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運がいいだけの偽物勇者  作者: 麦瀬 むぎ
第二章 父親
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溶岩危機一髪、隠し扉の先には。

溶岩の海へと投げ出されたカルアは、宙を舞いながら周りを見渡した。すると吹き飛ばされた場所の先に足場を見つけた。


「あそこ!!」


カルアは空中浮遊などの魔法は使えない。脳をフル回転させてカルアが導き出した答えは。


「フレイムレイン!!!」


火の玉を雨のように発射する中級魔法『フレイムレイン』を5発同時に詠唱し、斜め下に向けられたカルアの杖から大量の火の玉が発射される。その反動でカルアは滑空する形で足場へとギリギリ到着した。ローブの端が溶岩に飲まれローブに火が付く。


「嘘でしょ!?このローブオーダーメイドなのに!!」


カルアが必死にローブを叩き、火を消そうとするが燃え移った火はどんどんカルアへと近づいていく。


「もぉぉぉぉ!!こうなったら絶対紅蓮石手に入れてやるんだから!!」


カルアはローブを脱ぎ捨てた。体にフィットした赤と黒で彩られた短いブラウス。インドの民族衣装である「チョリ」に近いイメージだ。腹部のすらっとした白い肌が露わになる。

下半身は赤と黒のくしゅっとしたタイダイ柄のスカートで太ももの横部分が露出している。


アイススパイクで体を冷やす前に脱げば良かったのではと思うが、カルアが脱ぎ捨てた「耐炎のローブ」は炎属性の攻撃の威力を半減させる効果を持っていたのでこのダンジョンに出現する敵の攻撃を防ぐための重要な装備だった。その装備のおかげでマグマリザードの攻撃も吹き飛ばされはしたがダメージは最小限である。


灰となったローブを悲しそうに見つめながら、カルアは「紅蓮石」を探し奥へと進んでいく。



その奥で小さな洞窟を見つけた。


「もしかしたら隠し部屋で紅蓮石よりいいものが手に入っちゃうかも。」


洞窟を進んでいくと開けた場所に出る。そのさらに奥で頑丈な扉と6つの火が灯っていない燭台がカルアを待っていた。


「ビンゴ!!!お宝の匂い!!」


カルアが扉へ駆け寄り、書かれている古代文字を瞬時に解読する。


『封印の間に到達せし者よ。6つの燭台に瞬刻にその力を示せ。』


「ここに火をつければいいのかな。『ファイヤーボール』!!」


カルアが炎の初級魔法を6発同時に放つが燭台に火は灯らない。


「もしかしてファイアボルト…?」


このダンジョンに入る時の扉もファイヤーボールではびくともしなかった。


「これだけの魔力を使わせるんだから何もなかったらこのダンジョン潰しちゃうんだからね!!!」


カルアは炎の上級魔法を6発同時に燭台へと放つ。


全ての燭台に火が灯り、地響きと共に扉が重い腰を上げる。


「やった!!お宝っ!!」


パチンっと指を鳴らし、カルアが扉の奥へと進む。



その中は真っ暗で何も見えなかった。


「…ファイヤーボール。」


カルアがファイヤーボールを静かに唱え、手の上でその形を維持するように繊細な魔力でコントロールする。


しかし炎に照らされた壁は未だ真っ暗だった。いや、真っ黒だった。



扉の先にあったのは壁も床もすべてが真っ黒な空間。扉がなければ今自分がどこにいるのかさえ分からなくなる不思議な場所。

その中心に宙に浮かぶ真っ黒な水晶を見つけた。


その黒はどこまでも深く、クリスタルのように内部を透過することはない。黒い部屋の中でもより黒いそれは怪しく、光をも吸い込む黒い輝きをうっすら放ちながら、カルアを出迎えていた。




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