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むだい。  作者: 伏見 ねきつ
3章
13/21

「逆賊……………?」

 謀反を起こした………悪者?

「たぶん、見つかったら殺される。」

 何をしたんだ……?

 組織に反抗したってこと?

「だって…………暁人は、Aを倒したら帰れるって。」

 実績さえあればなんでもできるんじゃないの?

 ハッピーエンドじゃないの?

「A?」

「Aとは、暁人さんが言っていた敵です。それを倒せば帰れるって嘘を言っていました。」

「…………あぁ、なるほど。愁ありがと。なんとなくわかってきた。」

「流石に、暁人さんがいうだけの理解力がありますね。どこまでわかってるんだか知りませんが。」

「多分だぜ?多分。」

「これ以上は言わないでくださいね。約束事ですから。」

「約束ねぇ………言っちゃった方が話がつくと思うけどな……俺は。」

「私もそう思いますが、約束は約束。途中までは守ります。」

 わけがわかんない。

 また、のけ者。

 なにも知らないのはぼくだけ。

 …………………………。

 ぼくだけ。

「暁人がしたいことはなんとなくわかったが、こっちの人間としてはかなりっつーか困る感じだな。俺はどうでもよかったりするんだが。」

「でしょうね。」

「でも、手遅れ………か。」

「そうなんですよね。」

「…………………………………………………………………………………手遅れ?」

 なにが?

 暁人がどうかしたの?

「あぁ、雫は知らなくていいっていうか、何て言うか手遅れ。」

「言いたいんですけど、いったら約束破ることになっちゃいますし………。」

「暁人にきくのが一番早いんだろうけどな………。」

「説明してほしい。愁ちゃん、暁人との約束なんて放棄していいから。」

「ですけど……。」

「お願いします。教えてください。」

「………。」

「男の癖にカッコ悪いなぁ。雫。」

「緋咲さんでもいいんですよ?教えていただければ。」

「教えねーよ。ばーか。」

「…………。」

 なにがなんだかわかんないし。

 暁人はぼくを利用してるだけなの?

 全部、ぼくの性?

「まだ少しどうなるかもしれねーし。そのへんは本人にきけばいいのかぁ?」

「どうにもならないと思いますけどね。私は。」

「雫がかなり無理をすれば、万事解決なんだけど。………れーい君…………!」

 緋咲さんはぼくの首筋を狙って、手刀でチョップを打ってきた。

「なにするんですか。緋咲さん。」

 腕で止める。

 ぼく、裏拳状態。

「なんかムカついたから。」

「理由が適当すぎます。」

 ムカついたって理由で首筋を狙われなきゃいけないんだよ。

 一歩間違えたら意識落ちるぞ。

「……………緋咲といいましたかね?貴方。」

「柳緋咲だけど?」

「理由はどうあれ、しょ……!諸行さんに攻撃するのは許しませんよ………?諸行さんに座れって言われてますから座ってますけど、今すぐにでも立って、なん十発か殴りたい気分です。」

 なんかよくわかんないけど愁ちゃん、震えてる。

 怒りで震えてるのかな……。

 もしくは武者震い。

「おぉ、こわい。でも無理だと思うぜ?俺を殴るのは。」

「…………殴る前に殴り飛ばされちゃいますよ。愁ちゃんが。もし殴ったとしたら、殺されるよ。」

 ナイフとかで。

 ばっさりと。

「そ。殴った人はお礼にな。…………で、雫。裏拳といえど拳は拳だよ。」

 あれ?なんかヤバイ?

 殴ったことになってる?

「正当防衛だと思いますよ?ぼくは。」

「拳は拳。」

「いや……あの………あ!ほら、ここで騒いだら緋咲さんぼくに会ってるのバレちゃいますよ!?」

「いいじゃん。大丈夫大丈夫。すぐ終わる。」

「最期ってことですよね?それ。」

「気にするなって。出会えてよかったぜ?」

 いつの間に出したんであろうナイフがひゅんひゅん回ってるぜ。

 この人も銃刀法知らなさそう。

 仲間だ仲間。

 わーい。

 いやぁ、ナイフってどうやったらこんなに回るんだろう。

 ペン回しみたいな原理でいけるのかな?ぼく、ペン回し出来ないや。

「早まるな!っ早まらないでください!話せばわかります!」

「問答無用!」

「ぎゃあぁああ!」

 ナイフで斬られたら洒落にならないから。

 暁人に怒られちゃうよ?

 てゆうか、愁ちゃんがなんで止めに入らないの!?

 おかしいなぁ。

「諸行さん。私、茶番にしか見えないんで助けに入っていないのですが、助けに入った方がよろしいのでしょうか?」

「い……いや、助けてくれたら嬉しいけど、茶番でもまじでやっちゃう人だからさ。でも、ナイフ危険だから入らないでほしいかも!」

「そうですか。では、見てます。死にそうでしたら助けますんで。」

「了解。」

「ていや!」

 ナイフが降ってきた、否、ナイフで切りつけてきた!

 風があたってる!こわい!

「ひやぁ!」

 そんなこというの!?

 しかもていや!のわりにすごいこわい攻撃だけど!?

「はぁー!よいしょ!」

 とても和風ですね!

 ナイフじゃなくて刀がお勧めです!

「ナイフで斬られたら洒落にならないですって!」

「大丈夫大丈夫。」

「なにが!?」

 どのように大丈夫なんでしょうか?

「みねうちにするからさ。」

「いや、意識は落ちますって!」

 語り部がいなくなるよ!?

 いいの!?

「落ちても大丈夫大丈夫。」

「何を根拠にいってるんですか!?」

「愛、つまりハートさ!」

「なんですかそれ!」

 愛とかハートとか見たことないし!

 根拠になってないよ?

「あの、お二人とも少しよろしいでしょうか?」

「「………なに!?」」

 声がハモった。……嬉しくない。

 愁ちゃんは上を指差す。

 上………?

「暁人さん、上にいますけど。」

「!?」

 愁ちゃんが指差したさきには確かに暁人がいた。

 ここでなんで暁人がいるのかといえば、ぼくの母、父が帰ってくる時間で暁人だけががその場にいるのは不自然だと言うこと。

 そして、突然いなくなったぼくらを探しに来たというのもあるだろう。

 それは暁人の姿を見るとなんとなくわかる。

 かなり疲れているように見えるし、そしてかなり怒って……………る。

「…………こんなところにいた。雫。」

「よーう!暁人……いや、嵐の風雲と呼ぶべきかな?………っていうか会っちまったら上に言わないわけにいかねーじゃん。」

「屑が………。緋咲と愁は、なにも話してないでしょうね?」

「逆賊としかいってねーよ。」

「そ………。雫、行こう。」

「え……?」

 緋咲さんを放置していいの?

 暁人、終われてるんでしょ?

「それは駄目。俺が許すわけにはいかねー。」

 緋咲さんはそういってぼくを抱いた。

 抱いた?抱かれても困るんだけど。おとこどうしだぜ?

 というか、力が強すぎて抜け出せない。

 これが抱きつくとかじゃなくてはっきりとした攻撃行為だったら殴って逃げてたんだろうけど。

「…………。」

 愁ちゃんもぼくが攻撃されてる訳じゃないから迂闊に手を出せないって感じかな。

「なぁ……嵐の風雲。お前はこれが大事なんだろ?」

「……それを知ってるなら返せよ。」

 大事?

 あってからたった二日しかたってないのに……?

 道具としての大切さってこと?

 ぼく本体はいらないのかな?

「そりゃいけねーよ。お前さんの作戦が成功したら俺は困らないが上が困る。つまり、これからの俺が困る。」

「知らないし。緋咲がその辺で死のうが死のうが死のうが私には関係ない。」

「……じゃあ取引しようぜ?」

「いやだ。」

「いや、話はきけよ。」

「緋咲が私と会話できる立場だと思ってんの?」

「あぁ出来るぜ?逆賊野郎とは会話なんていくらでも出来る。」

「チッ。」

「取引は………」

「いやだっつってんだろうが!死ね!緋咲ぃ!」

 といって暁人は飛翔した。

 階段の一番上から。

 パンツ見えてるな。この位置からだと。

 昨日は暗くて見えなかったけど。

 暁人は緋咲さんを狙って跳び蹴りをするのかと思ったらぼくを目掛けて落ちてきた。

「………えっちょっぼく!?」

 緋咲さんに捕まれてるからガード出来ないし。

「ごめん!許して!」

 ガッと頭蹴られた。

 謝ったわりには手加減がなかったような。

 脳味噌が揺さぶられた……。

「………っ!」

 緋咲さんの手から逃れたからいいけど、このままじゃまた水に落ちるじゃん!

 まてまてまて!

 このままうまく手をつけば向こう岸につくかな……。

 いや、無理だな。

 そんな力ないし。

「暁人ちゃんを掴め!」

 あ。その手があったか。

 もっとも暁人ちゃんの力が必要だけど。

 暁人が伸ばしてきた手を掴む。

 ……これでぼくが一歩踏めば。

「……。」

 あれ、力が入らない。

「もーなにやってるんですか。」

 愁ちゃんはこっちにむかって跳んできた。

 ダンッとぼくの前で踏み込みぼくを掴み、持ち上げた。

 持ち上げた!?

「暁人さん、とりあえず逃げればよろしいのですよね?」

「……うん。走るよ!」

 暁人、ぼくを抱えた愁ちゃんは階段を走りながら上ってぼくの家の方向へ走り出す。

「緋咲!別に上の人たちにいっていいから!じゃあねー!あはははっ!」

 なんてこと言うんだ!

 暁人ちゃん、追い詰められるよ!?

「どうしますか?」

「とりあえず、雫の家に行こう………で、雫自転車の鍵持ってる?」

「……たぶんポケットに。」

「じゃあおーけー!作戦変更!作戦を実施するのは今日にする!今すぐいくよ!」

「ユーロー!」

 もう夜遅いけど行くしかないよね。

 暁人のために。


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