勇者ツバキ。圧倒的力と魔王降臨。
「がっ…はっ…」
血を吐き、距離を取るベロニカ。その胸には大穴が空き、背中の景色が見えている。
「まだ終わらないよ。集まれ私の眷属たち。」
血を拭いてベロニカがすべての魔力を使い、魔物を召喚する。
「何回やっても同じだぞ。お前は俺には勝てない。」
「同じ方法は食らってくれないんだろう?なら新しい方法でいくとするよ。」
ベロニカが霧となり、魔物の軍勢を次々と飲み込んでいく。
「シャンス様!」「シャンス殿!」
相手にしていた魔物が突如消え、シャンスと合流したカルアとユウ。
「カルア!ユウ!こいつが魔物を操ってた犯人だ!倒せば統率が乱れて優勢になる!」
「わかったけど…なにこの魔力…どんどん大きくなる…」
「魔力だけじゃない…体も大きくなるみたいだ。」
ベロニカの霧に包まれた魔物達が見えなくなり、光を放ったあと、中から魔物とも、魔人ともいえない異形の存在が姿を現した。
「こうなった以上…必ず勝利を魔王様に…」
いくつもの声が重なって聞こえるその声は低く、骨が揺れるような迫力のある声だった。
オークの顔とミノタウロスの顔がいくつもその魔獣にへばりつき、無数の手がその巨大な体を支え、百足のように蠢きながら向かってくる。
「いやぁぁぁぁぁ!!シャンス様!!!あれめっちゃ気持ち悪い!!!」
「俺も今アースジェットの缶持ってなかったかなって探したよ…」
「そんなもの効くはずないだろう?とにかく攻撃を!!」
カルアがメテオラと黒炎を放つ。
魔獣の一部を焼くが、すぐにその部分だけ切り離され、他の部分がそこを再生させる。
「シャンス様ぁぁぁぁぁぁ!!ぜんっぜん効きません!!!!」
「一気に消し飛ばしてやる!!フォトンソード!!!」
シャンスが必殺技を放つ。
魔獣の中心が吹き飛び、穴を作るが、すぐに他の魔物が吸収され、再生される。
「不死身かよ…」
シャンス達に魔獣となったベロニカが襲いかかる。
「だっらしねぇなぁ。勇者よぉ。」
空から声が聞こえて、4属性の魔法がベロニカに直撃する。
「なんだ…何が起こった…」
ベロニカも何が起きたのか理解していない。
空から真紅の鎧を身にまとった本物の勇者。ツバキが赤い翼を羽ばたかせ、降りてくる。
「誰だ…?味方…なのか?」
「俺はお前を敵だと思っているよ。俺のまったり勇者ライフを邪魔する偽物の勇者め。」
ツバキの言葉にシャンスは目を見開いた。
「シャンス様が偽物の勇者?そんなことはありません!シャンス様はどんなに危ない状況でも切り抜けて来たんです!勇者の装備もちゃんと装備してます!!」
「前の勇者は死んだらしい。それで俺がこの世界に召喚された。こいつはその代わりとして勇者のふりをしてただけなんだよ。はぁ...なんで偽物の勇者にこんな可愛い子がついてて俺にはフレアだけなんだよ。」
ワガママを言うなツバキよ。我では不満か?
「いや。そんなこたぁねぇよ。お前の力は強いし実際頼りにしてる。」
「シャンス様が勇者様の代わり…それに…あなたも竜が憑依してるの?」
「そうだよかわいいお嬢さん。相棒の炎竜フレアだ。くそ。黒龍と炎竜のコンビとかくそカッコイイじゃねぇか…ますます羨ましいぜ偽物さんよぉ。」
「俺が敵ならなぜベロニカを攻撃した。」
「勘違いするんじゃねぇ。俺が魔王を倒して本物の勇者だと名乗る。それで偽物のお前はお払い箱だ。お疲れさん。もう頑張らなくていいぜ。」
「それで構わない。魔王を倒すのを手伝ってくれ。」
「はぁ?何言っちゃってんの。俺は最強なの。魔王ぐらい1人で倒せるし、お前に手柄はやらねぇ。あ、そうだ。俺が魔王倒したら一緒に来ない?赤髪のセクシーなお嬢さん。」
「すみませんがお断りします。私の勇者様はシャンス様だけなので。」
「はっ。ズブズブの関係ってことかよ。あーつまんねぇ。さっさと勇者って名乗りでてハーレムを築こうとしよう。」
「私を無視して話をするなぁぁぁぁぁあ!!!!!」
痺れを切らしたベロニカがツバキに襲いかかる。
「うるせぇよ。声がでけぇ。」
ツバキはベロニカの方を見ずに手だけを向ける。
ツバキの手から火 氷 雷 光の4つの極大魔法が繰り出される。
「こんな簡単に…私が…ウソだぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」
ベロニカが叫び消滅する。
「うっそだろ…これが本物の勇者の力…」
倒せなかったベロニカをいとも簡単に瞬殺したツバキにシャンスは驚きを隠せない。
「こんな雑魚にも勝てない勇者はやっぱり偽物だなぁ?」
ツバキがシャンスを挑発する。
すると空から闇が降ってきた。
凄まじい音とともに衝撃の主が喋る。
「ベロニカを倒したか。面白い。我が直々に相手してやろう。下等生物どもめ。」




