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「暁人っ!」
暁人は後ろに振り向き飛び降りた。
「待って!待って待って!暁人!」
ぼくが下を見下ろすと暁人が走り去っていっていた。
頭の中がわけわかんなくて。
わけわかめ。
ぐちゃぐちゃ。
「諸行さん。」
「………………暁人、どうして?」
「諸行さん。」
「ねぇ愁ちゃん、暁人は……。」
「諸行さん。」
「暁人は?暁人はどうしたの?」
「しょーちゃん!落ち着いて!………ください。」
「ごめん。」
「暁人さんは………。暁人さんはですね。………。」
愁ちゃんはそこで話すのをやめる。
「嵐の風雲は、自殺しようとしてたのさ。」
「緋咲さん?」
後ろに振り向くと緋咲さんがいた。
どうしてここに………?
「嵐の風雲の処分、諸行雫を拘束してこいって言われた先輩。やる気がしねぇ。」
「暁人を処分?」
「そ。それにお前を拐いにきた。」
「…………?」
「暁人はお前らを巻き込んで自殺しようとしてたんだよ。」
「巻き込んで………自殺?」
「暁人はお前ら、否お前に殺される予定だったんだよ。……で、またもやそれ。愁だっけ。の出番ってわけだ。」
愁ちゃん?
殺される予定…………?
「私はですね……諸行さん。暁人さんにきいたんですが、私が生きれば生きるだけ諸行さんの寿命が縮まるんです。………私が五十年生きるとしたら………五十年縮まるんです。実際の寿命は八十年ぐらいですから…………。」
「ぼくはもうすぐで死ぬってこと?」
「…………………そうです。……………………ですけど!これが終わったらしょーちゃんに殺してもらいまう予定でした。…………暁人さん、私なんかに泣きながら頼むんです。痛々しくて見てられなくて。……ごめんなさい。」
「だから失敗作。成功例はほぼなし。契約者が死んじまうんだから。」
「……………暁人はぼくが死ぬのを望んでるの?」
「じゃないと、組織に強制連行だもんな。悪い場所じゃないんだが暁人にとっちゃどんなんだか…………。」
「ねえ、質問っていうか確かめていいですか?」
「?」
「暁人ってかなり偉い人ですよね?」
「長官レベルだな。」
「………そ。で、暁人はあの子なんですか?」
「あの子?」
「昔からいた髪が赤くて長くてぼくと一緒にいたやつ。」
「は!?知らなかったのか!?お前!」
あぁ繋がってきた。
暁人もAもあの子も暁人だったんだ。
本当になにも知らないんだな。ぼく。
よく考えたら登場する予定の人物なのにわざわざAにする意味がわかんないよな。
いや、こっちの事情だけど。
「ぼくは…………どうすればいいの?」
「おとなしく俺に囚われた末に拐われます。………っていうのが上には嬉しいシナリオなんだろうけどなんせやる気がしない。」
「ちょっと待ってください。ぼくはなんで拐われるんですか。」
ぼくは自分から抜けたようなものだけど、実際は捨てられたようなもので。
「お前がだいっ嫌いなその目。」
「また目ですか。」
「そう。目が覚醒するのを待ってた。………赤目と黒目のオッドアイになるのを。」
「……あれ?」
目の色違うの?いま。
へぇ、違うんだ。
「なんでも見える目が欲しいんだとよ。」
「………そうですか。」
ということは、暁人ことあの子は昔から仲がよかったれーくんが将来組織に来ないようにこの事件を起こした。
すくなくともいい待遇はうけないだろうし。
「俺はいますぐにでもお前を縛るなんなりして拘束して置いていって愁を殺害しまして……暁人を殺しにいかなければいけない。んだけど。」
「バッドエンドですね。」
「そう。望まぬバッドエンド必要ない。」
よかったね。ぼく。
緋咲さんが話わかる人で。緋咲さんとなんかバトルしたら即座に負けるよ。
もう説明係と化してるよ。緋咲さん。
「そうするとすればどうするんですか?手遅れなのは誰でもわかるでしょう?引き返せないんですよ。そうなったら私を殺…」
「愁ちゃん。」
「なんですか諸行さん。」
「私を殺せだのっていっちゃダメだよ。まだ、回復できる道はあると思うし。……ね?」
「……………はい。」
「あと、無視して諸行さんって呼ばなくてもいいよ。愁ちゃん。」
「……無理してません!」
「………そっか。」
うまくいったら雫とかしょーちゃんって呼ばれてたかもしれないのに。
諸行さんってよそよそしいじゃん。
「でも、緋咲さんは緋咲って呼んでもいいような人なような気がします。…………なんていうか、人間のなかのごみ溜めの中のごみみたいな……。」
「……なんだと。チビが。」
「敬意を払う必要性がないというか……呼び捨てしますね!緋咲!」
「ま……いいけど。」
いいんだ。
まぁ暁人も呼び捨てだったし。
ぼくはさんつけるけど。
社交辞令みたいなもの。
「閑話休題。暁人は?」
「知らん。自分で探せ。」
「あ………みえたりするのかな。」
なんでも見える目なら見えるかも。
暁人はどこにいるんですか?
暁人暁人暁人暁人暁人……。
「見えない………。」
「だろうな。これからがある予定ならこれから頑張れ。…自分で暁人が行きそうな場所わかんねーの?」
「暁人?」
行きそうな場所?
組織、ぼくの家、学校、公園、河原。
…………暁人が死んだ場所。
「ぼくが最後にいった任務の場所かも。」
「暁人が捕まった場所か?」
「そう。ぼくがいくならそこにいく。」
死のうとしてるなら、自分が死んだ場所にいく。
「じゃ、雫君は逃亡。」
「すみません。」
「あと、取引したいんだが。」
「なんですか?」
「話がわかるっていいな……暁人きこうともしなかったぜ?で、誰も死なない方法を教えるから終わったら俺についてきてくれない?」
「組織にいくってことですか。」
「イエス。」
「誰も死なないんですよね?」
「イエス。」
ぼくは一息つく。
「……いいですよ。行きます。」
「逃げんなよ?」
「まさか、緋咲さんから逃げられるともでも?」
「だよなぁ。」
「わ………私もいってもよろしいでしょうか!?ほらじゃないですか!……あれ?ほら、諸行さんから私離れられませんし!いいですよね!」
「好きにすれば?」
「……チッ。緋咲煩いです。もう緋咲野郎って呼びたいぐらいです。」
「じゃあ俺も愁野郎って呼ぶぞ。」
「黙れ。あれ、間違えました。えへ。黙ってください。……諸行さんにきいているのです。私もいっていいですか?諸行さん。」
危ないとおもうけど。
愁ちゃんはいてもいいかな。
離れられないし。
「いいよ。むしろいてほしい感じ。」
「嬉しいです。いやだといわれたら死んでいるところでした。…………緋咲らへんを道連れにして。」
「……こわ。」
「はっ。俺を簡単に道連れにできると思うなよ。」
「出来ますよ。小指でいけちゃいます。赤子の首を捻るようにいけちゃいます。」
愁ちゃんの足が少し震えているようなような気がするのは多分、ぼくだけだろう。
武者震いかもしれないし。
いや、気のせいだよ。
きのせいにしておこう。
「で、成功の方法ではないが、死にはしない方法は俺が知る限りひとつある。成功するかしないかは知らないが。」
「はい。」
「命を分ける。」
「はい?」




