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修行3

きっと七話目だ。

「なんとなく落ち着きますね。ここ…」

しばらく滝の音お聞きながら黄昏ていると、仁は落ち着いた口調でしゃべり始める。

「ここは俺にとっては思い出の地でね。前に来たのは呪いを受け継ぐよりも前で機会あればまた来たかったんだ。初めて来たあの時も誰かと一緒だったけな。」

そう語る仁の顔は落ち着いているがどこか悲しそうだった。誰かというのはいつかの夢で見たあの人だろうか。

「一緒に来たのは、金髪で瞳が青いきれいな女性ですか?」

しまった、つい口が滑って聞いてしまった。僕はその女性のことについて仁から一言も聞いていないのである。当然仁は驚いていたが、すぐにいつもの不愛想な表情に戻った。

「そうか…見たんだね。俺の記憶…まぁどうせここで彼女のことをはぐらかしても呪いの力によって知ることになるだろうから教えてあげるよ。」

そういう仁の顔はさっきよりも悲しく、辛そうだったのだ。

「そんな…無理して教えてもらわなくても…」

「いや、いいんだ。それに君が呪われたことにも少なからず関わってくるから知る権利は君にはあるんだよ。」

「じゃあ、お願いします…」

僕は少し緊張しながら聞き始める。

「あぁ、その前にどこら辺の記憶を見たのか聞いておかないとね。それで夢で見たのはどの部分の記憶なんだい?」

あの夢の中で見た彼女の死体のことを僕は覚えている限り鮮明に話した。

「寄りにもよってそこなんだね。…彼女を殺したのは僕なんだよ。」

その言葉に僕は何といえばよいかわからなかった。僕ごときが今喋っている彼にかける言葉なんてないのだから。仁は少し間をおいてまた語り始める。

「彼女の名前はユイリ・アントール。外国の子でね、出会ったのは俺があの組織に所属して間もないころだった。あの日のことは忘れもしない…」

ー十年前ー

俺は初めての任務でヘマをしてしまい、大けがを負い右腕を失った。出血によりだんだん意識が遠のいていき、このまま死ぬのかと思っていたところに彼女は現れた。俺は彼女の家に運ばれ、介抱を受けた。彼女は優しく、その時の俺には女神にも等しく感じた。彼女の介抱もあってか、だんだん体の傷は回復して右腕以外は元に戻っていたがだが俺はこのことを組織に報告することが怖く、少しの間彼女の家に居座らせてもらうことにし彼女も快く承諾してくれた。その間に意気投合し、俺と彼女は付き合うことになった。彼女の家にいるときは人生で一番幸せといっても過言ではなかった。それまでの俺は魔法使いの家に生まれ、生まれてからずっと魔法ことしかしてこず、家を出た後も自由になるわけでもなくすぐに組織に入ったので言われれば当たり前のことだ。だがそんな幸せなひとときも長くは続かない。いずれ組織に見つけ出され、連れ戻されるだろう。その時に秘密保持のため彼女の家は焼き払われ、彼女は殺されてしまう。俺を助けてくれた彼女が俺のせいで殺されるなんて恩を仇で返すのもいいところだ。なので俺は彼女とはここで関係を断ち、組織に戻ろうと考えていたが、ひとつだけ障害が生じた。右腕がないのだ。片腕がなければきっと組織に戻ったってぞんざいに扱われるだけだろう。それならいっそどこか遠いところに行って、ユイリと二人で暮らそうかなど思い悩んでいると、ユイリからある提案をされた。 

「右腕…元に戻したいんでしょ?ほんとは…教えたく…ないけどあなたにだけ教えるよ。」

そこで教えてもらったのが黒の呪いの存在だった。ユイリの一家は代々黒の呪いを百年ごとに次の継承者に受け継ぎ守ってきたのであった。不幸なことにユイリの父親は生まれつき体が弱く、先代の継承者が黒の呪いを受け継いでから百年が経つより前に死んでしまったらしい。なので次の継承先は娘であるユイリに白羽の矢が立った。ユイリはその受け継ぎの際に呪いが暴走し、その場に立ち会った親族丸ごと皆殺しにしてしまい、それからというものこの家で一人で暮らしているのだという。

「俺にそれを受け継がせてほしい。」

俺は呪いを受け継ぐことを望んだ。だがそこで問題なのが黒の呪いは血のつながっているものにしか受け継がせることはできないということだ。しかしそれは案外すぐに解決した。どうやって解決したかというと、血の契約というものがあり一生を共にするという契約をすることで同じ血を体に流すことが可能だった。俺はすぐにその契約をし、呪いを受け継いだ。その際に呪いが暴走することはなかったが、信じられないほどの痛みを経験した。その後無事右腕は元に戻り、組織にユイリとともに戻った。どんな処分も覚悟していたが、組織からの処分はなかった。不思議に思ったが、組織はいつでも強力な戦力を欲していて、黒の呪いほど強力なら大歓迎なのだと。それからというもの俺はユイリとともに順調に任務をこなしていった。それと同時に黒の呪いを使用する際の痛み対策として痛みを遮断する魔法を身に着けた。組織にいる間にアマツや当時の仲間たちとも出会った。順調に行っていたが呪いを受け継いでから、4年後事件が起きた。



これは過去編ですな。

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