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始まり2

2話だお。

僕が目を覚ましたころにはもうカナリの姿はどこにもなかった。遅刻してしまったバイトは体調不良という本当か嘘か定かではない理由で休ませてもらった。この力がどんなものなのかやあのビッガという男がいつ襲ってくるのかという恐怖にかられながらその日は眠りについた。

「カラカラ…」

耳の中に何かがぶつかっている音が入り込んできた。その音がだんだん大きくなっていく。その異様さに堪え切れられず僕は目を開ける。目の前に映り込んできたのは骸骨だった。

「うわあぁぁぁ!!」

気づくとそこにはいつもの見慣れた景色が広がっていた。築五十年のボロアパートの壁。

「夢か…」

この悪夢はカナリに渡されたこの力に関係しているのか、はたまた度重なるストレスによるものなのかはわからない。そうこう考えているうちにバイトに行く時間が来てしまう。そう思いながら起き上がりシャワーを浴びた。昨日カナリからあけられた腹の穴はきれいさっぱりつなぎ目もなしにふさがっていた。やはりこの力は本物なのだろう。よく考えると日常生活を送る分にはこの上なく都合がいいものなのではないのか。そのことから僕は昨日までは恨んでいたカナリに対してほんの少し感謝を覚えてしまっていた。シャワーを終わらせ、服を着て昼ご飯を作り、家を出た。スキップをしながら舞い上がるような気分で道を歩いていた。なにしろそんな大富豪が欲しがったとしても手に入れられない不老不死という力を手にしてしまったのだ。

「ドンっ」

肩に何かがぶつかった。見上げてみるとぶつかったのは自分よりも一回りも二回りも大きい大柄の男だ。よく顔を見てみると見覚えのある顔だった。そうそれは昨日いきなり僕の前に現れ、この力が僕にわたる原因を作ったといっても過言ではないビッガであった。

「あれぇ?君はあの時は子じゃないかぁ!」

直感的に感じた。逃げなければと。一言も交わさずに回れ右をし一心不乱に走った。油断していた、不老不死になり気分が最骨頂に上がってビッガという脅威のことをすっかり忘れていた。

「はぁ…はぁ…」

かなり遠くまで来たかと思ったがビッガにとってはほんの少しの距離だったのだろう。まったく息切れもせずに追いつかれてしまった。

「逃げなくてもいいじゃないかぁ!!」

そういうとビッガのこぶしが顔面に飛んできた。強い衝撃が顔面から全身に伝わってきたと同時に壁に強くたたきつけられた。

「ごふっ!」

こんなに強く壁にたたきつけられ強い痛みが体中に響いたのだから体のどこかの骨は折れただろうと確信したが驚異の再生能力により気づいたころには痛みのみでどこかの骨が折れた様子はなくなんなく立ち上がれた。

「なんで僕を狙うんだ!」

「そりゃぁあんなところを見られたら殺すしかないじゃないか。」

確かにそうだ。あんなところを目撃され警察にでも言われればすればめんどくさいことになるのは言うまでもなかった。

「まっ。そういうことだから死んでよね!」

またビッガのこぶしが僕の体に振り下ろされた。何発も撃ち込まれた。カナリから渡された力がなければ腕や足は曲がるはずのない方向に曲がり、内臓は破裂していたところだろう。だが体に異常がなく無事でも意識を保つことや精神がすり減ることとは別である。十何発か撃ち込まれたところでビッガは僕の体の異常性に気付いたのか手を止め不思議そうな表情を浮かべ言った。

「君の体ちょっとかたすぎないかなぁ?」

確かにそうだ。僕の体は異常だ。だが僕の精神はそんな疑問に答えられるほど正常ではなかった。なぜあそこに居合わせただけでこんな目に合わなければいけないのか。このまま一生こんな苦痛が続くのか。などそんなことが頭をめぐっていた。

「どうして僕がこんな目に…どうして僕がこんな目に…」

「ボソボソ言ってちゃぁなんていってんのか聞こえないよ!」

そう言ってまたビッガが僕にこぶしを振り下ろそうとした瞬間、黒い何かがそのこぶしを受け止めていた。それは僕の体から出ていた何かであり昨日カナリから出ていた触手の様な何かと同じものであった。そして黒い何かが出たと同時に、信じられないほどの激痛が僕を襲った。

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「何!なにがおきてるんだよぅ!」

ビッガに何が起こっているかわからないように僕にもわからなかった。というかそんなことを考えることができなかった。その痛さは黒い何かが出ている背中から全身に広がっていった。僕がその激痛に悶えもがき苦しんでいると黒い何かはビッガに向かって動き始めた。それは構えていたビッガの両腕をからめとったがビッガも負けじと力を入れ何かを両腕から離れさせた。その間も僕の体を蝕む痛みは続いていた。もう耐えられない。そう思ったとき目の前が真っ暗になり気を失った。

「熱っ。」

何か熱いものが手に当たった。驚き目を覚ますとそこには倒れているビッガと火の海が広がっていた。

急展開すぎたかもしれませんがご容赦を。

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