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「ねー。お仲間になったところでお願いがあるんだけど。」
「なに?」
「今日泊めてくれない?」
「やだよ!」
何で女の子を泊めなきゃいけないんだよ!?
これ以上ありがち設定は嫌だ!
「いいじゃん。友達でしょ?」
「いや、友達いないんで…………。」
「可哀想な子。」
「そんな目で見ないで!」
可哀想な子を見るような目で見られてる。
「可愛装な子。」
「いいな。その装備。」
その装備を着ると可愛くなれるよ。みたいな装備だろ?
誰でもほしいだろ。
かっこいい装備でもいいけどさ。
「泊めてくれよ。お父さんとお母さんに言っちゃうよ?」
「なにを?」
「あんなことやこんなことを。」
「…………なんだよそれ。」
「君が昨日道端で犬と戯れてたとな!」
「すごくどうでもいい!」
少しだし。すごい少しだし。
野良犬と遊んだっていいだろ?理由?……きくなよ。
友達がいないだけさ。
「ね?泊めて。」
「なにが『ね?』何だかがわかんないよ?」
「ほら、一回帰らなきゃ。風邪引いちゃうよ?」
「そうだけどさ。」
なにを考えてるのか丸わかりだよね。
「やだよ。暁人は女、ぼくは男。めんどくさいのはやだよ。」
「女の子を外に放置するのかい!?」
「いや、帰れよ。」
「いやぁ、少し本部と喧嘩しててねぇ。帰れないんだ。」
「大丈夫なのそれ!?」
本部と喧嘩ってなにしたんだよ。ぼくも喧嘩したことないし、一番偉い人とか一回しかあったことないのに?なにをしたんだよ。まじで。
「そんな、展開待ってないし。大丈夫!」
どんな展開ですかそれ。
「じゃ………押し入れで寝たら?」
さながらドラえもんみたいに。布団ないけど。
「屋根があるだけで嬉しいですぅー。」
「ありがとうは?」
「…………………え?」
「ありがとうは?」
「ありがとう?」
「なんで疑問系なんだよ。……いいけどさ。」
「よーし!帰るぞー!」
「ぼくの家なんだけど。」
「べーだっ!」
「なんで!?」
なんで優しいことしたらあっかんべーされるの?
不思議だね。
「まーのんびり帰ればいいよ。夜は長いしさ。」
「そうだね。」
階段をのぼり、我が家の方へと歩く。
今日はいつも以上に歩いている気がする。
歩きながら話す人がいるからかな。
昔はよく、歩いていた気がする。あのことかお化けと一緒に。
「歩いてるはいいけどなんの話をしたらいいか分からないよね。とくに君は。」
「………酷いな。」
これでも昔は結構いい感じにご飯のはなしとかしてたんだぞ。
昨日なに食べた?
とか。
「じゃあ、哲学的な話をしようよ。」
「なんで突然……。」
「暇だから。」
「そ……。」
「暁人ちゃんはずっと昔からあそこにいるけどさ……あそこって何のためにどうして出来て、存在してるんだろうね。」
「そりゃ……昔からいるなら知ってるだろうけど、『悪と戦うヒーロー』って書いてあったよ。キャッチコピーっていうの?」
「屑。そういうことじゃない。」
ひさしぶりに屑って言われた気がする。もう言われないかなって思ったんだけど、甘かったね。
「哲学的に。っていうこと?」
「そ。」
「昔から自分の考えをあまり持たない性質だったからな……どうだろ。別にぼくみたいな変な魔法的なやつ持ってるって言う組織でもないしね。……なにがしたかったんだろう。」
別に特別酷いことされてないし。
ちょっといけないことをかなりしてたけど。
「子供を集めて、なにと戦おうとしてたんだろうね。まさかの地球とか?……まさか。」
「悪ってなに?って感じだった気がするな。ぼくは。………自分の意思で入ってきた人はヒーローになりたかったのかな。お金儲けにはなっただろうけど。」
「それが疑問なんだよ。何十人も子供を集めてさ、大金を渡して。なにを求めて税金を無駄にしていたんだか。」
哲学の道を踏み外し始めてる気がする。……世間話?
「暁人は天涯孤独なんでしょ?それもあったかもしれないね。」
「わぉ。天涯孤独を遠慮しないでいったよこの人。孤児を助けるイベント………?でも、それなら孤児以外は要らないはず。」
「友達作り?」
「じゃあなんで人を殺すのさ。」
…………。そうだね。
なんであの組織があったんだろう。
「国家秘密でも餓鬼なら教えてもいいかなー?とか。」
「餓鬼って口軽いよね。」
「…………。」
「案外、答えは簡単かもね。」
「?」
「例えば、国の人がどうしてもほしいものがあったとか?」
「ほしいもの?」
「暁人ちゃんはこう考えたりするのさ。」
最初からそれを言うために始めた会話だったのかもね。
その笑顔がさ。
そうとしか思えない。
「君を手に入れるためとか。」
ぼく…………?




