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精霊の石本《ローザン・フェルス・レイ》~精霊の子と研究者~  作者: 星羅
旅は道連れ世は情け…ほんとに?
5/12

森の中でpat3

それから…

何となく重苦しい雰囲気になって、早五分。

スカラは、ふと、少年の顔を見た。これまではドタバタしてて―――具体的に言うと、慌てて町から逃げたり、レシィアにあきれたり、謎の団子とにらめっこしたり、レシィアにあきれたり、レシィアにあきれたり、レシィアに…(以下略)―――ちゃんと少年の顔を見たのは初めてだったのだが、

・・・こいつ本当に十五か?

そのくらい、少年は童顔で、瞳も大きく、外見で見れば、十二、三でも通りそうな…

それに、ちっちゃいし。

「背低くて悪かったね。俺本当に十五だよ。」

「!?…声、でてたか?」

スカラは、無意識に、口元を押さえてしまう。

「でてないけど…やっぱりそう思ってたんだ。俺のこと見たやつ大体そういうんだよね…好きで背低い訳じゃないってのに」

相当、気を悪くしたらしい。昔何かあったのだろうか

「あ…悪い。」

それからまた、重苦しい沈黙。

「あっ、そうだ、俺たちまだ自己紹介してないよね!」

沈黙に耐えきれなくなったスカラが口を開く。

「また忘れてたのか。」

スカラは「お前だって忘れてただろ」と言いたげな目でレシィアを見るが、言っても無駄だと悟ったのか、口を開かなかった。

が、レシィアには伝わったらしく、

「私は、名乗らなくても、意思疎通ができると判断したから、あえて名乗らなかったまでのこと。お前と一緒にするな。」

「あぁ、そう。もういいや。じゃ、自己紹介するから。

俺はスカラ、スカラ・レフィー。料理と、あと…頭脳戦得意。武術は、護身くらいならできる…かな、で、こっちはレシィア・イスプロ―」

「お、お前、初対面の相手に、なに精霊名まで明かしているのだ」

精霊の名を明かしたところで、普通は別段、問題はないのだが、この二人の場合はちょっと特殊なのだ。だが、

「明かすも何も、俺もお前も、すでに『力』見せちゃってるだろ。誰のせいだと思ってるんだ、まったく…。続けるよ?レシィアは、えっと、自由人、喧嘩上等、超野生児、武術に関しては天才的…と、裁縫とか、料理とか、女の子らしいものは、全くだね。特に裁縫は壊滅的。」

「な、おおお、お前、何を言う、私だって料理くらい、できる!大体、私のどこが、喧嘩上等だ!野生児だ!」

レシィアが叫ぶ。だいぶ真っ赤だ。裁縫くらい…といわないところに潔さは感じるが……そんなことより、すでにさやから抜いて、構えている剣は一体・・・

「何処がも何も、今のレシィア…さん?体全体で喧嘩上等を表現してると思うんだけど」

スカラもうんうん、とうなずく。

「むぅ…チッ。スカラ、続きはなせ。」

「ちょ!?都合悪くなったからって、急に振るなよ。ったく…えと、俺とレシィアは、精霊の子(フェル・リリー)の研究所、セト・エストーから、精霊の子(フェル・リリー)の調査を頼まれてて…」

「セト・エストー…」

確かめるように、エンジュがつぶやく、

そして、今度はスカラもレシィアも見逃さなかった。

つぶやいたときのエンジュの表情―――

怒り、憎しみ、悲しみ、そして―

絶望

それらすべての感情が入り交じったような表情(かお)

そして、スカラとレシィアが見ていることに気づいたのか、

暗い、険のある表情はぬぐったように消え、一瞬で無邪気な笑みに変わる。

「へぇ、すごいね、二人とも、研究所に頼まれてってことは、二人は学者さん?」

本当に、見る人によれば、まだ闇を知らない、子供のようにさえ見える、無邪気な笑み。

だが、二人はその笑顔に見覚えがあった。

そう、その表情(かお)

かつての・・・と同じ―

「お前…」

「何?」

笑みを崩さないまま首をかしげる。

「…いや、あぁ、学者って言うか、なんて言うんだろうな。うーん?」

「パシリだ。」

「うん、レシィアはちょっと黙ろうか。そういう言い方誤解を招くからやめようね。」

「?」

「いや、いいんだ、うん。俺たち、養子なんだよ。学者は義父と義母の方。けっこう研究手伝ったりしてて、いま、研究所離れられないから、二人代わりに調査してきて、みたいな感じで送り出された。」

「やっぱパシリじゃん。」

「いや、違うって。」

「あ、でもさ、精霊の子(フェル・リリー)って、八年前に、絶滅しちゃったじゃん。調査って何するの?あ、あと、いまは悪魔の使い(イヴァ・ドーラ)ってなまえの方が有名だよ。だれも精霊の子(フェル・リリー)なんて呼びかたしないし」


今から十二年前―

精霊の石本ローザン・フェルス・レイと呼ばれる、

精霊の名を刻んだ石が突然光り出した。

そう遙か昔に精霊が名を刻んだ石だ。

その光はあちこちへ飛んでいき、その光をあびたものは強大な力を手にし、

精霊の力が宿ったと言われた。

そして尊敬と畏怖の念を込めて、「精霊の子(フェル・リリー)」と呼ばれるようになった。

そしてその四年後…今から、八年前。

突如不可解な、そして悲惨な事件が起こった。

『変異した力』が突如、次々と暴走を始めたのだ。

暴走した精霊の子(フェル・リリー)はもはや、制御のきく状態ではなかった。

理性を失い、ただ破壊する。

町が焼かれ、または、村ごと水の底に。

人間は、恐怖に支配されたとき、時に、残酷な決定を下す。

―精霊の子は、暴走を始める前にすべて殺してしまえ!―

まだ、暴走していない精霊の子は多数いた。

中にはまだ、小さな子供も…

そして、国の兵隊が、追ってきた。

ずっと仲良く暮らしていたはずの、村の、町の人たちが、

あからさまな殺意を向けてくるようになった。

中には、自ら刃とる者まで…

そうして、進んで行く狂気(とき)の中。

精霊の子(フェル・リリー)という呼び方は悪魔の使い(イヴァ・ドーラ)に変わっていき、そして…

精霊の子(フェル・リリー)は滅んでしまった


「いや、確かに、今は、精霊の子(フェル・リリー)って言う言い方はあんまりしないけど、元々、セト・エストーっていうのが、昔の事件の反省をもとに作られた組織だから、悪魔の使い(イヴァ・ドーラ)って言い方はしないんだ。で、二つ目は…」

「確かに、精霊の子(フェル・リリー)は絶滅したと言われているが、確かな確認は取れていないんだ。だから、もしかしたら生き残っているかもしれないから捜して、いたら保護してこい。なんて、むちゃくちゃな頼みが…」

レシィアは途中で言葉を止め、難しい顔で考え込む。

そして、

「未公表……名前…詳しい……有名?」

なにやらブツブツ呟きだした。

精霊の子(フェル・リリー)は、七年前に確認されて以来、確認されず、絶滅したのではないかと言われているが、普通には、公表してないはず。そして、悪魔の使い(イヴァ・ドーラ)って名前の方が、有名だと、いったが、そもそも、精霊の子(フェル・リリー)に関しては、もうほとんど、話題に上らなくなってるはず。ただの薬師がなぜ、そんなに詳しいのだ?だそうだよ。」

「俺も、ちょっと興味があって…ほら、薬師とかやりながら、旅してるとさ、いろんな情報耳に入ってくるんだ。…てか、通訳?」

エンジュの怪訝な顔に、スカラは苦笑する。

「まぁ、レシィアはちょっと、考えすぎると、うまく言葉がまとまらなくなっちゃうところがあって…」

「要するに頭が悪い?」

「超ストレートだね。いや、そういう訳じゃないんだけど、…ちょっと…ね。」

「よし!」

レシィアが突然大声を上げた。

それはもう、いいこと思いついたっ!とでも言わんばかりの笑顔で。

そしてエンジュを引き寄せて言った。

「こいつにも研究手伝わせるか!」

「「はぁぁぁぁぁぁ!?」」


エンジュが薬師で旅してる部分ですが、あの子は特別です。

この国の薬師はこっちの世界の薬剤師さんみたいな感じなので、普通自分のお店を持ってます。

エンジュは各国まわって、薬草とったり、薬売ったりしてます。

薬の売り上げについては後ほど。

三人それぞれの過去についても、もうしばらく、物語が進んだら書こうと思います。


レシィア自由人ですね。

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