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秩父遍路 幻想巡礼 幻説秩父三十四箇所巡礼行記 第4夜 人生の連関は過去現在未来に続く (最終話)

作者: 舜風人

第4夜  人生の連関は過去現在未来に続く





わたしの夢での札所巡礼はその後も


途切れがちに?続いていた。


わたしはしがない勤め人であり


長期休暇を取って、秩父巡礼など行けるはずもなかった。


わたしが前世は修行者の生まれ変わりというには、、、、、


余りにも今の人生が全く


凡人で、修行のことなど全く無縁だというのも


信じられないことではあった。


いくらなんでも、、前世が修行者なら


もう少しはその名残?というか、、


せめて教員だとか、福祉だとかに関係ある「今世」でもよかったのではないか




、、、、などと感じるのだったが


いかんせん


今の世で

私はただの労働者でしかなかったのだ


まあ


でも


煎じ詰めればそういう庶民の無名の人生で


わたしは今の世で何かを学ぶ、必然があったのかもしれないが。


いずれにしても不可解である。


、、、答えはないということだ、




夜ごとではないが、数日おきに


あるいは途切れて一か月後に


わたしはあの道士に導かれるままに


秩父札所の幻想旅行へと


夜の間に間に


幽体離脱?して


遍路したのであった。


昼間は相変わらずの


こき使われるだけの仕事場で


忍耐の連続で


帰宅すれば


どっと疲れが出て


ビールをあおって


爆睡、


そんな自堕落な私が


前世に


修行僧だった??だなんて


ウソだろ??


悪い冗談はやめてくれよな?



そんな、、、とある日


わたしはやっぱり疲れ果てて、しかも残業までして帰宅した


もう酒を呑む気力もなく


ただ水をがぶ飲みして


ばたんと蒲団に倒れこんでそのまま寝入ってしまった。




その夜、私は道士によって札所の観音院へと案内された






「深山路を かき分け尋ね 行きみれば 鷲の岩谷に ひびく滝つ瀬 」御詠歌




道士は私を振りかえると


「いいかな、これから山道をたどるが険しいから気を付けてついてきなよ。」




たしかに道は山道で、余所見はできないような道だった、


だが?


その途中にまさかあんなものがあるとは?


山の斜面一帯にひな壇上に、お地蔵さまが祭られていたんですよ。


その数は何千体です。


いわゆるそこは「水子寺」だったんですね。


正式御名称は


「紫雲山地蔵寺」というのですね


直接


秩父札所とは「無関係」の新設のお寺です。


昭和46年に新設されたようです。


水子の霊を供養するために、、、




そもそも、


子供というのは、、、、

そもそも、生まれるとき

親を選んで生まれてくるという。

そうすると

私もまた

あの両親を選んでこの世に生まれてきたのだろうか?


親子の因果は前世からの

請求書みたいなものなのだろうか。

親子の因縁さらに深し

いかなる星のもとに

生まれ来たりしや?

親子の軋轢

相克

親が子を殺し

子が親を殺す

そんな話は

それは昔から枚挙にいとまない。


それほどに、、、


親と子の


因果は深く不条理だ。


血を分けた親子であっても、


人格は全く別である。


子供は親のコピーではない。


それどころか


善人の鑑のような親から


何を間違ったのか


凶悪犯が生まれることだってある。


あるいは凶悪殺人犯の子供が


天使のような人物で


一生を神と子羊のためにささげたという実例もある。



親子っていったいなんだろう?



文豪ゲーテの子供は


アル中で、放蕩息子で


20代で早世しているという。


文豪の子供は文豪ではないという


あまりにも当たり前な結末。



甲斐性のない飲んだくれ親父の


子供が5人ともみんな頭がよくて東大出て


官僚や大学教授になっているという例もある。


家系や名門の遺伝がよいと


代々有能な子供が生まれるかというと


必ずしもそうでもない、


3代目くらいになると


無能息子で身上つぶしてしまう老舗もある。


深刻なのは


障碍を持って生まれてきた子供を授かった場合だろうか。


夫婦ともどちらも健常者であっても、


障碍児の生まれるのは


確率の問題であるともいえるからです。


遺伝ではないのですね。


確率の問題なのです。


たまたまその夫婦に授かったという確率。


それはある意味「神のおぼしめし」なのかもしれません。


そう考えるしかおそらくその夫婦に救いは無いでしょう。


でなければ、


自らの不運を呪い、神を呪うしかないですから。


あるいは異常犯罪者として犯罪に手を染めた子供を持った夫婦も


深刻です。


幼女連続殺人のM君の両親が悪かったのではないでしょう?


あくまで本人の問題でしょう。


親の育て方が悪かった???


じゃあ、貧窮に生まれて両親に捨てられて差別と闘い、


のちに名を残す偉人になった人はどうでしょう。


両親の育て方が悪かったから

僕は


異常犯罪者になった?



なんてありえないでしょう。


結局


親子は血はつながっていても



全くの別人格です。


親のコピーが子供ではありません。


子供は彼なりに人生を歩むのです。


親のせいではありません。


だからある意味


こうも言えるでしょう。


子供は反面教師として


親を選んでそのもとに生まれてきたと。


仲のよい親子もいますが


世の中では


圧倒的に不仲の親子のほうが多いんですよ。


子供にとってその親は現世では踏み台?だったのでしょうね。


エドガー・ケイシーはこんなことを言っています。


ある女性。もう中年に差し掛かり


夫に去られ、子供にも見捨てられた哀れな女性が


ケイシーに聞きました。


私はなんでこんな目に合うのでしょうか?と。


私は今まで特に悪いこともしませんでした。


なのに


このざまです。


ケイシーは深い眠りに入り、


リーディングを始めました。


そしてこういったのです。


『あなたの前世は今から100年くらい前の北欧に住んでいました。


そして、個人的な悩みに耐えられずある日夫と子供を残して


自殺してしまったのです。残された夫と子供の失望は耐えがたいものでした。


それを今あなたはこの現世で償わされているのです。


神は決して不公平は行いません。


かっての罪を今清算しているのです。


ですからそれから逃げてはいけません。


今度こそ逃げずに


清算するのです。


かってあなたは薊を植えたのです。


そして今それを食うことになったのです。


ですから今こそ


イチジクを植えるのです。


そうすれば来世で


あなたはその甘いイチジクを味わうことになるでしょう。」




え??


ああ??




ちょっと、


水子寺に寄り道?しすぎましたよね?


さあ、


この先の山道を行くと目的の




観音院です


さあ急ぎましょう


あれ?


そういえば道士の姿がありません


私が水子寺で寄り道してるうちに


消えてしまいました




兎に角この山道を行けばいいのです


さあ


急ぎましょう


日も暮れてきましたから。




やがてひなびた山門が目の前に現れました。


ここがそうです


山門をくぐり坂を上ると


目の前に岩山の断崖絶壁が見えました


その下が本堂です。


本堂の後ろには断崖から滝が、しとしとと流れ落ちています




「深山路を かき分け尋ね 行きみれば 鷲の岩谷に ひびく滝つ瀬 」




雨の後などはとうとうと瀧が流れるそうですが、、その日は水量は少しだけでした




瀧に見とれてると後ろから


あの


道士が


「やっとたどり着いたようだな」と声をかけてきました。


「水子寺のお地蔵さんは壮観だったろ」?


あんなに水子がいるんだねえ


ところで?


お前はいないのか?」




「わたしは独身だし


彼女もいないし


いるわけないでしょ」






「そうかじゃあ滝の瀬音でも聞いて和んだら


またあの汚い部屋に帰りな」




そういうと道士はすーーと消えてゆくのでした、


気が付くと、


わたしは汚い部屋で汚い蒲団でうごめいているのでした、


「一体なんのための


秩父巡礼なんだろ?


私が前世で修行僧だっただって??




わらわせないでくれよな?」




そうして


再び




わたしは、、、根深い疲労の眠りに


引き釣りこまれるのだった。






全4夜   最終話、終わり








付記


わたしの、、幻想・秩父札所巡礼は、、34か所全部の札所をめぐって終わりましたが

そのすべてをここに記しても、、

どうかと思いますので、

今は

この4話だけで終了ということにいたします、


また?

気が向いたら?全部の札所の「夢紀行」を書くかもしれませんが、、、?








































































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