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運がいいだけの偽物勇者  作者: 麦瀬 むぎ
第四章
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魔王軍隊長ベロニカ・ラエビガータ

その頃の魔王軍の中心部。


「魔王様。コウン王国とエーテル王国の両国が手を組み、こちらに向かっております。」


「ふん。数は?」


「およそ15万程かと。」


「下等生物が我が軍の10万に対したったの15万とはな。ワシが出るまでもあるまい。」


「では指揮は私におまかせを。魔王様のお手を煩わせることなく。勝利をあげてみせましょう。」


魔王の側近であり、魔王軍総隊長、ベロニカ・ラエビガータが魔王に進言する。


「それでは我が暇ではないか。指揮はお主に任せる。我はきまぐれに敵軍を滅ぼすとしよう。」


「はっ。かしこまりました。」


ベロニカはそういうと魔王の元を離れる。


「私のかわいい妹。アイリスを殺した勇者ども。必ずや。地獄に送ってやる。」


ベロニカは禍々しい魔力を放ちながら前線へと向かった。


------


「報告致します!我が連合軍は順調に前進。もう10分ほどで魔王軍の前線と開戦します!!」


使者の報告をうけ、ガルムが質問する。


「うむ。ご苦労であった。シャンス殿たちはどの辺におるのだ?」


「勇者様は前線中央にて魔術師カルア様の極大魔法とともに魔王軍の中心へ突撃するおつもりです。」


「なんとも大胆な…シャンス殿らしいと言えばらいしが…」


「ガハハハ!!!それでこそお師匠の息子よ!!まるで生まれ変わりのようだ。」


「なんと!!シャンス殿はフォルス殿の息子か!!いわれてみれば面影が残っておる。」


「そういえばガルム殿とフォルス殿は武術大会でなんども拳を交えたことがありましたなぁ。」


「拳だけでもあれだけの力を持つのに本職は剣という。恐ろしく強い男だったな。」


ジークとガルムが昔話に花を咲かせる。


「団長!!たった今前線がぶつかり、戦いがはじまったようです。」


「始まったか!!!さっさと片付けて酒盛りと行こう!!」


「ジーク殿の言う通りだ。エーテル王国最高の酒を用意するとしよう。」




-------------------------




「フレイムレイン!!!!!」


メビウスが憑依したカルアが空を飛びながら魔王軍に火の玉を浴びせる。


魔王軍の軍勢はオーク、ゴブリン、ヴァンパイアなど様々な魔物が集まっているにも関わらず、統率の取れた動きでやられた味方の穴を直ぐに埋めて攻めてくる。


「なんでこいつらこんなに軍隊みたいな動きなんだ!!!いろんな種族の集まりだろう???」


迫り来る魔王軍を次々と切り倒しながらシャンスが叫ぶ。


この動き、皆が感覚を共有してないと出来ないよ!多分アイリスの能力みたいなやつがいるはずだ!


「また洗脳系かよ!!」


このままじゃ埒が明かない。シャンス!アレを使うよ!


「了解。チャトラ先生!」


シャンスが後ろに飛んで距離をとり、剣を真っ直ぐ構える。


フォルスに教わった構えから繰り出される光速の突き。それを聖剣の光で刀身を伸ばした必殺技。


「フォトンソード!!」


真っ直ぐに伸びた光が次々と魔物を消滅させて行く。


長方形に構えていた魔王軍の陣形の中心が消し飛び、2つの正方形に変わる。


「今だ!各隊!!!散開して敵軍を囲んで叩け!!!」


「シャンス様かっこいい!指揮官みたいです!!」


カルアが空中で拍手する。


「カルア!フレイムレインで左側を叩け!!ユウもカルアをサポートしてくれ。」


「…!!分かりました!」「了解。」


カルアが詠唱を始めると同時にシャンスは魔王軍の右側へと走る。


走るシャンスの目の前に空から誰かが飛んでくる。


「君が勇者シャンスだね。私のかわいいアイリスを殺した。」


「お前が指揮官か。そうだよ。アイリスを殺したのは俺だ。」


「意外と素直なんだね。人違いだと言えば死なずに済んだかもしれないのに。魔王軍隊長、ベロニカ・ラエビガータ。妹の仇、打たせてもらおう。」


「あの性格ひん曲がりクソ女の兄貴かよ。」


「すぐにその減らず口が聞けないようにしてあげよう。勇者シャンス。」


ベロニカが抜刀し、シャンスも構える。


「魔王戦の前のウォーミングアップにはちょうどいい。」


シャンス!!油断しちゃダメだよ。こいつ強いよ。


「分かってるよ。禍々しい魔力がこっちまで漂ってきてやがる。」


ベロニカが剣を地面に突き刺した。


「今から私の剣が君を貫く。避けれるのなら避けるといい。」


「わざわざご丁寧に教えてくれるのかよ。」


「言ったはずだ。避けれるのならと…」


ベロニカがそう言うと同時にシャンスの背後にオークが出現し、シャンスを羽交い締めにする。


「なっ…!?」


シャンス!!


地面から無数の刃が飛び出し、シャンスを羽交い締めにしていたオークごと貫いた。


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