カルアのぜんざい。アイリスの最期。
「はうっ…!??」
シャンスが情けない声と共に崩れ落ちて、激しい痛みによって気絶した。
「あっ…シャンス様…ごめん…なさっ…あっ…」
カルアが倒れ込んだシャンスの周りでオロオロしている。
姫…そこはダメでござるよ…
「カルアさん…そこは…」
「だよね…私も小さい頃お父さんに頭突きしてこうなったことあるもん…」
「痛覚をシャンスに預けたままでよかったよ。本当に…よかったよ…」
憑依を解いたチャトラが痛そうな顔で気絶しているシャンスを見つめる。
「シャンス様!起きてください!もう大丈夫ですよ。」
「うっ…俺は…操られてたのか…??」
「も、もう大丈夫です。私が気絶させました。」
「あの…カルアさん…?俺の息子が悲鳴をあげているんだけれども。」
気がついたシャンスが股間を抑えて残っている痛みに悶える。
「それは本当にごめんなさい。責任とって摘出の手術代出します…」
「勝手に取ろうとするの止めて貰えるかな???」
すかさずシャンスのツッコミが入る。
「もう解けちゃったのぉ?つまんなーい。」
「もうお前の能力は分かった。二度と食らわねぇ。」
「カッコつけるのはいいけど、ちゃんと痛みが治まってからにしなさいよぉ。」
アイリスがプルプル震えているシャンスの下半身を見つめる。
「これはちょっとじゃ収まんねぇんだよ!!お前らにはわかんねぇだろうよ!!」
メビウスとユウとチャトラが頷く。
「はぁ…治った…カルア。袋くれ。」
「えっ?あっ…はい!!」
カルアから和菓子屋で買った袋を受け取り、アイリスへ走る。
「あらぁ?何それ。」
「教えねぇよ。」
シャンスが剣を振り、またもアイリスを斬る。
「無駄だって言ってるのに…なんでわかんないかなぁ。」
アイリスが霧になり、シャンスを襲う。
「これならどうよ。」
シャンスが袋を上に投げ、剣で切り裂いた。
中から出てきたのは大量の白玉粉。カルアがコウン王国に戻ってからぜんざいを作って食べようと思っていた粉である。
「ああ!シャンス様!!!私のぜんざいが!!!」
「後でまた買ってやる!!!今言うな!!!!」
シャンスの周りを大量の白玉粉が舞い、霧となったアイリスと結合する。
「粉っ!?お前…お前ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
どんどん白玉粉とアイリスが結び付き、ドロドロになり地面に落ちる。
ドロドロの欠片が地面を引きずりながら集まっていき、アイリスの形に戻ろうとする。
スライム状の塊から腕や足が変な方向に生えて、目や口があべこべについている。
「クソぉぉぉぉぉ!!!!!あたしの美しい体がぁぁぁぁぁ!!!!」
「どうしたよアイリス。ダルンダルンじゃねぇか。いいジム紹介しようか?」
「お前ぇぇぇぇぇ!!!!!死ねよ!!!!!今すぐに!!!!!!」
アイリスが国王たちに使っていた霧を戻し、自爆の魔法を詠唱し始める。
「カルア!!!」
シャンスが叫ぶと同時にカルアがアイリスに向けて黒炎を放つ。
「シャンス様の…私の大切な人の大切な人を手にかけたあなたは絶対に許さない。焦げて消えちゃえ!!」
カルアがこれでもかとばかりに黒炎をアイリスに放つ。
白玉粉と結合し個体となったアイリスの体を黒炎が灼く。
「あああああああああああ!!!!!こんなところで…あた…しが…」
アイリスの悲鳴が聞こえなくなり、残ったのは灰と魔力の塊。それがカルアへと流れ込む。
「終わった…のね。」
エルが今まで気を張っていた反動で膝から崩れ落ちるのをユウが受け止める。
王国が乗っ取られ、信じていた者も洗脳されたのだ。自分だけまともな中で打開策を14歳の少女がたった一人で考えてきたのだ。無理もない。
「よく頑張ってくださいました。エレーナ様は王国を…国民を救ったのです。」
「私だけじゃ何もできなかった…お母様…お母さまがぁぁぁぁ…」
我慢していた感情が抑えきれなくなり、エルがユウに優しく包まれる。
エーテル王国全体を巻き込んだアイリス・ラエビガータの作戦は失敗に終わった。
さのです!今日は時間がとても余ったので一気に7話更新です!スマホのメモに7500字ほど続けて書いたので分けるだけで1時間ほどかかりました(笑)
あと一話で第三章完結します。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
これからも「運がいいだけの偽物勇者」をよろしくお願いいたします。




