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朝食の席で眠たそうなシルヴィが本を解読した結果を発表した。
「やっぱり冷却の魔道具はあったのです。しかも全部で二十四基もあって、国中のレイライン上にあるのです」
「それは国中に散らばっている二十四基全てを止めないとならないということか?」
アイリの問いかけに頷きながらシルヴィは言う。
「何基かは北方連合の侵略の時に壊れていると思うのです。その時に温度が四度も上がりました。仮に二十二基が残っていた場合、放熱の魔道具が止まると八十八度下がりますです。そして放熱の魔道具が完全に止まるまで三日くらいです。二十数基も壊してる時間がないのです。止め終わる前にこの街は凍り付いているのです」
「王に訳を話して軍を動かして貰うわけにはいかぬのか」
「魔道具の場所が三カ所しか分らないのです。朝早くに研究室に行って調べたのですが、この本以外に冷却の魔道具が載っている本は無かったのです」
シルヴィが悔しそうにしていると、ティア姉が軽い調子で言う。
「わかった。冷却にも制御室があって、そこで止められるんでしょ」
「書かれていないので分りませんが、可能性は高いと思うのです」
シルヴィの真剣さと比べると、ティア姉はどこか軽い感じだった。しかし、言っていることは一番的確なのだと思う。
「だったら分っている場所に行ってみましょう。一番近いのはどこ?」
ティア姉は宿の店員から借りたヴァンター王国の地図をテーブルに広げる。
「一番近かったのはこの前の爆心地にあったので、現状で一番近いのはここなのです」
そこは昼食をとるのに寄った街の近くだった。




