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2-3

「ああっ、時間の無駄だったわ」

「どうせ止め方など分らないのだから、一概に無駄だとは言えまい」

 ぼやくティア姉にアイリがたしなめる。

 走る馬車の中で作戦会議を始める。

 何か手がかりを得るため、取り敢えずもう一度イントの研究所に向かっていた。

「魔術は専門外だからよく分らねぇんだけどさ、さっきの場所を魔術で吹っ飛ばしちまえば止まるんじゃねえの」

 ヤスカが過激な案を出すと、シルヴィが否定する。

「どんな術式が組んであるか分らないのに、破壊したらどんな二次被害がでるか分らないのです。少なくても二八〇キロメートル以上で移動してくるリングが何個も脱線して吹っ飛ぶのです」

「地下でなら吹っ飛んでも問題なくねぇ」

「それでも地上に飛ばされないとは言えないのです。少なくとも衝撃で古い建物は崩れる可能性が高いのです」

「ふむ、力技は駄目か」

 メモ帳に目を落としたシルヴィにアイリが問いかける。

「シルヴィ、その本に止め方は書いてないのか」

「構造や理論が走り書きされているばかりで、制御の仕方などは書いてなさそうなのです」

「しかし、作業場とかは書いてあったのだろう。ならば制御してる場所が書いてあっても良さそうなものだ」

「それも書いてないのです。どうも制御場所は最重要機密扱いになっているらしいのです」

「確かに不埒者に制御室を占拠されたらオウルは終わるな」

 もしも温度をなん何度にでも設定できるのだとしたら、それは恐ろしい兵器となるだろう。

「だから制御は警備が厳重で誰も知らない密室で、同時にリングを制御できる場所が望ましいのです」

 そんな場所、オウルに詳しくないリータ達に思いつくわけがなかった。

 しかし、リータはじっと地図を見ていると、あることに気がついた。

「魔道具は第二城壁を囲むように円形なのですよね」

「なのです」

「何か思いついたの?」

 考え込むリータにティア姉が聞く。

「思ったのですが、警備が厳重でリングを同時に制御できる場所なら、円の中心がちょうど良いのではないかと」

「えっ、それってどこ?」

「ここです」

 リータが指を差したのは、この国の中心的な建物。

 オウル城だった。

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