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運がいいだけの偽物勇者  作者: 麦瀬 むぎ
第一章 偽物勇者誕生
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運とくしゃみと小石と勝利

ルンルンとスキップをしながら勘違いコスプレレベル3勇者 シャンスが推奨レベル30のダンジョン。

『いにしえの森』へと足を進めている。


「待てよそこの兄ちゃん。」


声をかけられ振り向くと深夜の安売りの殿堂にいそうな柄の悪い2人組が立っていた。


「なんだよ。俺はこれからダンジョンに力試しに行くんだ。邪魔すんなよ。」


「ハッ。じゃあまず俺たちで力試ししてみろよ!負けたらその高そうな鎧と剣、置いてって貰うぜ。」


柄の悪い2人組、モブAとBとしよう。ABは勇者姿のシャンスを見ても逃げるどころか喧嘩をふっかけてきた。

国外からのタチの悪いならず者か何かであろう。

国内のならず者ならば鎧と聖剣から勇者だと判断し、襲ってくるものなど1人としていないはずなのだから。


「いいだろう。この聖剣の錆となれ。」


絶賛ステータス補正がかかったと勘違い中の偽物はノリノリで剣を抜く。


「カッコつけてんなよ!!にいちゃん!!!」


Aが物凄い速さで短刀で切りかかってくる。

すばやさのステータスが高いのだろう。


シャンスはそのスピードを目で追えず、1歩下がろうとしたが、

後ろにあった小石で躓いてコケてしまった。


「んげっっ」


情けない声を発したのはモブAである。


小石で躓き後ろに頭からコケたように見えたシャンスはモブAの股間…失礼…大事な場所につま先を直撃させ、サマーソルトの容量で宙返りし、着地した。


これこそが、シャンスが生まれつき持っているステータス、運の本領発揮である。


うずくまり、悲痛の声を上げるモブAをモブBが痛々しそうな目で見つめている。心無しかシャンスも大事な場所に痛みのような感覚を感じていた。


これは男性にしか分からない感覚であり、例えるならばエレベーターが止まる時の気持ち悪さがしばらく続くようなものと女性の方には認識して欲しい。


とりあえず本人はもちろんそれを見たシャンスとBも痛い感覚が伝わってくる。


「くそっ舐めるなよ!」


モブBが大事な場所の違和感を気合いで振り切り、シャンスの懐へ踏み込む。


シャンスの腹に短刀が突き刺さる瞬間シャンスの鼻に花粉を求めてさまよっていた蜂のような虫が突っ込んで行った。


「へぁっ…えあっくしっっっ」


シャンスはくしゃみの反動によりモブBの短刀を回避、そして思い切り振りかぶったシャンスの頭が懐に踏み込んでいたモブBの後頭部へと突き刺さる。


見事な回避と頭突きを同時にこなしたシャンスの一撃にモブBは意識を手放した。


「どうしたよ!そんなもんか??」


おでこを真っ赤にして涙目のシャンスが啖呵を切る。


ようやく大事な場所の痛みが和らいできたモブAが舌打ちをしながら、意識のないモブBを肩に担いで去っていった。


「初勝利。」


シャンスはこれまで味わったことのない高揚感と自分の運の良さにガッツポーズ。


「でも剣使わなかったな…もしかして主人公補正の勇者ステータスに加えて俺の運ステータスはそのまま?」


無双じゃん とシャンスはまたもや調子に乗り始める。


実際のところ、今の柄の悪い冒険者2人はレベルが25程度、だかレベル3のシャンスでは歯が立たなかったであろう。

圧倒的な運のステータスの高さがなければ。


それが主人公補正という謎の自信をさらに加速させた。


そのままの足取りでシャンスは『いにしえの森』へと向かっていった。

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