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ティムと京美

京美は鍋を持ったアリナの背中を優しく押し

キッチンに誘導した。

ティムもその後をついてくる。

三人でテーブルに着き、例のご馳走鍋を前にして話の続きをする。


ティムは京美をしげしげと見つめ

「そういえば京美さん、角はどうされたんですか?」と聞いてきた。


「え、角?」


ニコッとティムは微笑み

「はい、ヤーシャ族は皆さん立派な角をお持ちです」


「いや、私はヤーシャ族?じゃないよ日本人だよ日本人。

確かに昔はヤンチャしててさー悪餓鬼(アガキ)っていう(チーム)で単車は転がしてたけど」

”族”という言葉に反応してついつい昔の悪さ自慢をする京美。


「そうなんですか、ヤーシャ族ではないのですね、京美さんはヤーシャ族の特徴をお持ちなのでてっきり……

ニホンジン?タンシャ?聞いた事ない言葉です、転がすと言う事は何か球体のような物なのでしょうね、僕はもっともっと勉強しないといけませんね…」


「転がすってそういう事じゃ無いんだけど……

まあいいか、所でヤーシャ族の特徴ってどんなの?何処が私っぽい?」


率直な疑問


「…」


ティムは聞こえてないのか、ほんの一瞬真顔になるとすぐに笑顔に戻り今日は涼しいねとアリナに話しかけている。


京美は他人の気持ちには鈍感だが、他人がする自分宛ての良くない言葉には敏感な地獄耳。


「アリナ、本でヤーシャ族調べて!」

頷き素直に本棚に向かうアリナ。

ティムは慌てて立ち上がりわーわー慌てふためいた。


「アリナ、ダメ! 調べないで」

鉄壁の微笑みを崩し必死の形相になるティ厶。


やはり!

『ヤーシャ族』っぽいていうのはそんなに名誉な事ではないみたいね。


アリナは取り敢えず本棚の前に行ったが、ティ厶と京美の顔を交互に見てどちらの言うことを聞くか迷っているようだ。

ティムをヘッドロックしてより大きな声で

「アリナ!」と促した。

本に手を掛けパラパラと捲り調べ始めるアリナ。


「アリナ、兄さんのお願いを聞いて……僕は病み上がりですよ、京美さん手を離してください……」


「さっき治ったって言ってたでしょうが」


パッと顔をあげ「あった」と嬉しそうなアリナ。

「読んでみせて」

まだ、わーわー言ってるティムの口にカエルっぽい奴を無理やりいれて静かにさせる。


【ヤーシャ族】

特徴

頭部に一本、又は2本の角がある

鋭い目と牙が特徴の鬼族

見た目は筋骨隆々で猛々しい者が多い


性格

粗暴で争いを好む


生活

狩猟や格闘が得意

狩猟で得た獲物は生のまま食す


「全然当て嵌まってない!」


ティムはヘッドロックされた口からポトリとカエル肉を落とし

「ヤーシャ族っぽいけどなー」と呟いた。




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