アイリスの魔の手、いつものカルアさん。
「よくぞ参ったな勇者シャンス殿。して、魔王の手が迫っていると聞いたがその内容はわかっているのかね?」
「はっ。魔王軍のアイリス・ラエビガータがエーテルに侵入し、国王を洗脳し、国を乗っ取ろうと企んでいるという情報を手に入れ、それを伝えると同時に止めるため、このエーテルへと参りました。」
「そうか。して。その証拠はどこにある。」
「証拠は…提示できるものはありません…敵から貰った情報ですので。」
「ほう。敵の情報を鵜呑みにしてはるばるここまできたということかね。」
エーテル国王の顔が険しくなる。
「そなたの国、コウン王国とは友好関係を築いてきた。だが王国は天災竜イグニスの魔力を失ったと聞いた。資源確保のため、我が国に攻めてきても不思議ではないだろう?」
「…!?決してそのようなことは…!!」
シャンスは気づいた。エーテル国王の目がカデルと同じく光を失っていることに。
「そうよ!このクソ勇者はエーテルを襲い、ウンディーネの加護を奪いに来たのよ。」
国王の背後からアイリスが姿を現す。
「初めましてクソ勇者様。母親殺しの大罪人。」
アイリスが嬉しそうに嗤う。
「アイリス…お前が…俺の両親を!」
シャンスが抜刀するが王国の兵士がシャンス達を取り囲む。
「シャンス様!!この人たち皆操られて…」
「きゃははは。私を殺したいんでしょ!?ならこの場の人間皆殺しにして私を殺しなさいよ。その代わり戦争になるけどね。」
「このクズ野郎が…」
「誰に向かって口きいてんだよ。」
アイリスが合図すると兵士たちがシャンスを取り押さえる。
「がっ…」
「シャンス様!!!あっ…」
カルアも5人の槍を持った兵士たちに取り押さえられる。
「地下牢へ閉じ込めておきなさい。この王国の支配が終われば魔王様をお呼びして、目の前で処刑してあげるわ。」
アイリスが笑いながら国王を蹴飛ばし、玉座へと座る。
「アイリス!!!!!!」
シャンスが叫ぶ。
「きゃはっ。ああ怖い。そんなに私が憎いの?母親を洗脳して父親を殺させ、あなたを狙わせた私が。」
「絶対お前だけは…許さねぇ…」
「処刑される日までせいぜい私の殺し方でも考えてなさいな。無理だけどね。」
きゃははと嗤うアイリスが消えていく。
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「シャンス様…どうやって脱出しますか?」
牢屋に入れられた二人が手と足を拘束され、横たわっている。チャトラとメビウスは袋のような物に入れられ、顔だけが袋から出ている。
「魔力を封じる魔法石が壁に埋め込まれているでござる。魔法は使えないでござるよ。」
「それでもなんとかしねぇと。すでに国王はアイリスの洗脳にかかってる。アイリスを止めないと戦争になる…」
シャンスが力を込めて、拘束を解こうとするが、手錠と足かせはびくともしない。
「くそ…」
「私の出番でふね!」
カルアは口をもごもごさせて口から針金を出す。
「カルアさん!!でかした!いつの間に…」
「ふっふっふ。わたひこういう盗賊の本が昔から好きで読んでいたんれふ。これでだっしゅ…へぁっちゅん!!!!」
カルアのくしゃみで針金は檻の外へと飛んでいった。
「う…うぇぇぇぇぇぇぇ…シャンス様ぁぁ。」
「よしよし。そんなことだろうと思ってたよ。さすがはカルアさんだ。」
シャンスとカルアが絶望する。
「何をしているの?」
檻の外から声がして二人がそちらを見つめる。
「くしゃみの音がして針金が飛んできたんだけれど…」
そこには水色の髪をすらりと伸ばした少女が立っていた。檻の鍵を持って。




