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「はあ………はぁ。」
河原着。
駄目でした。
どうも、持久力がないらしい。まず、運動が出来ないし。最近は更に体育の授業でしか動いてない。
「こんなペース、距離も無理なの?」
「……………し…ぬ。」
「死ね。」
直球ストライク。
ただし、デットボール。
「駄目駄目だね。駄目駄目ー。屑ー!」
「く……。」
返す言葉がない。
「じゃバトルしよー。」
「……殺す気か?」
「君さ…どんどん口が悪くなってきてるよね。」
「………そんなことないし!」
ほら、最初は人見知りしてたしさ。しかもおばけだと思ってたし。
暁人の口が悪いしさ。それに対抗しようとしたんだよ。
きっと。
元が口悪いだけかもだけど。
「そんなに全力で否定させると、「そんなことあるよぼく。口悪いんだー」って言ってるようなものだよ。」
「いや、似てないし。」
「え?似てなかった?アホみたいな声が特に。」
「ぼくがアホみたいな声だというイメージをつけないでよ。」
「アホじゃなかったら君、なんなの?あぁ、馬鹿か。」
「勝手に理解するな!」
「え?」
「疑問をもたれた………。」
今の所は、「あぁそうか。ごめんね。」って言うべきだよ。
いうわけないけど。言ったら怖いし。
何か裏があるんじゃないかと探るよ。
「話が進まないな………。君がいちいちつっかかってくるからいけないんだよ。」
「いや、むしろ君の方が。」
「……………。なにか?」
「いいえ。なにも。」
めんどくさいし。
そしてなによりも、早く帰りたい!家でぐたーとしていたい。
はやく終わらせようよ。
これからぼくがかっこいい展開になっていくんだからさ。
ただのヘタレじゃないぞ!かっこいい雫!っていう展開なんだから!
「君は、屑。」
「いや、肯定されても困る。」
「よーし。はじめよ!」
「おー!」
「なんか乗り気だね。ムカつく。」
「なんで乗り気なだけでムカつくんだよ。」
「じゃあルール。」
スルーされた。
「ルールはね。うーん。倒れるまで?それとも、水に顔突っ込んだ方が負けとか?」
「どっちでもいいけど。」
どのみち、ここでバトルしたらびしょ濡れになるんだから。
「じゃさ、顔突っ込んだまけ。」
「……………そ。」
つまり足を引っ掛ければいいのか。
ずべってすべってはい。ぼくの勝ちみたいな。
もしくは膝カックン。
「引き分けはなし。終わるまで。」
「おーけー。」
「殺しはいけませんよ。」
「おーけー。」
まず、殺せないし。
そして、「おーけー」は我ながら馬鹿っぽい。
「よーいスタート………!」
暁人は飛びました。
飛びました?跳びました。
跳びましたが正解。
始まりの合図をしたとたん上に高く飛翔した。
えぇぇぇえぇえ。
「なんで、跳ぶんだよ。」
「かっこいいから!」
とかいいながら暁人はこっちに向かって落下してきてる。
これから私、飛び蹴りしますよ。っていう姿勢。
「こぇぇ。」
一応、手をクロスしてガード。
ガード?
違うな。受け流すんだ。
暁人の足を横に。流す。
「なにっ!?」
わざとくさっ。
「…………おも……。」
「なにが?なにが重いの?暁人ちゃん?暁人ちゃん?なに暁人ちゃんが重いの?」
そんなこと言いながら手を握りしめて殴ってくる。
こわ。
なにか言ったっけぼく。
「い……いや。」
パンチを受けながら、言い訳?反論?をする。
「攻撃が重かったって事だよ……。同時に、勢いがついていたのでぼくの腕では勝てなかったっていうか。重かったっていうか。何て言うんだろう……なんていうか………………重かった。」
攻撃が。
「お………重い!?なに?暁人ちゃんは君より遥かに軽いよ。五十五キロ以上ね!」
なんでぼくの体重知ってるんだよ!こわ!ぼくが五十五キロで君は零キロなんですね?
「死んでるって。」
「は?」
ぐーで殴ってきた!?
こわい!
なんか怒ってる!?
………っていうかそんなに強くない?
一発一発が軽いというか。
女の子なんだなぁって。思う。
夜遅いから早く終わらせなきゃ。
…………ね?
「鳩尾。」
ぼくは言った。
「?」
「別名、水月。」
一発暁人に入れる。
人体急所。
急所を打つたびにおとがなるけれど誰にも見えない。聞こえない。
まぁ、ここまでやって倒れないのはすごいと思うけど。
膝カックンすればぼくの勝ち。
「ぼくは強いんだよ。暁人。」
それなりにね。
運動能力と戦闘能力は違うんだよ。
それに女の子にやられるほど柔じゃない。
「……………ははは。奇遇だね。暁人ちゃんもね、男の子に負けるほど柔じゃないんだよ。」
「どゆこと?」
また、アホっぽい事を…言っちゃったよ。
「まほーってあるんだよ。案外。」
「魔法?」
メラみたいな?
レイズみたいな?
……………魔法?
「そ。魔法。君のおばけが見える目みたいなね…………!」
といったとたん、暁人が消えた。
「え?」
消えた?
闇に紛れた?
人間が消えるわけない。のに?
「インビジブルもいるんだよ!」
とたん、ぼくの体が浮いた。
さっきの暁人みたいに。
暁人ちゃんによって飛ばされたんだ。たぶん蹴りで。
見えないけれど!
透明人間!インビジブル!
スケルトンは透明人間じゃないよ!
「ていや!」
「ごふっ」
わざとくさいけどこんな感じ!
折角飛んだのに(飛ばされたのに。)上から踵落とし食らった感じ。
「……………」
そういえば暁人って脚力のほうがあるよな。
最初、高く飛んでたし。
パンチはそこまでじゃなかったけど。
じゃ……着地して、そこから作戦立てるか。
「バーカ。」
「!?」
着地、否、落ちた所は水の上。否、中。
否が多すぎて訳がわからないと思うけど。水の中に落ちました。
着地とかないじゃんか。
水の上に着地とか、それこそ魔法。
そこまで深くないけど。
ぼくの負けって事かな?
かっこわる。ぼく、かっこわる。もう生きていけない。
「ぷはぁ!」
もう、可愛いキャラを貫こうかな。
ぼく、実は弱くて戦った事とかなくてーひ弱な男の子なんですー。萌え袖なんですー。みたいな。
あぁ過去のぼくを消し去りたい。
「ひひっ暁人ちゃんの勝ちー。」
暁人は手をぼくの方に差し出してくる。
「…………。どうも。」
川から上がるとびしょ濡れでした。
気持ち悪い……。
制服のまま来たけど、どうしよ。
学校……。
あ、休みだ。
忘れてた。今日は金曜日でした。
都合がいいね。
「びしょ濡れだね、君。」
河原の階段に一先ず腰をおろす。
「暁人のせいだけどね。」
「一回、家帰る?」
暁人のせいだけど。っていう台詞無視した。こいつ。
「いいよ。また来るのめんどくさい。」
「暁人ちゃん、気配を消せば入れるけど。」
「いや、やだ。」
あ。本音が。
即答しちゃったよ。
「嫌だ?ひでー非情。」
「そこまで言われることしてないよ。ぼく。」
「暁人ちゃんは心がキレたんだ………。」
「どっち!?」
キレたの!?それとも割れたの!?
「ねー。暁人ちゃんの勝ちだよね。じゃあ、君は仲間だ!いや………。……やっぱ、言わないでおこう。」
「何を言われるところだったんだ……?」
「ひみつ!」
「………。」
何もいえねぇ。
圧力に負けて。とかじゃなくて呆れて。って意味で。
うん。
じゃあそろそろぼくも秘密ごっこしてる場合じゃないよな。
秘密は後で後悔するよ。
「………さて、ぼくは何から話そう。」
「え?何か話すの?」
「え?一般人がここまで戦えたのっておかしくない?」
「おかしいの?」
「お前、一般人って何か知ってる?」
「お前って呼ぶなよ。きもいな。」
…………スルーしよ。
「あぁごめん。暁人、一般人って何か知ってる?」
「えっと、私?」
まじで?
「…………。一般人はね、何も知らない人。」
「それは人間じゃない!」
「いや、なんとなく通じろよ。えっと、暁人は裏側の仕事。少なくとも一般人じゃない。一般人にあまりみられちゃいけない。」
「裏の仕事って誰かから聞いたけど。」
うんうんと頷く暁人。
「で、一般人は身近な所だと、ぼくの両親、さっき学校にいた生徒、通りすぎたおばさん。というか、日本人の中殆どが一般人。」
だから、一般っていうんだろうけどさ。
「よくわかりません。屑さん。」
「そうですか。まぁいいや、裏が分かってたら。」
「じゃ、いいじゃん。」
…………いいんだけどさ。
楽観的っていうかなんていうか。
まあいいや。
「で、ぼくは元、裏の人なんだよ。」
「その単語だけきくと危ない人みたいだね。」
そうだね。
「暁人がどこに所属してるのかもなんとなくわかったし。多分、同じとこ。」
「どうして。」
「制服。」
ぼくは暁人を、否、暁人の制服を指差していった。
「あぁ。」
「暁人と同じような位置にいたんだよ。だから暁人が何をしてるかもなんとなく分かるし、国がどう動いてるかもなんとなくわかる。」
「え?そうなの。」
ぼくのこと調べたんじゃないの。って聞きたいんだけど。
無駄なことだけを調べたの?
おつかれ。
「五歳までだけどね。目が黒くなってきたら、やめさせられた。」
というか自主退場みたいなものだった気がする。
きちんとは覚えてないけど。
「やめさせられた?」
「目が紅くなきゃぼくはただの子供だよ。ちょっと皆より強かっただけ。」
で、ぼくより強いやつが出てきてるなんて時代は変わったなぁ。
そんな魔法って形になってなかったし。
「過去の話に入ろうか。」




