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むだい。  作者: 伏見 ねきつ
2章
8/21

 意外とぼくは早起きだったりする。

 暁人はまだ起きなさそうだし。

 ちょっと外に出てみてる。

 まあ、散歩のためとかっていう理由じゃないくて、少しだけやりたいことが出来たから。

 暁人の前では出来ればやりたくないって言うか。

 ぼくが早朝向かっているのは学校の隣にある公園。

 公園の名前なんて覚えていないけど。

 そこにぼくの友達がいる。

 幽霊の友達が。

 結構色々な場所で出会ったりするんだけど、基本的にいるのは公園だったりする。

 ブランコに乗って遊んでたりする。

 飽きないのかな……………。

 ぼくが六歳ぐらいの時に出会ったからすくなくても十年ぐらいはあの公園にいると思う。

 ぼくだったら嫌かな。

 きっと幽霊に友達なんていないと思うし。

 そこにずっていて天に昇れないのかと思うと悲しい。

 ぼくは死んだ人、皆が皆幽霊になるわけじゃないと思う。

 死んだ人が皆その辺をうようよしてたらぼくの視界が死んでしまう。

 ぼくが小さいときからずっといる人はほとんど皆見なくなったし。

 成仏したんだと祈る。

「……………。」

 公園についたはいいけど、ブランコにはいなかった。

「あ。」

 シーソーだ。(シーソーを日本語で言うとぎっこんばったんらしいけど、本当かな。)

 一人シーソーってなにが楽しいのだろう。

 動かないじゃん。

「おーい。」

 シーソーに乗っている幽霊の彼女はこちらを向く。

 髪は長く、黒い。ぱっつんで前が見えるような長さ。

 年齢は不明だけど、たぶん小学生。(今は大人ぐらいな年齢だと思うけど。)

 シーソーまで歩き、反対側に座る。

 これでやっとシーソーは動く。

 ぎっこんばったんと。

「……………。」

 その少女とは会話なんてないし。

 ましてはジェスチャーなんてしない。

 必要ないから。

 はたからみたら訳がわからない状況だろうけど関係ない。

 あらあの子一人でシーソー動かしてるわ。すごいわね。ぐらいだろうし。

 こんな早朝に人なんか来ないだろ。

「……………。」

「……。」

 昔からこんな風だった。

 会話なんて家族とあの組織の人ぐらいしかしたことなかったし。

 懐かしい……のかな。

「あのさ。」

「………。」

「君と何年も一緒にいたりするからお願いなんだけど。」

「…………。」

「生き返ってみない?」

「!?」

 明らか驚いた。

 逆毛がたってる。こわい。

 なにいってんだこいつ!?みたいな目をしてる。

「いや、よくわかんないけどこの水をかけると生き返る………?新たに人生を歩める?っていうのかな。ぼくと一緒に来ない?」

 生き返らせるならだれ?ってきかれたらこいつにするって決めてたし。

 ……まさかこんな機会があるとは思ってなかったけど。

「………。」

「そしたら、ぼくと永遠に一緒になっちゃうけど。かなりこわい目に会うと思うけど。」

 一緒に来ない?

「……………。」

 おーけい。

 いいよ。

 だってさ。軽いね。そんなんでいいのかって感じ。

「じゃ……。」

 シーソーから降りて瓶の蓋を開ける。

 これをかけるっていったら気が引けるんだけど。

「いくよ……………!」

 瓶から水をぶっかける。

 水は瓶から出たとたん赤い霧になって降り注いだ。

 一言で言えばきれい。

 きらきらと。

 降り注ぐ。

 なんかもっとグロいものだと思ってた。

 今、ここでこれが魔法だと見せつけられたような。不思議な感覚。

 と、同時に締め付けられるような感覚。

「………しょ………しょーちゃあああん!」

「あだ名!?」

 と彼女はいってぼくに抱きついてきた!?

 ついでにいうとぼくの名字は諸行です。お忘れなく。

「抱きつけてます!?すごい!」

「……そうだね。」

「話が通じてます!?…す………すごいですねそれ。」

 話し方も声も思っていた通りでよかった。

「そう考えると体が一ごーかしゃぐらい重くなったような気がします。生き返ったとは少し違うでしょうけどありがたいです。」

 ごーかしゃってなんだかわからないんだけど。

 何かの単位かな?

「いや、お礼なんていらないよ。」

 あくまでも、ぼくが勝手に押し付けただけだし。

 かなりあっけないけれど。

 そんなものだろ。

「ということは私、他の人に見えていると言うことでしょうか?誰にも見えない生活は終わりなんですね?いいんですよね?」

「いいと思うよ。」

「ふふふっ右雫さん。話せて嬉しいです。」

「右雫?」

「あ。間違えました。雫でしたっけ?わかりずらいですね。諸行さんって呼びます。」

 雫って呼んでくれてもいいのにな。

「………。」

「そういえば諸行さん。私に名前をつけてください。」

「え?」

 名前をつける?

「名前ですよ。私は絶対に名乗りませんし。新たな人生なら新しい名前でもいいじゃないですか。」

「そうだけど。」

「RPGだと思って新しい仲間が出来たら名前をつけるのです。」

「RPGって。」

「じゃあ可哀想な私の名前を呼んであげてください。」

 自虐的だな。

「愁。」

「………いいですけど。さっき私が右雫って呼んだからっていう理由……。」

「その通りだけど。名字は諸行でいい?一応だけど。諸行愁。」

「理由はあまり嬉しくありませんが、諸行の名を頂けるなんて嬉しいだけです。」

「そうなの?」

 そんな偉い人とかにいるわけじゃないと思うけど。

「適当なネーミングありがとうごさいます。諸行愁。死亡理由は事故です。友達いません。家族いません。知り合いいません。よろしくお願いします。」

「友達、家族、知り合いはぼくだよ。いませんじゃないよ。悲しいな。ぼくは諸行雫。」

「知ってます。」

「ならいいけど。」

 まあ、愁ちゃんはそれなりにぼくの声理解してたっぽいし。

 名前ぐらい知ってるか。

「それにしてもお腹好きました。」

「脈拍がなかったよ?」

「お腹好きました。」

「そ……じゃあ何か買って帰るか……。」

 これからはともかく、今日、親仕事だからとりあえずはいれるし。

 土曜出勤ご苦労なこった。

 ぼくの家って放任主義なんだよな。親が。

 仲はいいけど。

「私は行ってもいいんですよね。」

「どうぞ。先にコンビニに行くから。」

「ついていきますよ。永遠に。」

「そう。じゃあ行こう。」

 ぼくが子供と歩いていたらまた不思議な噂がたつと思うけど。

 多い噂がもっと多くなるだけだから構わないけどさ。


「ちょっと待て。」


 唐突に後ろから声がした。

 懐かしい声といったら正解だろうか?

「………………緋咲さん。」

 昔、お世話になった、男。

 あの組織でナイフ捌きに長けていた。

 柳緋咲。

「ひさしぶり。雫。別に雫とそこにいるちまっこいやつに被害をあたえにきたわけじゃない。お前、暁人のやろうどこにやった?」

「喧嘩してるって暁人はいってましたけど。」

「喧嘩?あぁ…喧嘩には違いない。いま、こっちは暁人探しに必死なんだよ。」

「そうですか。暁人に許可をとってないんで無理です。教えられません。」

「秘密はよくないぜ?雫。お前だけが知ってたら責任はお前になっちまう。言えよ。人のせいに出来る。」

 人のせいにしたいとか、思ったことないし。

 なにもかも、ぼくのせい。

「よくわからないですけど暁人の居場所は教えられません。本人にきいてみます。」

「まじで急いでたりするんだ。……世界を守るものと思ってさ。」

「暁人の居場所を教えても世界は救われませんよ。」

「それ。」

 緋咲さんが指差したのは愁ちゃん。

 愁ちゃん………?

「………私ですか?」

「どうせ暁人に貰ったものだろうけど、その魔法とやらは未完成なんだよ。」

「未完成?」

「そう。失敗確率の方がまだ高い。」

「私は失敗してませんよ。柳さん。」

「そうだといいけどな。…その魔法は、使った人間にすごい負担をかける。」

「十年程度寿命が縮まるとききました。」

「はい!?きいてませんよ!私!」

 愁ちゃんが反応しちゃった。

 言いたくなかったのに。

「十年ぐらいいいじゃん。愁ちゃんが生き返ったんだから。」

「………そうですか。」

「そうですかじゃねぇし。………雫。本当に何も知らないな。…………なるほど、暁人は。」

「暁人は?」

「いわない。いう必要もない。」

「………。」

「何も知らない方がいいんだよ。被害者でいれて。雫はいいよ。」

「被害者でいれる……?」

「無知。……じゃあ再会できて良かったよ。じゃあな。雫。俺とあったのは忘れていいよ。」

「………?」

 柳緋咲は歩いて公園から出てしまった。

 ん?公園を出ようとしてたところに後ろから声をかけられるなんておかしくないか?

 この公園の出口は一つしかないのに。

 どこから出てきたんだろう。

 謎しか残していかなかったな……あとで暁人にきこう。

「諸行さん。」

「なに?」

「感謝をしています。…が、自分の命を縮めないでください。自分をもっと大切にしてください。」

「……………。」

「私の生きていた人生は十年そこらです。もっと短いかもしれません。…だから、生きているんですからもっと生きてください。」

「……わかった。」

 この台詞は案外言ってみただけかもしれない。


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