表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
むだい。  作者: 伏見 ねきつ
4章
17/21

 屋上に上ると夜の空が広がっていた。

「誰もいないですね。」

「いるよ。正面に。多分。」

 暁人はこう答えると手を離した。

「………?」

「手を繋いでると危ないし。取りあえず離そうよ。」

「おーけい。」

 正面にいる?

 見えないし。なにも感じないよ。

 いないんじゃ…………

「………!」

 音もなく近くに風を感じた。

 いる………確かに。

「…………愁ちゃん。」

「なんですか?」

「わかる?」

「えぇ。なんとなく。」

「じゃあ背中は任したよ。」

「任せてください。」

 とりあえず、意識を集中させる。

 正面すぐそばになにかがいる。

 女なのか男なのか子供なのか大人なのかわからないけどいる。

 ………たしかにいる。

「はじめまして。Aさん。」

「………。」

 会話はなし……か。

「いっけぇぇええ!!雫!!」

 暁人の声がどこからか聞こえて、それが合図だったかのように空をきって殴られた。

 否、ガードした。

「……。」

 思ったよりやりにくいかもしれない。

 見えないって。

 何を殴っちゃうかわからないし。

 暁人……離れていて!

 正面にあるなにかを拳を握り殴る。

「………っ。」

 パシッとガードされてしまう。

 この感触は手……腕?

 違う。足だ。

 足でそのまま蹴り飛ばされ、後ろにバックステップで下がる。

「諸行さん!右!」

「わかってる。」

 うっすらだけど右にいるのはわかる。

 いるのはわかるけど、追い付けない。

 速い。

 でも、軽いかも。攻撃が。

 暁人と同じく、女だからなのかわかんないけど軽い。

 男と女はやっぱり違うんだね……。

 殴られるの承知で無理矢理いけないこともないかも。

「愁ちゃん。」

「わかりました。」

 じゃあいいか。

「右にまだいるよね。」

「えぇ。」

「…………。」

 ぼくは、全身の力をこめて殴った。

 足でのガードも一切気にしないで。

 一気に攻撃をしかける。

「………。」

「…………。」

 Aの頬を殴ろうとして止める。

「あれ?」

 止めたところでAに蹴り飛ばされる。

 愁もろとも後ろに吹き飛ばされる。

「…………っ。」

 痛い。けど。

 もうちょっとで見えそうなんだよ。

 パンツが。じゃなくて。

 Aが見えそう。

 Aが誰だかがわかりそう。

 意識を集中させる。

 意識を集中させすぎて頭がぐらぐらするけど。

 ぐちゃぐちゃと混ざっていくみたいな感覚。

 でも、見なきゃいけない気がする。

 一瞬、脳に痛みがはしる。

「あ………………。」

 透けて見えた幽霊みたいなぼくの目の前にたってる人。

 それは…………

「暁人………………?」

 ぼくの目の前にたっている少女、夕焼暁人は………

 泣いていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ