修行2
一日に二話投稿に成功!六話目だぁぁ!
ー現在ー
「げほっげほっ。はぁはぁ、辛い…」
「もうへばってちゃ呪いを使いこなすなんて夢のまた夢だぞ。それにあいつらに見つかったら、待ってはくれないんだよ。ということでもう一度だ。」
僕は無事、儀式により魔法に目覚めることができたがそれを思うがままに使いこなせるようになるというわけではなかった。あの儀式は、普通の人間では使用することのない魔力を全身に巡らせるための管、通称‘‘魔力管‘‘を活性化されるための儀式らしい。仁が言うにはどんな人間でも心臓で魔力を作り出している。そして魔力を心臓にため込みすぎると心臓がそれに耐えられず、爆発してしまう。そのため魔力管を通して魔力を全身に流したり、体の外に放出している。だが普通の人間はあまりにもその生成量が少なく魔力管は使用されることはない。そして魔力を使えるようにするにはその魔法管を使えるようにするのが第一条件であり、魔法使いへの第一歩である。そのために結晶を使い、外から魔力を体の中に送り込んで強引に魔法管を活性化させるというのがこの儀式…らしい。一見聞くと簡単そうに思えるが、儀式中の魔法管が無理やり活性化されるときに伴う痛みに耐えきれず結晶を落としてしまうと、活性化は中途半端に終わり全身をめぐることなく魔力がそこにとどまることになり、体が耐え切れず内側から爆発してしまうという恐ろしいリスクが付属している。それがどれほど痛いのか、考えるだけでも恐ろしい。そして今は魔力を体から外に出す練習をしている。体中を巡らせるといってもその体にも魔力を蓄えておける限度量はあるので、魔法使いは定期的に体から魔力を放出しているらしいのだ。そんな基本のキの字を練習中なのだが黒の呪いを持った人間特有の難点がある。それは…
「また…!ぎゃあぁぁぁぁぁ!!!!!」
それは黒の呪いと魔力の性質が似ていることなのである。どうやら魔力を体外に放出する感覚は、黒の呪いを使用する際の感覚に近く、魔法初心者でありながら黒の呪い初心者である僕にはその感覚の違いを判別することは極めて難しいことなのだ。なのでよく暴発し、地獄の苦しみを味わうことになる。
「だから言ってるだろう。指先からしずくが一滴落ちる感覚を意識しろと。そうすれば暴発しても指の皮が擦り剝けるくらいの痛みで済む。」
「それでもまぁまぁ痛いだろ…」
だが仁も肝心な黒の呪いと魔力の放出の感覚の違いについてはあまりよくわかっていないらしい。なんでも、仁が黒の呪いを受け取ったのは魔法が十分使えるようになってからで、最初からなんとなく使い分けられていたらしい。そのせいで僕は自らの根性のみでその感覚をつかまないといけなくなってしまった。
「よしっ。少しだけ休憩しようか。」
やっと休憩だ。そう思うと体中の力が抜けていった。きっと長時間の呪いと魔法の行使で体は疲弊しきっていたのだろう。その場に倒れ込み休憩していると仁が話しかけてきた。
「辛いとは思うけど、魔法は黒の呪いを使うためには必須なんだよ。魔法を使って痛みを感じる神経を遮断し呪いを使用する際の激痛を和らげないといけないからね。それに魔法は使えたほうが便利なことは多い。使えて損はないよ。」
「分かりました…」
返事をし、眠気に身を任せ僕は眠りについた。
「はっ!」
僕が目を覚ますとそこには一人の女が立っていた。髪は長く金髪で、瞳が青いきれいな人だった。女はこちらに向かって何か言っているがうまく聞き取れない。
「…ん!…じん!仁!」
はっきりと仁と言っている。だがどこを見渡しても仁の姿は見当たらないので仁を探し、辺りを見回していると突然周りは火の海に包まれていた。
「うわぁああ!」
いきなりのことで何がおこったかわからなかったが、僕の足元には誰かの死体が転がっていた。腕はもげ、体中に傷を負っていた。よく見てみるとそれはさっき見た女だった。驚きあっけをとられていると死体の首が回転し始め、こちらを向いた。
「仁!」
「うわあぁぁぁぁ!」
叫び、気づくと昨日修行していた場所に戻っていた。
「夢…だったのか。」
だが確かに仁と言っていた。そのことが気になりつつも、まだ朝も早かったので僕はまた眠りについた。
ー二日後ー
僕は同じ動作を繰り返していた。何度も何度もやっているうちに少しずつ感覚が掴めていき成功率が上がっていることを感じていた。仁はもう十分だと思ったらしく次の修行に移ることを提案してきた。その修行の内容は魔法の使用である。今までは単に魔力を体外に出すだけだったが今回は魔力の変換し炎や氷に変えるといういかにも魔法使いらしいことをする。
「それの前に場所を移動しようか。」
「なぜですか?」
「黒の呪いや魔法を使えば、いずれは探知される。三日間もここにいたことでここに俺たちがいることはばれ始めている。だから移動するんだ。」
そういうと仁は前回使った魔法陣の方向へ移動し始めた。到着するやいなや、前回と同じ方法で魔法陣を起動させ別の場所にワープした。ワープした先には大きな滝が流れていた。
ちなみに痛みを遮断する魔法は中々に高等魔術です。