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運がいいだけの偽物勇者  作者: 麦瀬 むぎ
第一章 偽物勇者誕生
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王国再び、そしてシャンスの決意。

モフモフの物体が鼻に触れて、シャンスは目を覚ます。


「っ…!?チャトラ!!」


「心配しなくてもリコリスはもういないよ。」


「逃げたのか?」


「?何を言っているんだい?君が倒したじゃないか。あんな剣技は見たことなかったよ。」


「は?だって俺はあいつに首絞められて…気を失ったはずだ。」


実際その通りだ。シャンスが気を失った後、チャトラがシャンスの体を使いリコリスを打ち破った。


「体中がいてぇ…」


チャトラが無理に動かした村人シャンスの体は全身筋肉痛で悲鳴をあげている。


「回復のポーションは飲ませたんだけど、筋肉痛はケガじゃないからね。」


軋む体に鞭打って、シャンスは立ち上がる。


「とにかく、生きてるんだ。早く王国に戻ってカルアに知らせよう。」


シャンスが歩き始めると、チャトラが肩に飛び乗ってくる。


「いだだだだだだだ。チャトラ、今日は自分で歩いてくれないかな?」


「僕もリコリスの攻撃を防いだんだ。もう疲れたよ。」


チャトラはそう言ってシャンスの肩の上で丸くなり、寝息を立て始める。


「ちょっとは俺のことも労わってくれよ。勤労感謝の日だぞ今日。」


チャトラの鼻をつつくとチャトラは少しだけ目をあけてシャンスを睨み、前足に力を入れた。


「いだだだだだだだだ。」


魔王の手下、リコリス・ラジアータを倒した一人の偽物勇者と一匹の魔獣がじゃれあいながら王国への道を歩いて行った。




「シャンス様!!!チャトラちゃん!!!」


王国の門をくぐるとカルアが猛ダッシュで飛び込んできた。


「ちょっ…カルア??うわっ…」


シャンスはカルアの勢いを受け止めきれず、後ろへ倒れこむ。チャトラはシャンスの肩から跳躍し、華麗に着地した。


「うえぇぇぇ…シャンスさまぁ…よがっだよぉぉぉぉ。」


「いだだだだだだだだ!!カルア!!痛い!!鼻水ついてる!!!ねぇ!!!」


カルアの激しい泣き声と鼻水に襲われながらもシャンスはカルアの頭を撫でる。


「言ったろ?俺は勇者だって。」


「でもぉぉぉぉ…いくら待っててもシャンス様がかえってこないからぁぁぁぁぁぁ…てっきりツルに足を貫かれて宙づりにされて…首を絞められて気絶しちゃったのかと思いましたぁぁぁぁぁぁ。」


お前どっかで見てただろ!とシャンスは心の中で思うが、あまりにもカルアが泣き叫ぶのでおかしくなってツッコめなかった。



落ち着いたカルアと一緒にカルアが泊っている宿屋の酒場で食事をした。そこでカルアの村のことや妹に商会を任せて王国に出てきたことを聞いた。


カルアの家族は代々商人をしており、先々代から続く大きな商会を営んでいるらしい。


先代、つまりカルアの父が病に倒れ、跡継ぎの話になり、家督は妹へと受け継がれた。


それはカルアの商人としての技量不足もあるが、何よりカルアの妹の営業力や値踏みの才能が遥かに上回っており、カルアもそれが一番だと快諾した。


そして自由になったカルアは魔術を学ぶため、少しばかりの商人の知識を持って、小さな荷馬車で王国まで出てきたのである。


「晩御飯ごちそうさま。今日はもう宿に戻って体を休めるとするよ。カルアはこれからどうするんだい。」


「無事ドドングリも頂けましたし、王国の図書館に籠って魔術の勉強をしたいと思っています。」


魔王の手下討伐の功績をたたえられ、多額の報奨ドドングリが二人に与えられた。

カルアは一瞬受け取るのを拒んだが、迫りくる荷馬車のローンとシャンスの押しによってその半分を受け取った。


「カルアにはもう必要ないんじゃないのか?リコリスに放った魔法は極大魔法だろ?」


「そんなことはありません!魔法の知識は膨大で、私が死ぬまでにすべての魔法を習得するのは不可能です!でもどれだけたくさんの魔法を覚えてもまだまだ底が見えないなんてわくわくしませんか?」


シャンスにはカルアの不可能と言いながらも目をキラキラさせる彼女の瞳がとても眩しかった。


「応援してるよ。俺ももっと腕を磨かないと。」


今回なぜリコリスに勝てたのかわからない。少なくとも気を失う前は奴の足元にも及ばなかったはずだ。

いとも簡単に殺されかけたのだから。




カルアと途中で別れ、シャンスは宿へと向かう。


勇者という肩書きがある以上、これから先もああいった場面に出くわすだろう。

シャンスは剣の基本と使い方を学ぶため、故郷の村で剣術を教えている老人。赤子の自分を拾って育ててくれたシャンスの育ての父親のもとへ向かうことを決める。

勇者の肩書きに負けない自分になるため。大切な人の笑顔を、命を守れるようになるため。


運がいいだけの偽物勇者 第1章これにて完結です。

テンポが少し早いのかなと途中で思ったりもしたのですが、僕も小説はいろいろ読んでいて、テンポが遅いと少し退屈になってしまうことがありますので、この作品が完結した時の目標は、程よいテンポと面白さで一日で読み終わってしまった!なんて物語が作れたらなと思っています。(完結はまだまだ未定ですけどね笑)


ここまで読んでいただいて本当にありがとうございます。

これからのシャンス達の活躍をお楽しみに。

                                            さの

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