森の中で
「で、あれ誰なの?」
スカラの案内で町を抜け、少年の案内で森に入って、かれこれ三十分近くたつ。
最初は道が悪く、話しをする余裕など無かったが、これだけ歩くといい加減なれてくる。
…レシィアは最初から余裕そうだったが。
「団子はみたらしが好きだそうだ」
「いや、誰もそんなこと聞いてないし。」
「…人混みが嫌いだそうだ。」
「質問もう一回言おうか?」
「……愛馬は黒だそ―――」
「もういいよ、知らないんだね、そんな、どうでもいいプロフィールいつ聞いたの?とかそこまで聞いて名前聞いてないのかよとか、突っ込みどころはいっぱいあるんだけど、それも全部いい、いちいちかまってたら日が暮れる。むしろ明ける」
「ん、賢明な判断だな。」
「はぁぁ」
「二人で何はなしてるの?ついたよ?」
道の悪い森のなかを歩くこと三十分、ようやく目的地に着いたらしい。
少年か指さしたのは、森の中にぽっかりと穴があいたような小さな広場だった。
「…?」
二人は首をかしげた。
というのも、―――二人はどこに向かっているのか聞いていなかった…要するに初対面の少年の後を何も考えずついてきた訳なのだが―――二人は「今日は人目につかないところで野宿するしかないな」と考えており、そのことは少年には入っていなかったはずなのだが、少年に連れてこられたここは、まるで二人の考えが読めていたかのようなところで…
「とりあえずここ何処?」
「野宿」
質問と答えがいまいちかみ合ってないような気がするが、少年は何か作業をしながらかまわず続ける。
「今日はどうせあの町には戻れないし、ほかの町に行くには今からじゃ遅すぎる。近い町は一つあるけど、そこはだめなんでしょ?俺、今朝の見てたから知ってるんだ。で、こうなったのも、俺に責任がないとは言い切れないから、場所くらいは…と思って。」
スカラはそれをきいて、同じく責任があるはずの女性を横目で見た。
ところがレシィアは素知らぬ顔で、自分も髪をいじっている。
「だ、そうですがレシィアさん、何か思うところはありませんか?」
「特にないな、第一、私がお前に迷惑をかけるのはいつものことだろう。今更気にしてどうする」
「いや、自覚あるなら直す気無い?」
「無いな」
即答が腹立たしい。
「人生ってそんなもんだよ。」
作業が終わったらしく、少年が言ってきた。
「理不尽だよな」
「うん…。あ、それでね、火ついたから、少し早いけど晩ご飯にしない?」
突飛な提案にスカラは慌てて少年がさっきまでいた方を向いた。
広場の中央では薪が積まれ、火が赤々と燃えていて、
「あ、ごめんっ、俺何もしてない!」
「いいよ、俺だって火おこしただけだし」
「全く、寝る場所を用意してもらっておきながら、何も手伝わないとは、情けない」
「お前だって何もしてないだろ!!」
「違う、私は何もしてなかったのではない、何もする気がなかったのだ」
「「はぁぁぁぁ」」
二人はそろってため息をついた。
「む、お、お前たち私が何もしないと思ってないか?」
レシィアが少し慌てたように言う。
「思ってるって言うか…」
「現に何もしてないだろお前」
「な、私だって働くときは働くぞ。」
レシィアは心外だというように言った
そして、おもむろに手近な木に登り始めた。
これがまた速い。
あっという間に頂上に着いてしまい、鳥たちが慌てて飛びたった。
そしてレシィアは、……レシィアは―――
木の頂上からダイブした。
そして片手で、慌てふためいている鳥を二、三匹つかむと、
片手で木の枝をつかんで器用に降りてきた。
「食料だ。」
「いや、生きてる鳥食料だとか言って差し出されても…」
「…超野性的だね、可哀想だから逃がしてあげなよ、」
「なんだ二人とも、私がせっかく食料をとってきてやったというのに」
「はいはい、分かった分かった、レシィアは働き者です。分かったからもう休んでていいよ?て、言うか休んでて頼むから!」
「声のトーンがだんだんマジになってきてるのが怖い…」
「昔レシィアが食料だっていってとってきたもの知りたい?」
「絶対に知りたくない。ホント怖い」
そんなことを言いながら、少年は火の中から団子のようなものをとりだした。
「あ、もう料理あったんだ」
「そう、だからあの鳥は二重にいらなかった。」
「…ホントにね」
数分後―――
三人は火を囲んで、夕食をとっていた。(もちろん鳥は逃がした)
少年が差し出したのは、薬草か何かの入った団子のようなもので、なかなかおいしかった。
その後しばらく、三人は黙々と薬草団子(なんなのか分からないため、スカラが勝手に命名)を食べていたのだが、少年がおもむろに口を開いた
「ねぇ自己紹介しない?」
これ、一回消えました、全部。サブタイトル入力し忘れて…(泣)
全部消えたんですよ、ホント泣きかけた…。
まぁ、そんなんで、更新です。
PS
レシィアは本当はいい子です。