私の愛した彼の記憶と想い出を持つ貴方は一体誰なの?
私の愛した彼の記憶と想い出を持つ貴方は一体誰なの?
・・・彼は私の目の前で亡くなってしまった。
彼はブラック企業で働いていて鬱になっていたらしく、私も直ぐに
彼の異変に気づいてあげられなかった事を今でも後悔している!
毎日毎日、休みもなく残業も毎日3時間以上させられるにもかかわらず、
残業代は一切つかない!
土日祝日も会社に行って、朝から次の朝方まで働いていた彼。
それに加えて! 職場の上司や会社の先輩からも圧力をかけられていた
らしく! 彼は日に日に私に”もう死にたい”と言うようになった。
私がそんなに会社に行くのが辛いなら、、、会社を辞めたらと言うと?
彼は、”俺が会社を辞めたら家族や君にアイツらが何をするか分からない”
と言ったわ!
私はそれなら警察に一緒に行こうと言って、二人で警察に相談しに行った
のだけど? 警察は、”今現在、何も起きていないなら我々は何もできない”
と一人の警察官に言われる。
でも? 何か起きてからじゃ遅いじゃない!
彼がそれを心配して、何か起きる前に警察に相談しているのに、警察は
私達に何もしないとハッキリ言ったのよ!
それを聞いた彼は、余計に鬱になり彼はどんどん狂っていったわ。
彼と一緒に家に居ても彼は? ”俺は誰かにいつも見張られている。”
”今誰かの声が聞こえた! 俺を殺そうとしてる奴がいるんだ” と。
何か見えない相手にいつも見張られている感じがしていたらしい。
私は彼を落ち着かせる為に何度も慰めたけど、彼の耳には届いていなかった。
彼は夜中に大声をあげてそのまま外に喚きながら何処かへ行ってしまう。
私はその都度、彼を見つけては家に連れ帰ったの。
彼をこれ以上、このままにはしておけない!
私は彼を連れて彼の会社に”退職届”を出しに行ったら?
彼の会社の上司は、彼と私の目の前で彼の書いた退職届を破り捨てたの!
『こんなのは認めない! ウチは人が足りないんだ! お前みたいな奴でも
居ないよりはましだ、会社としても今は辞めさせる訳にはいかない!』
『”でも? 彼は鬱でもう正常ではないんですよ、辞めて彼を入院させます!”』
『それは許さない、退職届も認めない! 明日からまた来い! いいな中川!』
『・・・・・・』
『これ以上、彼を苦しめないで!』
『中川いいな! 明日も来るんだぞ!』
『・・・あぁ、は、はい、』
『よし! 今日はもういい帰れ!』
『彼を明日から休ませます! もうこの会社に彼を行かせる訳には
いかないわ!』
『お前なら分かるだろう、俺の言ってる事が? なあ、中川!』
『・・・・・・』
『もう帰ろう。』
『・・・あぁ、ううん、』
『”必ず明日、会社に来いよ! 約束だぞ!”』
『・・・・・・』
『なんて会社なの!』
彼はこれが! ”キッカケで私の目の前で自殺したわ!”
私は彼が亡くなった事を、まだあの時は受け入れられなかった。
それなのに、彼の携帯に会社の上司や彼の会社の先輩から何度も電話や
LINEのメッセージが入っていたわ。
どれもこれも、”自分勝手な事を書いていたの。”
彼を追い込むようなヒドイ内容だったわ。
彼は私の目の前で、今は亡くなって良かったのかなと少し冷静になった
私はふと思ったのだけど......。
やっぱり彼が亡くなった事は、私にとってもショックだったし、何より
凄く彼が居なくなった事が寒しくて私は耐えられなかったの!
*
でも? 1週間後、亡くなった彼が”彼の記憶と想い出を持ったまま、”
私の前に現れた!
目の前の彼は? ”私の知ってる彼であって彼ではない感じだったわ。”
どこか? ”心がない感じで冷たい感じを受けたから。”
その彼が、次の日から今まで通り会社に行くようになったの!
”彼は私の目の前で亡くなったのに......。”
じゃあ? ”この彼は一体? 誰なのだろう!”
彼が亡くなった後に現れた彼は、いつも通り会社に行き嫌がる事も
なく、それどころか? 感情がないような彼は嫌がる事を知らないの
かもしれない!
淡々と会社に毎日行き今まで通り朝起きて、会社に行って残業もなんなく
こなし、朝方まで仕事を終え家に帰って来る。
・・・私は一体? 誰と一緒に居るのだろう?
彼の記憶や想い出は私と同じモノを持っている!
でも? 感情表現が全くない。
楽しいとか苦しいとか、怒るとか笑うとか、彼からは何も感じないの!
”今居る彼は、彼の姿をした別の男性。”
そんな彼と私はこれからも一緒に居ていいモノなのか?
【彼は彼じゃない!】
・・・もう私の愛した彼は、私の元へは返って来ないのだろう。
それを私自身が受け止められた時、目の前に居る別の彼がいなくなる
のかもしれないと私はそう思う!
最後まで読んでいただいてありがとうございます。