2-4
会議室を借りてオウル城の図面を前に話し合う。
図面を借りるのや、城の中を自由に動き回れる許可を王様から貰うのに一日掛ったけれど、軍事機密部分以外の行動許可はもらうことが出来た。借りた図面も軍事機密部分は抜かれているか、黒く塗りつぶされていた。
あとは軍事機密部分に制御室がないのを祈るばかりだ。
オウル城は頻繁に改築されていて、建設当時の図面と最新の図面では全然違っていた。
大きな改築の図面だけで三〇枚はある。
小さな改築まで含めると二〇〇枚はくだらない。
手始めに始めたことは人が使っていない部屋で、改築されていない手付かずの場所を探すことだった。
これにはヤスカが役に立った。
じっと眺めただけで図面を頭に入れて、次に見た図面と比較する。
全ての図面を見終わった時には二十一カ所まで候補が絞られていた。
しかし、ヤスカは一点を指さし断言した。
「ここだ。ここだけ一番古い図面にあるが、次の図面からは消えている」
そこは最下層、地下三階の一番西側にある廊下の突き当たり。
部屋と言って良いのか分らない場所だった。
部屋らしくは書いてあるけれど、窓もドアも換気口も部屋らしい所が何もない、ただ四角く枠が書いてあるだけだった。
しかも墨が薄くなっており、削って消そうとした跡があった。
「ただの書き損じじゃないの」
全員が思ったであろう事をティア姉がいう。
「いいや、俺の勘は確かだ。間違いなくここだ」
どうして勇者パーティの面々は自信たっぷりに勘に頼るのだろう。
しかも、それがよく当たるのだ。
もしかして、それが勇者パーティの資質なのだろうか。