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「遅い。限りなく遅い!」
暁人を起こしたらまず言った台詞がこれだった。
「言われた時間ピッタリだけど。」
「いつ言った?」
「昨日。」
「…………………そ、そう。」
絶対忘れてたな。こいつ。
「ご飯買ってきたから下に来て。」
「おー。」
……絶対寝ぼけてる。
ドアをぱたんとしめ、階段を降りる。
「諸行さん。私のこと、言ってないようですがいいんですか?」
階段を降りたら愁ちゃんがいた。
愁ちゃんがいても歩き続けるんだけど。
「いいんじゃないかな。下に来たらで。」
「そうですか。」
部屋に入り、椅子に座る。
正面が愁ちゃん。
「……。」
「………。」
今まで会話をしたことがなかったからな。
一応、愁ちゃんはぼくより年上だろうし。
「私を轢いた人はいくら慰謝料はらったんでしょうね。」
「突然重いねたふってきたね。」
あまりにも会話がないからふってきたんだと思うけど。
「轢き逃げされたんでかなりの値段になるはずです。あぁ、私のお父さんとお母さんは潤っているでしょうね。」
「轢き逃げなの?」
「はい。いえすです。轢き逃げじゃなくて救急車を呼んでいたら生きていたと思います。」
「……そうなんだ。」
「まぁ、死んだことによりこんなこと出来ていると思ったら嬉しいです。死んでよかった。とまではいいませんが死んでいなかったらざんねんだったな。…と。」
「ざんねんだったって……愁ちゃん。ずっとひとりじゃなかっの?」
死んだから一人だったのに、ざんねんだった?
生きてたら今頃大人になっていたと思う。もっと楽しい事が待っていただろうし。
「一人じゃありませんよ。しょーちゃん?しょーちゃんがいるから。私、嬉しかったんですよ。貴方に会えて。まさか生き返るとは思っていませんでしたが。」
「……そうなんだ。」
「感謝なんて伝えきれません。死ぬまで、いいや死んでもついていきます。大好きですよ?諸行さん。」
「…………。」
はずかしい。
よくわかんないけどすごくはずかしい。
ぼくはぼくで友達を見つけただけだったのに。
ずっといてくれてありがとうって言いたいし。
「諸行さん。ついでにいいたいのですが。」
「なに?」
「暁人さん、ドアの裏側にいますよ。」
「え?暁人が?」
ドアがばたんとあく。
あれ?ほんとだ。暁人。
「ロリコンが………!」
「突然!?」
ロリコンじゃないしさ!
「暁人ちゃん、そんな早く見つけてくるとは思ってなかったし。朝?朝なの?朝にいってきたの?」
「そうだけど。」
暁人があまりにも寝てるから。
暇だったし。
「それで小学生を拾ってきたな?ロリコンだろ?」
「小学生はロリじゃないってどこかで聞いた気がするけど。……っていうか六歳だかで仲良くなったんだから普通、そうなるでしょ?」
「ならない。」
「そ………。」
まぁ、愁ちゃんの方がそのときは年上だったし。
愁ちゃんとどうして仲が良くなったんだっけ。出会った場所は確実に公園だった気がするんだけど。
遊ぼ…いいよ。みたいなやつだったのかな。
子供っていつのまにか仲良くなってるものだし。
そんなかな。
「暁人さん。はじめまして。」
愁ちゃんは暁人に笑いかける。
「はじめまして。夕焼暁人っていうんだ。よろしく。」
お。会話してる。
もっとわけわからないこと言うと思ってた。
「はい。はじめまして。暁人さんは『焼ける』っていう文字が二重でくるんですね。私は、諸行愁で読み仮名だと『う』が二重でくるんですよ。えへへ。」
「……………ふうん?諸行愁?へー。そうなんだ。」
「はい。諸行さんがつけてくれました。」
にこりと笑う愁ちゃん。
にこりともしない暁人。
「そ。愁ちゃんっていうんだね。私のことは暁人ってよんでいいから。」
「暁人さんって呼ばせていただきます。」
「あっそう。暁人様でもいいぐらいだし。様でもいいし。暁人ちゃんは、名字で呼ばれてもいいんだよ?」
「いいえ。暁人さんで。」
「そ………私は愁ちゃんって呼ぶから。」
「そうですか。所で暁人さん。お話があるのですがいいでしょうか?」
「話?」
「話です。」
「雫は出した方がいい話?」
「いない方がいいと思いますよ。」
あれ。追い出される気がする。
おかしいな。ここってぼくの家じゃないっけ?
「でも、愁ちゃんは雫からそんなに離れられない筈だよ。」
「一階と二階なら離れられました。」
「そ………。じゃあ雫、上にいってよ。」
「ごはんは?」
あ。さっきから地味に思ってたこと口に出ちゃった。
お腹好いたんだよね。
「………あっ…と。雫は上で食べたら?」
「えぇ。一人。」
「一人。いってらっしゃい。」
「………わかった。」
ぼくがいたってわからない話なんでしょ。
愁ちゃんと暁人ってさっきあったばっかりなような気がするけど、なんの話するんだろう。
楽しい話かな?
つまらない話かな?
まぁ、どっちにしたってぼくには関係ないんだろうけど。




