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運がいいだけの偽物勇者  作者: 麦瀬 むぎ
第三章 天災竜 イグニス
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雪山と鉄黄熊。そして…



「シャンス様ぁぁぁぁぁ!!!これやばいです!!!!死んじゃう奴です!!!!!」


「お前が後先考えずに魔法ぶちかますからだろうがぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


雪原地帯にたどり着いた二人と二匹は迫りくる雪崩から必死に逃げていた。


雪崩に飲まれる寸前にシャンスにチャトラが憑依し、近くの木へ飛び移る。


カルアにもメビウスが憑依し、片翼を広げて空へと飛翔し回避する。


「ハァ…助かったぁ。まじで不用意に魔法撃つのやめろカルア!!!」


「すみません…杖の威力を試したくて…」


木にぶら下がるシャンスがカルアを叱ると同時に握っていた木の枝がミシッと音を立てる。


あ…ごめんよシャンス。


チャトラが憑依を解き、別の木の枝へと移る。


「…え?あの…チャトラせんせっ…」


ボキッ


「あああああああああああああ!!!!!」


シャンスが雪崩に飲み込まれていく。


雪崩が収まった後、雪の中から手が一本飛び出す。


「ぶはぁ!!!!いや死ぬよ?俺の運なかったら死んでるよ普通!」


「運高くてよかったよね。」


「ラッキーですね!」「お見事!」


カルア達がふざけて親指を立てる。


「冗談じゃねぇ。とりあえずカルアはこれから俺が言うまで魔法禁止!!」


「嫌です。」


「えっ…あの…魔法禁…」


「嫌です。」


「はい。」


かたくなに首を縦に振らないカルアにシャンスが折れる。


ほどなくして鉄黄熊の巣である洞窟へとたどり着く。


「グォォォォォォォォァァァァァァァァ!!!」


洞窟の奥から咆哮が響き、アイアンベアが3体現れる。


その巨体はシャンスの4倍ほどあり、黄色い体毛に覆われている。


「シャンス!鉄黄熊の爪でひっかかれたらポーションでも治りにくいから気を付けるんだよ。」


「了解!カルアは洞窟ごと崩しそうだから補助に回れ!」


「…了解です。ファイヤーボール。」


不満げなカルアが小声で火の玉をアイアンベアに放つ。


一匹が火に包まれ、二匹が怯む。その隙をシャンスは見逃さない。


フォルスから受け継いだ剣を一匹に突き刺し、腰に差していたイグニスの剣を抜き、もう一匹の首をはねる。


ズシンと音を立てて首がなくなった鉄黄熊が倒れる。シャンスはイグニスの剣を左手に持ち替え、空いた右手でフォルスの剣を握り、横に振りぬく。二匹目の鉄黄熊の体が二つに裂ける。横では燃え上がる火を消せず、カルアのファイヤーボールに焼かれた鉄黄熊が絶命する。


「シャンス。この鉄黄熊は子供だよ。まだ奥に親熊がいるはずだ。」


「は?俺の4倍はあるんだぞ?これよりでかいって言…」


「ガルゥゥゥァァァァァァァァァ!!!!!!!!」


先ほどよりも低く、威圧感のある咆哮が洞窟に響き、地面が揺れる。


「あっ。これでかいわ。10倍くらいありそう。」


「シャンス殿。この先に開けた場所があるでござる。おそらくそこにこの洞窟の主がいるでござるよ。」


メビウスの目は暗闇であろうと昼の外のように見える。


「こ、今回のクエストは鉄黄熊の全滅だ。行くしかないな。」


シャンス達は洞窟の奥へと進んでいき、開けた場所に出る。


高さ10mほどある洞窟の天井に頭をぴったりとくっつけた超巨大な鉄黄熊が洞窟の中に鎮座していた。


「うっそだろ?いくら何でもでかすぎないか…洞窟からどうやって出るんだよ…」


「多分冬眠してうちに突然変異で進化して出られなくなったんだよ。子供の鉄黄熊が食料を調達してたんだろうね。」


「出てくることがないなら放置して帰ってもいいけど、あいつの咆哮で雪崩が頻発してるんだろうな。朝のはカルアだけどな。」


「こんな時にまで嫌味言わないでください!もういいじゃないですか!」


「よくねぇ!死にかけたんだぞ!!」


「姫にシャンス殿!!喧嘩は後になされ!来るでござるよ!」


巨大な鉄黄熊が巨大な爪を振り下ろす。シャンスがそれを剣で受け止める。


「がっ…重ってぇ…」


「めーちゃん!」「御意!」


メビウスがカルアへと憑依し、黒炎を放つ。


鉄黄熊の腕を黒炎が灼くが、体が大きすぎて大したダメージは与えられない。


さらにシャンスを押しつぶそうと両手で力を込める。


「ちょっ…チャトラせんせぇぇぇ!!!」


「まったく。僕がいないとシャンスはすぐ死んじゃうね。」


チャトラが魔力の光となってシャンスへ飛んでいく。


シャンスはチャトラの力を借りて鉄黄熊の腕を弾き飛ばす。


「助かった。サンキューチャトラ。」


「今日のトメイトゥ増量だからねっ。」


「へいへい。さっさと終わらせて帰ろうぜ。」


シャンスが走り出す。鉄黄熊の爪を躱し飛んできた腕に渾身の一撃を放つ。


「グガァァァァァァァァァ!!!!!」


鉄黄熊の腕が吹き飛び、悲鳴をあげる。


「めーちゃん!」「黒炎!!」


カルアがメテオラ、メビウスが黒炎を鉄黄熊の頭に放つ。


頭に直撃し、鉄黄熊が倒れる。


「終わりだ。」


シャンスが鉄黄熊の首に剣を突き刺したが、浅かったため柄を足で蹴り上げる。


剣が鉄黄熊の首に深く突き刺さり、叫んだ後魔力の霧となり、シャンスへ入っていく。


「終わったぁ。カルア、メビウスお疲れさん。チャトラ先生もな。」


「メテオラの威力上がってました。嬉しい。」


新しい杖、イフリートの杖を抱きしめながらカルアが喜ぶ。


イフリートの杖は所有者の魔力を増大させ、炎魔法の威力を上げる能力を持つ。


「さて、鉄黄熊の討伐完了。帰ってご飯にしようぜ。」


シャンスが振り向いて歩き始めたとき、洞窟の入り口に現れた影が話しかけてきた。


「あれほどの鉄黄熊を倒してしまうなんて、お強いんですね勇者様。」


シャンスは入り口の女性を見た瞬間目が離せなくなる。

以前フォルスに聞いたことのある現象。


「大きくなったんですね。シャンス。会うのは初めましてですけど。」


「っ…カデル…」




シャンスの中に残っていた仮定が確信に変わる。





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