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石像はどうなる?①

「『消えたくない』と『力はいらない』石像はそう言ったんですね?」


「うん、『カナエテ』とも言ってた。間違いないよ」


「『ヒトツワネガイヲカナエテホシイ』これに関係してそうですね……」ティムはそう言い、メモをペンでトントンと叩いた。 


アリナはあんぐりと開けていた口を閉じると石像に向き直り、さっき諦めたリボンを今度は蝶ネクタイ風に結び始めた。

あー、うんうん、そうだね。”男”か”女”かわからない声だったからねスカートと蝶ネクタイで丁度いいと思う。


ヤーシャ族達はワラワラと京美が座っている長椅子の周りに集まって来た。

「京美姉貴、さっきの光何?」


「光はこれだよ、この石像のお告げ」

アリナの手によってしっかりと蝶ネクタイを結ばれた石像を持ち上げ、デカに手渡した。


「これアリナちゃんのお気に入りの石像だ……これが光ったの?」

デカは石像を片手でクルクルと回し手色んな角度から”仕掛け”は無いかと探している。


「京美、やはりお前は凄い。治癒草に導かれ、何かの使命を担っている……俺はそう思う」


「うーん、私自身は何か凄い事が出来る訳じゃないんだけどね」


「あの京美さん、さっきは一つの穴に種を入れたじゃないですか? もし全ての穴に種を入れたらどうなるんでしょう?」

流石、学者。実験したくてウズウズしてるのが見て取れる。


「確かに……この石像は”死の石”と”治癒草”とで反応した。全て同じ物で代用出来るなら治癒草のが数が多いし、そっちのが簡単だね。よし……、一応試してみよう」


アリナは目を輝かせ、デカから石像を受け取った。

そして京美に右手を差し出した。

「……あ、アリナ自分でやってみたいのね?」


にっこりアリナは微笑んだ。

(やっぱり!)


私! 随分と人の気持ちが理解できるようになってきたと思う。

京美は内心、自画自賛していた。


「3つの穴全部に治癒草の種を入れてみて、なるべく同時にね」

ティムは詳しく、アリナに指導している。


「3つ同時は、一人では難しいだろうから1つはデカがやってくれる?」

京美はデカに向かって言ってみた。


途端にデカは赤面し、ソワソワし始めた。

どうしたのかと注目していると

デカは「初めての共同作業……」とボソリと呟いた。


「あ、やっば、シロウお願い」


「わかった……」


「そ、そんな!! 酷い!!」


「いやさ、なんか良く考えたらさ、デカは指太すぎてタイミング合わせるのは辛いでしょ」

ガクーと、デカは肩を落とした。


石像はテーブル上に仰向けに倒され、アリナは両手に治癒草の種をスタンバイ、シロウは片手のみで合図を待っている。


「コホン……では僕が3.2.1とカウントしますので0になったら同時に入れてください」


二人は種を持つ手を固定させたまま、頷いた。



「では、行きます!」


「3!」


「2!」


「1!」


「0!」


完璧なタイミングで治癒草の種は投入された!

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