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夕方も深まった頃、なんとか閉門の前にオウルへとたどり着いた。
相変わらず凄い台数の馬車が路肩に止まっていたが、通行許可証を振りかざして先に行かせてもらう。何となく申し訳ないような気もするけれど、これもオウルの危機を救うためだと納得する。
すでに雨は上がっていたけれど、空は厚い雲に覆われていた。
昨日よりも幾分涼しくなったような気がする。
確実に放熱の魔道具は停止に向かっているようだった。
前回来た時と同じ警備員だったため、イント=デゲルホルムの研究室に入るのは簡単だった。
本来ならば王様から許可を貰わなければ入れないのだけれど、まだ前回の許可が効力を持っていると勘違いしてくれた。
暗くなったのでランタンに明かりを灯す。
厚い埃に埋もれた場所から一冊の本を探し出すため、シルヴィはネックレスを使った検索の魔法を使う。
前回と同じように乱雑に放り出してあるのかと思ったけれど、こんどは机の鍵の掛った引き出しの中に仕舞ってあった。
もちろん鍵を開けたのはヤスカだ。
「どうですか。その本で間違いないですか?」
リータの問いかけにシルヴィは自信なげに答える。
「たぶんなのです。ちょっと調べる時間が欲しいのです」
もう時間的にも遅い。今日はここまでとし、昨日までと同じ宿に泊まることになった。




