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運がいいだけの偽物勇者  作者: 麦瀬 むぎ
第二章 父親
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自己紹介と修行の成果。

手綱を引き、全速力で教会へと向かう。


「そういえばカルア。ローブと杖はどうしたんだ?」


「あ…それが溶岩に燃やされちゃって。杖は予備で持ってたのを使ってます。」


カルアが木の枝のような杖を取り出す。


「どんなとこ行ってたんだよ…」


カルアから溶岩という物騒な言葉を聞いたところで、カルアの肩に乗っている小さな黒龍に気づく。


「カルア。その黒龍は?」


「そういえば自己紹介がまだでしたね。めーちゃん!」


「お初にお目にかかる。拙者はメビウス。封印を解いていただいた姫に仕える黒龍でござる。」


ドラゴンが喋った!!!いや、うちのチャトラさんも喋るし、そんなに不思議でもないかとシャンス。


「あ、ああ。よろしくメビウス。俺はシャンス。一応勇者をしてる。こっちはチャトラだ。」


「よろしくだよっ。」


「!?チャトラちゃんも喋るんですか!?今までにゃーとかなーおしか言ってなかったじゃないですか!」


「喋る猫ってのは魔物扱いされるかもしれないから止めてたんだ。にゃーとかはこいつのアドリブだよ。」


ごめんねとばかりに片目をつむって舌を出すチャトラ。


「もう。これが終わったらいっぱいお話してもらいますからね!」


「そうだな。早く皆を助けに行かないと。」


二人と2匹を乗せた馬が風を切り、廃墟へと進んでいく。




「っ!!とまれ!」


手綱を引き、馬を止めようとするシャンス。その眼前に6体のオークが待ち構えている。


「ブッヒヒ…新しい奴隷だ。男は労働力に、女は俺たちでおいしく…」


「フレイムレイン!!!」


言い終わる前に空から降り注ぐ火の玉にオークたちが悲鳴をあげながら焼かれていく。


「妹が捕まってるんです!!!こんなところでいちいち止まってられません!!!」


相変わらず手が早いなとシャンスが思ったが、再び手綱を握って灰の山となったオークたちを散らしながら走り出した。


廃墟に近づくにつれ見張りのオークの数が増えてくるが、カルアに一瞬で灰にされ、止まることなく進んでいく。


「あそこです!」


老朽化が進み、ところどころ屋根がはがれた教会に到着する。その周りを囲むように武装したオークがいる。その数30体。


「カルアは魔力を温存しとけ!ここは俺が片付ける。」


シャンスはそういうと手綱をカルアに渡して飛び降り、オークの部隊へと駆け出して行った。


体を低くして走り、オークの間を通り抜ける。


オークの体にシャンスが通った時に生まれる風が届く前にオークの首が地面に落ちる。


「見事。シャンス殿は体の使い方をよくご存じのようでござる。」


フォルスから教わった早業にメビウスが感嘆の声を漏らす。


足の筋肉が生み出す力をすべてつま先に集め、目にもとまらぬ速さでオークの部隊を次々と切っていく。


「すごい。シャンス様。さすがリコリスをも打ち倒した勇者ですね。」


後ろでたまたまそういった形で伝わってしまった嘘が聞こえてくる。

だがフォルスの元で10日間修行し、チャトラの憑依によって体の使い方を文字通り体で覚えたシャンスには、リコリスを倒すだけの力を持っている。


「やっと実績に実力がついてくるようになり始めたかな。」


剣についた血を払い、鞘へと戻し、カルアの元へ歩いてくる。

その後ろには倒れた30体のオークが魔力の霧となってシャンスを追いかけていた。


「完全にとどめを刺すまで油断しなくなったしいい感じだよシャンス。」


チャトラ師匠からお褒めの言葉をいただいた。


「さて、中にいる皆を助けよう。」




教会の中へ入ろうと進んだ二人と二匹の前に大きな斧が降ってくる。


「っ…!?あっぶねぇ!」


シャンス達が上を見上げると崩れかけた十字架の上に月に照らされる黒い影が立っていた。






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