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緋咲さんにある程度方法をきき、自転車で家に一回帰り(その際に布団に入って暁人ここで寝てたんだなぁーとかやってないよ?)瓶をとって、走って暁人がいるであろう場所にいく。
いや、いる。
いる確信がある。
なぜだか知らないけどそこに暁人がいることが手に取るように。とまではいかないけれどわかる。
この目のおかげなら多少は感謝するかもしれない。
「暁人。」
夕焼暁人。
ぼくがずっと探してた人。
ぼくがずっと殺し続けてきた人。
なにを伝えればいいのかとかよくわからないけど。
いかなきゃ。
暁人を生き返らす。
全部、ぼくが悪い。
暁人が自分のことを暁人ちゃんと呼んでいたのはぼくが昔そう呼んでいたから。
忘れてた何て話じゃない。
というか、暁人ちゃんってなかなか呼ばなかった気がする。
呼ばなくても暁人は来てくれたから。
そう考えるとぼくも話すようになったな。
国道を走り抜ける。
たしか、この角だ。
暁人はここにいる……。
「はぁ……はぁ。」
相変わらず体力がないな。
そんなんだから大切な女の子すら助けられないんだよ。
角を曲がるとそこには。
「諸行さん……。」
「わかってるよ。」
そこには。
そこには空き地がただ、あった。
ただ、空虚に。
「愁ちゃん。下がっててくれる?」
「…………はい。」
愁ちゃんをその場に置いて、空き地へ歩く。
暁人のいる方へ。
ぼくには見えないけど。
いると信じて。
「暁人ちゃん。」
…………………。
「暁人ちゃん暁人ちゃん暁人ちゃん暁人ちゃん暁人ちゃん暁人ちゃん暁人暁人……!暁人!いるんでしょ!?」
久しぶりに叫んだ。いや、緋咲さんに襲われたときに叫んだから久しぶりでもないのか。
「なーに?れーくん。」
暁人は音もなく現れた。
目元は多少腫れていたけど、いつもどうりの暁人。
「ごめん。」
「なにが?………当たり前でしょ?暁人ちゃんって子は死んじゃってるんだから。」
「死んでないよ。たしかにここにいる。」
「いませんよ。ばーか。幻覚、幻影、幽霊、魑魅魍魎。それが暁人ちゃんです。」
「いるよ?」
「雫はお化けが見えるんでしょ?だから暁人ちゃんが見えたんだよ。」
「違う。愁ちゃんだって緋咲さんだってぼくのお母さんだってお父さんだって近所のおばさんだって見えてたよ。それに、暁人ちゃんは死んでないって馬鹿にしたのは暁人だろう?」
いったじゃん。暁人は死んでないよって。
「襤褸が出た。いや、襤褸どころじゃないな。全部ミスってた。計画ミス。策士は策に溺れるってやつかな。……ま、私は策士じゃないけどね。」
「ボロがなかったら大変なことになってたけどね………。」
全滅ハッピーエンド。
「………最初っからこうしとけば良かったのかなぁ。………『ねー。れーくん。一緒に死のう。』っていっとけば良かったのかな。ごちゃごちゃ考えないでさ。」
「…………。」
「雫。一緒に死のう?」
「……………。」
「そっか。ま……近いうちにあの世に行けるでしょ。暁人ちゃんは先にいってるよ。」
「無理。」
「なにが?」
「全部無理。暁人が死ぬのも無理だし、ぼくが死ぬのも無理。」
全部を否定する。
皆で生きるから。
「なにいってんの?屑なの?暁人ちゃんが逃げられるわけないじゃん。それこそ荒唐無稽。無理。」
そういって暁人は笑う。
笑顔を作る。
「……ぼくが守るから。」
「は?…ひ?ふ?へ?ほ?」
「守る。暁人を守る。絶対守る。…………一生守る。」
「…………プロポーズ?………味噌汁なんて作れないし。ありえません。……やめろ!夢を見させるなっ!」
叶わない夢なんてみたくない!
暁人はそういった。
「っ叶わない夢とか言うんじゃねーよ!っざっけんなよ!さっきから話をきいてたら、死にたいだの叶わないだの!?夢は叶わないから夢!」
「………叶わないから夢。……そう。もう叶わない。もう手遅れ………。」
「叶えられはしないけど!百パーセントじゃないけど!夢はみることができる!その先の運命なんて、適当でいいじゃん!どうせ夢なんて!半分ぐらいは叶うんだから!」
「は………半分。」
「そ……半分。ちょっとぐらいなら手伝ってあげるからさ。」
叫んだから頭が痛い。
「で………でも、雫はもう死んじゃうんだよ?」
「死なない。緋咲さんに教えてもらった方法がある。」
「なにそれ……。」
「暁人にも迷惑かけちゃう方法だけど死ぬよりは生きてる方がましでしょ。」
「……………。」
皆、生きてることがハッピーエンド。
違うかな。
「…………………。」
………頭痛い。
どーしよ。
上と下、右と左が裏返ったような感覚。
いや、全部一緒になったような感覚。
「…………ごめん。暁人。倒れそ……………………」
ぼくはきっと意識を失ったんだと思う。
そのときに暁人や愁ちゃんもしかしたら緋咲さんの叫び声がきこえたきがする。
気のせいかも。




