表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/92

サバイバル!

「これは悪手」


 訓練のため、ランダムで相棒が決まった。

 相手を見た瞬間、思わず顔を顰めたのは、留だけではなかった。


「なんで俺が……」


 留とペアを組まされたシャズは、苦虫をかみつぶしたような顔を隠そうともしなかった。

 先日彼に気を付けようと考えていたところだ。

 なるべくなら接触は避けたかったのだが。


「くじ運なかったわね」

「うるせぇ」


 くじで決まるとなれば、どうしようもない。


「足引っ張るなよ」

「内容によるわ」


 訓練内容は明かされていなかった。

 だから、事前準備も何もできていない。

 だが、支給された装備を見ると、なんとなく想像がつくというものだ。

 ナイフと、丈夫そうなロープ、地図。魔術を使うための杖は今回持っていない。


「三日間でこの森を抜け、地図にある目的地まで到達せよ!」


 森の前に教官が立ち、訓練内容を話す。


「この森は、知っての通り害獣の巣や、危険な道もある。それらを避け、時に戦い、諸君らが無事目的の塔までたどり着くことを願う」

「サバイバル訓練……」


 留は思わず呟いた。

 周囲を見るが、三人の教官しかいない。

 この教官の人数では全部の組を見ることはできないだろう。

 他の兵がすでに森の中で待機しているのか。

 それとも最悪命を落とすことも織り込み済みの訓練なのか。


「それでは、始め!」


 戸惑った様子の訓練兵達が、森の入り口でたむろする。

 一部の訓練兵は、勇んで森へと入っていった。


「おい、行くぞ」


 シャズも、どちらかといえば真っ先に森へ入りたい気質の人間だ。

 早く、と留を急かす。


「まぁまぁ。すこーし、待とう」


 地図を眺めながら、シャズを止める。


「この森、順調にいけば二日で抜けられるのよ。地図上」


 そう言って、留は地図を指す。


「だから何だよ。より早く着いた方が、点数高いだろ」

「余分に日数をとってるところを見ると、何か仕掛けてる……と思うんだけど」


 日数的に、余裕がありすぎるのだ。

 留の言葉に、シャズも少し興味を持ったようだった。


「仕掛ける?」


「罠とかさ。仮にも訓練。ただの散歩ってわけはないでしょ」


 ひらひらと地図を振って、笑ったみせた。


「ぎゃぁぁあぁ!」


 背後の森で、叫び声が響いた。

 声から察するに、訓練兵の声だろう。


「ほら、ね」

「……」


 シャズが苦い顔をした。

 まだ森に入っていなかった訓練兵達がどよめき始める。


「ほら、さっさと行け」


 教官が森の中へと訓練兵を誘導する。


「どうするんだよ」


 シャズが耳打ちする。

 仕方なしに、森へと足を踏み入れた。


「まぁ、他の訓練兵をカナリヤにして……」

「カナリヤ?」

「あぁ、この世界にはいないわね。他の訓練兵の様子を探りながら、森を進むのがいいと思う」

「囮か」

「他の兵は斥候。私達が本体」

「鬼だな」


 そう言ってのける留から、シャズが嫌そうな顔をして距離をとった。


「教官が?」


 とぼけて留が言う。


「お前がだよ!」


 シャズの声が、森に響いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ