですからね。
掴む力はそのまま最大限の力を維持してくださいね」
俺はそう言った矢先にそのままの速度で少し沖のほうに行く。
周りに誰もいないのを確認してからいきなり転覆しないギリギリの角度で旋回する。
「きゃああああああ!?」
俺が旋回した瞬間綾瀬先輩がすさまじい悲鳴を上げる。
「待って健一郎くん、あああああああああ!!!」
俺が再び今度はさっきよりゆるく旋回するとまた綾瀬先輩が悲鳴を上げる。
そこで俺はスピードをかなり落としクルージングくらいの速度にする。
「健一郎くん、少しは手加減というものをしなさい」
俺は本気で綾瀬先輩に怒られたため謝る。
「すみませんでした」
「ん。次からはちゃんとしてね」
「はい」
俺はその後は大人しくPWCを操縦し、岸へと帰る。
「それじゃあ健一郎くん、少し休んだらお腹もすいたしBBQしましょう」
俺はその言葉についに来たかと思う。
俺と綾瀬先輩はタープの下まで行き少し休んだ後BBQの準備をする。
俺はコンロをセットし炭に火をつけ、綾瀬先輩は食材の準備をする。
「これで焼ける火力だと思います」
「そう。なら試しにこの肉を焼いて見ましょう」
しばらくして火力が安定きたようなので綾瀬先輩に言う。
すると綾瀬先輩がそう言ってトングで牛肉を取り出す。
網の上に肉を載せるといい感じに焼ける音とにおいがする。
「火力はちょうどいいみたいですね」
「そうね。なら少しずつ焼いて食べていきましょう」
俺と綾瀬先輩は肉と野菜を焼きながら食べていく。
+++++++++
「何かが違うわね」
綾瀬先輩がぽろりそんな言葉を零す。
やっぱりかと思いながら俺は綾瀬先輩のその言葉に返す。
「何がですか?」
「もっとBBQって楽しいものだと思っていたのだけれど」
「もしかして綾瀬先輩、これって昔言ってたやってみたいことの一つですか?」
俺が綾瀬先輩に訊くとそうよ、と答えたので俺は予想してた通りになったと思った。
恐らく昔デートしたときに言ってた友達とやってみたいことの一つをやろうと思ったのだろう。
俺は綾瀬先輩に諭すように現実を突きつける。
「綾瀬先輩、あれは大勢でやるから楽しいんですよ。
3人以下の少人数でやるものではないですよ」
「どうやらそうみたいね・・・・・・」
俺の言葉に綾瀬先輩は納得してシュンとする。
その後は黙々と綾瀬先輩と俺で肉と野菜を消費する。
BBQが終わり二人して寝そべっていると綾瀬先輩が俺の体に転がりながら近づいてくる。
「健一郎くん」
「何ですか綾瀬先輩」
「さっき気づいたのだけれどデートなのに私を先輩呼びで私とは敬語で話すというのはどうかと思うのよ」
綾瀬先輩が俺にそんなことを言ってくる。
言われてみればそうだなとも思うがまだ恋人関係というわけじゃないわけで。
そう思い変じゃないのではと俺は答える。
「先輩呼びでもいいと俺は思いますが」
「ダメよ。これからデート終わるまでは私のことは下の名前で呼び捨てして敬語は禁止よ。いい?」
「・・・・・・・・ハイ」
俺は綾瀬先輩からの珍しく鋭い視線にたじろぎ思わずはいと答えてしまう。
「じゃあ、ほら。私のことを呼んでみて」
「・・・・・・・・・・・・・・き、桔梗」
「よくできました」
綾瀬先輩がそう言って俺の頭をなでる。
その感触は姉より少し雑ではあったが気持ちはよかった。
「それじゃ、少し歩きましょうか」
「わかった。でもそれは水分補給してからな。あと日焼け止めも汗かいたから塗り直しがいるかも」
「そうね。その後で、ね」
俺は綾瀬先輩と一緒に水分補給と日焼け止めの塗り直しをする。
そして綾瀬先輩が立ち上がるのと同時に俺も立ち上がる。
「それじゃあ行きましょう」
「ああ」
俺は綾瀬先輩に口語で話しながら横について海岸線を歩き始める。
「健一郎くん、そういえばあなたにそもそも結婚したいっていう願望があったりするの?」
突然綾瀬先輩からそんな質問が飛び困惑する。
俺はとりあえず今の正直な気持ちを答える。
「わからない」
「この人とそう遂げたいって思ったことはないの?」
「ないな」
俺は正直に答える。
「健一郎くんは、恋をしたことももしかしてないのかしら?」
「全くない」
「え?本当に?」
「ない」
俺の答えに綾瀬先輩は驚くが本当なのだからしょうがない。
そもそも綾瀬先輩はどうなのだろうかと思い訊いてみる。
「そう言う桔梗は誰かに恋したことあるのか?」
「・・・・・・・・・あんなことを訊いておいてごめんなさい。私もないわ」
俺が問いかけてすぐ綾瀬先輩が謝る。
それを聞いて俺はそれ以上は問い詰めないことにする。
そんな話をしながら俺と綾瀬先輩は海岸線を歩く。
そしてただただ歩いていたら日が傾き始めたのでタープの場所まで戻り荷物を片付け始める。
荷物を粗方載せた後タープを解体しそれも荷台に載せる。
「最後は水上オートバイを引き上げね」
「そうだな」
俺は綾瀬先輩と一緒にPWCを引き上げ駐車場に戻った後でお互いに水着から普段着に着替える。
「帰りましょう」
「ああ」
俺が同意すると綾瀬先輩がエンジンをかけて走り出す。
そして旅館に戻りトレーラーの連結を解いて駐車マスに移動させた後綾瀬先輩が俺のほうに来る。
「今日はデートしてくれてありがとう」
「結構ひどいデートだったと思うのだが・・・・・・・・・あんなのでよかったか?」
「水上オートバイの件は今後気を付けてくれればいいわ。それ以外はよかったわ」
「そ、そう?」
「そう」
俺が確かめるように訊くが綾瀬先輩はアレ以外は良かったと言う。
そうか、それならまあ・・・・・・・・・。
「それじゃあ、デートはここまで。私は車を停めてくるから。」
「わかった」
「今日はありがとう」
「えっと・・・・・・どういたしまして?」
俺の言葉にニコッと笑顔を向け車へと綾瀬先輩は戻っていく。
綾瀬先輩を見送った後そういや結局姉はデート中何もしてこなかったなと思いながら俺は宿へと戻った。
2人がPWCに乗って走るところのくだりはわたしが昔友人のPWCの後ろに乗った時の体験談を割とそのまま書いてたりします。
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