表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/24

2-5

 取り敢えず最下層の西側にある廊下の突き当たりに来てみた。

 図面からすれば地下三階に当たる場所だ。

 どうせ二十一カ所も探すなら、ヤスカが一番に押す場所を探すことにしたのだった。

 そこはどう見ても廊下の突き当たりで、石壁以外の物はなにも無かった。

「で、どうするの。この壁でも壊してみる?」

「ちょっと待つのです」

 ティア姉の乱暴な意見を押しとどめると、シルヴィは首元からネックレスを取り出して突き出した腕の指先にぶら下げた。

 宝石が緑色に輝いて、壁の向こう側に向かって傾いていた。

「部屋があるかは分らないですが、この向こうにレイラインがあるみたいなのです」

「レイラインってなに?」

 ティア姉が聞くけれど、シルヴィの答えは曖昧模糊としたものだった。

「聖霊の流れる線のことです。実はレイラインが何なのかは分っていないのです。ただ、そこにあって、使えるから使っているだけなのです。そして永久に魔方陣を発動させ続ける為には、レイラインから聖霊を貰ってくるように作るのです」

「つまり、この向こうにそれがあるって事ね」

 ティア姉は壁を押してみるけれど、予想通りびくともしない。何か道具を持ってくるしかないのだろうか。

 そんなティア姉を尻目にヤスカは壁の角を押したり引いたりしながら調べていた。下の方の石を押してみると、僅かに動く気配があった。

「これだ」

 ヤスカは言うが早いか石を押し込んでいた。

 ガコンと小さな音が廊下に響く。

 ヤスカが突き当たりの石壁を押すと扉のようにゆっくりと開いていく。

 リータはたったそれだけの仕掛けで開いてしまった扉に驚いた。厳重に魔術か何かでロックされていると思っていたのだ。

「えっ、それだけですか。重要な部屋なんですよね。もう少し魔術で鍵を掛けるとか有るものかと思っていました」

 リータの疑問に答えたのはヤスカだ。

「そうか? 俺は部屋の存在を知ってる者なら、誰でも簡単に入れるようになってると思ってたぜ」

「何故ですか。誰にも入られたくないから図面からも消したのでしょう」

「それだよ。誰も存在を知らない。知らない者はこんな場所には来ない。来ないから厳重に鍵を掛ける必要も無い」

 言われてみればそんな気もする。しかし、リータには不安が残る考え方だと思う。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ