始まり
初めての投稿です!つたないところもあるかと思いますがよろしくお願いします!
僕の名前は平 光。フリーターだ。2年前に何とか大学は卒業できたが、就活がうまくいかずバイトで何とか生活をつないでいる。それに対して周りの友達はみんな就職していた。そんな劣等感にかられつつ、このまま死ぬまでフリーターとして生きていくのかとかそんなことを考えながらいつもと変わらない薄暗い道を歩いた。
「どちゃっ」
目的地までもうすぐというところで低い音をたて血まみれの青年が降ってきた。一瞬何が起きたかわからず混乱したが「救急車っ!」僕は携帯を取り出し119を押そうとした瞬間、青年が立ち上がりながら今にも消え入りそうな声で言った。「ちょっと…救急車は…待って。」立ったと思えばフラフラで足元はおぼつかない様子だった。「でも…!」「大丈夫だから。」明らかに大丈夫ではないが呼ばないでほしいというのならば赤の他人である僕がおせっかいを焼くわけにはいかないと思ったが何もしなくて後味が悪くなるのは自分のほうだと思い「ちょっと待っててください。」と言い近くのコンビニに向かった。最近のコンビニは便利であり包帯や消毒液なども取り揃えているのだ。包帯を買い青年のところまで戻った。応急処置として包帯を巻こうとしたが素人がこんな全身血塗られている人間を処置できるはずがないと考え固まっていると、破れた衣服から見えた青年の体は血が付着しているだけでまったく傷がついていないのだ。不思議がっていると、自分の腕に巻き付いている腕時計が目に入った。バイトの時間だ。遅刻するわけにもいかないが、きっとどこかしらが悪いであろう血まみれの青年を放っておくわけにもいかなかった。迷っていると青年に服を引っ張られ壁にたたきつけられた。「なにすん…!」そう言おうとした瞬間今までの人生では見たことない光景が広がっていた。青年の腹に槍らしき長い鋭利な棒が刺さっていた。棒が降ってきた方向である上を見上げると大きい何かが落ちてきていた。ドンっという音をたて大柄の男が地面に着地する。「こんにちはカナリ君。さっきぶりだね!」カナリというのはこの青年の名だろう。「ビッガッ…!」青年は焦っているかのような表情を浮かべながら大柄の男の名だろうと思われる言葉を吐いた。ビッガは僕のほうをみて狂気が宿っている笑みを浮かべながら言った。「そっちの子はだれか知らないけど見られたからには死んでもらわないとねっ!」怖い。怖い。怖い。怖い。生きてきた中で一番の恐怖を感じた。次の瞬間、岩よりも大きく感じるこぶしが飛んできた。終わったと思い、目をつむったが衝撃は来なかった。恐る恐る目を開けてみるとカナリの体から出た触手とも言えない黒い何かがビッガのこぶしを受け止めていた。「クウゥゥ!なぜ邪魔をするんだ!」ビッガは怒りを顔に浮かべながら言った。「逃げるぞ。」カナリがそういうと気づいた時には体を抱えられ宙に浮いていた。あっという間に元居た場所が見えなくなるほど遠ざかっていく。「そこ俺の家!」僕がそういうと急降下し家の前に着地した。「僕はここまでで大丈夫。」「そういうわけにはいかない。あいつからにここにいることがばれたら殺される。」体が震えた。どうすればいいのかわからない。何でこんなことに。パニックになっている僕にカナリは言った。「とりあえず家に入れてくれないか。」僕はカナリを家に招いた。「あれは何なんだ!どうしてこんなことに!」僕はカナリに怒鳴った。こんなことをしても全く意味はないことは知っているが、こうでもしなければ正気を保つことができなかったのだ。「すまなかった。」カナリに謝られてしまったことで僕はもっとどうすればいいかわからなかくなった。「別にいいよ。」そんな言葉しか出なかった。しばらくの沈黙が続いた後カナリの口が開いた。「俺はずっとここにいるわけにはいかない。」そんなことは知っている。でもこのままカナリがどこかに行ってしまえば僕はきっと奴に殺されるだろう。そんなことを考え黙っているとカナリが続けた。「だから俺の力を分けようと思う。」言っている意味が分からなかった。一緒に連れて行ってくれるということなら百歩譲って理解はできるが自分の力を分けるだって?「意味が分からない。」「まぁ、話を聞いてくれ。さっきも言った通りここにずっといるわけにはいかない。それはわかるだろう?」「うん。」そんなことはわかっている知りたいのはもっと違うことだ。「俺はあいつよりも強いし殺すことは簡単だが俺の立場上あいつを殺すことはできない。」きっと何か僕にはわからない事情があるんだろう。「俺の力をお前に分ければあいつを殺すだけの力を手にすることができることは保証できる。だが力を分けるには条件がある。それはおれの力の詳細を聞くことだ。」「詳細をきくだけでいいのか?」「ああ、そうだ。聞くか?」僕は悩んだ。そんな簡単な条件でいいのか、何か裏があるんじゃないかと。だが聞いてみないことには始まらない。「聞かせてくれ。」「わかった。」カナリは力の詳細を語り始めたがそれは耳を疑うものだった。力を使用する際には死よりもつらい痛みが伴うこと。自らの体は不老不死になり病気にもならず傷を負ったときには瞬きをする間もなくきれいさっぱり治ってしまうということ。二つ目は全人類が喉から手が出るほど欲しい能力だろう。だが一つ目が大問題だ。死よりもつらいだって?そんな力怖すぎてもらいたくない。「いらない。」僕は断った。間を開けずにカナリは口を開いた。「なぜだ?二つ目の能力は魅力的だし、力を受け取らないと奴に殺されてしまうぞ?」確かにそれはそうだ。だが死よりつらいというのが怖すぎるのだ。悩んでいるとカナリが「はぁ。」とため息をつき、僕を壁にたたきつけた。「光君の意思なんてどうでもいいんだよ。もう力の詳細を聞いちゃったからこの力はもう君のだ。」なぜ僕の名前を知っているんだ。そんなことよりも今起こっていることが理解できなかった。次の瞬間、カナリの手が僕の腹を貫いた。「はあぁぁぁっ!」意識がもうろうとする中カナリの手がひかり僕の中に何かが流れ込んでくるのが分かった。突然意識がはっきりし始めたと共に想像を絶する痛みが全身を襲った。「ぎゃあぁぁぁぁぁ!!!!!」痛い。痛すぎる!!耐えられない!殺してくれ!内臓が一つ一つ握りつぶされ血管や神経も一本一本ちぎられているかのような痛みで頭の中がいっぱいになり気絶するかしないかの間際でカナリの高笑いが聞こえた。「アハハハハハハ!やっと解放されたぞ!この馬鹿が!!」その言葉を聞き僕は気を失った。