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むだい。  作者: 伏見 ねきつ
2章
9/21

「遅い。限りなく遅い!」

 暁人を起こしたらまず言った台詞がこれだった。

「言われた時間ピッタリだけど。」

「いつ言った?」

「昨日。」

「…………………そ、そう。」

 絶対忘れてたな。こいつ。

「ご飯買ってきたから下に来て。」

「おー。」

 ……絶対寝ぼけてる。

 ドアをぱたんとしめ、階段を降りる。

「諸行さん。私のこと、言ってないようですがいいんですか?」

 階段を降りたら愁ちゃんがいた。

 愁ちゃんがいても歩き続けるんだけど。

「いいんじゃないかな。下に来たらで。」

「そうですか。」

 部屋に入り、椅子に座る。

 正面が愁ちゃん。

「……。」

「………。」

 今まで会話をしたことがなかったからな。

 一応、愁ちゃんはぼくより年上だろうし。

「私を轢いた人はいくら慰謝料はらったんでしょうね。」

「突然重いねたふってきたね。」

 あまりにも会話がないからふってきたんだと思うけど。

「轢き逃げされたんでかなりの値段になるはずです。あぁ、私のお父さんとお母さんは潤っているでしょうね。」

「轢き逃げなの?」

「はい。いえすです。轢き逃げじゃなくて救急車を呼んでいたら生きていたと思います。」

「……そうなんだ。」

「まぁ、死んだことによりこんなこと出来ていると思ったら嬉しいです。死んでよかった。とまではいいませんが死んでいなかったらざんねんだったな。…と。」

「ざんねんだったって……愁ちゃん。ずっとひとりじゃなかっの?」

 死んだから一人だったのに、ざんねんだった?

 生きてたら今頃大人になっていたと思う。もっと楽しい事が待っていただろうし。

「一人じゃありませんよ。しょーちゃん?しょーちゃんがいるから。私、嬉しかったんですよ。貴方に会えて。まさか生き返るとは思っていませんでしたが。」

「……そうなんだ。」

「感謝なんて伝えきれません。死ぬまで、いいや死んでもついていきます。大好きですよ?諸行さん。」

「…………。」

 はずかしい。

 よくわかんないけどすごくはずかしい。

 ぼくはぼくで友達を見つけただけだったのに。

 ずっといてくれてありがとうって言いたいし。

「諸行さん。ついでにいいたいのですが。」

「なに?」

「暁人さん、ドアの裏側にいますよ。」

「え?暁人が?」

 ドアがばたんとあく。

 あれ?ほんとだ。暁人。

「ロリコンが………!」

「突然!?」

 ロリコンじゃないしさ!

「暁人ちゃん、そんな早く見つけてくるとは思ってなかったし。朝?朝なの?朝にいってきたの?」

「そうだけど。」

 暁人があまりにも寝てるから。

 暇だったし。

「それで小学生を拾ってきたな?ロリコンだろ?」

「小学生はロリじゃないってどこかで聞いた気がするけど。……っていうか六歳だかで仲良くなったんだから普通、そうなるでしょ?」

「ならない。」

「そ………。」

 まぁ、愁ちゃんの方がそのときは年上だったし。

 愁ちゃんとどうして仲が良くなったんだっけ。出会った場所は確実に公園だった気がするんだけど。

 遊ぼ…いいよ。みたいなやつだったのかな。

 子供っていつのまにか仲良くなってるものだし。

 そんなかな。

「暁人さん。はじめまして。」

 愁ちゃんは暁人に笑いかける。

「はじめまして。夕焼暁人っていうんだ。よろしく。」

 お。会話してる。

 もっとわけわからないこと言うと思ってた。

「はい。はじめまして。暁人さんは『焼ける』っていう文字が二重でくるんですね。私は、諸行愁で読み仮名だと『う』が二重でくるんですよ。えへへ。」

「……………ふうん?諸行愁?へー。そうなんだ。」

「はい。諸行さんがつけてくれました。」

 にこりと笑う愁ちゃん。

 にこりともしない暁人。

「そ。愁ちゃんっていうんだね。私のことは暁人ってよんでいいから。」

「暁人さんって呼ばせていただきます。」

「あっそう。暁人様でもいいぐらいだし。様でもいいし。暁人ちゃんは、名字で呼ばれてもいいんだよ?」

「いいえ。暁人さんで。」

「そ………私は愁ちゃんって呼ぶから。」

「そうですか。所で暁人さん。お話があるのですがいいでしょうか?」

「話?」

「話です。」

「雫は出した方がいい話?」

「いない方がいいと思いますよ。」

 あれ。追い出される気がする。

 おかしいな。ここってぼくの家じゃないっけ?

「でも、愁ちゃんは雫からそんなに離れられない筈だよ。」

「一階と二階なら離れられました。」

「そ………。じゃあ雫、上にいってよ。」

「ごはんは?」

 あ。さっきから地味に思ってたこと口に出ちゃった。

 お腹好いたんだよね。

「………あっ…と。雫は上で食べたら?」

「えぇ。一人。」

「一人。いってらっしゃい。」

「………わかった。」

 ぼくがいたってわからない話なんでしょ。

 愁ちゃんと暁人ってさっきあったばっかりなような気がするけど、なんの話するんだろう。

 楽しい話かな?

 つまらない話かな?

 まぁ、どっちにしたってぼくには関係ないんだろうけど。


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